知的財産ニュース サムスンも避けて通れなかった「ライセンス紛争」…中小企業は存亡の危機に

2014年8月18日
出所: デジタルタイムズ

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先日、マイクロソフト(MS)とサムスン間の特許訴訟において、訴訟の争点だったライセンス契約に対する関心が高まっている。ライセンス契約の際、契約書の条項に少しでも不備があったら大型訴訟につながりかねないということを端的に表している事例だからだ。特にサムスンのような大企業に比べて交渉力と経験が足りない中堅・中小企業の注意が必要との指摘がある。

12日、韓国電子情報通信産業振興会(KEA)特許支援センターの調査によると、国内の多くの中堅・中小企業がサムスンとMS並みの複雑なライセンス紛争により手を焼いている。強い交渉力を備えているサムスン電子もライセンス紛争を避けて通れなかったほどだ。中堅・中小企業の不十分なライセンス契約は、企業の存亡を左右するとの分析まで出ている。

最近、内需向け製品のみ製造・供給しているA社に海外の特許権者から特許侵害の警告状が届いた。知的財産に関する知識と対応能力が足りなかったA社は、紛争に対する負担により、全く使用していない海外特許まで含まれたライセンス契約を締結し、過度なロイヤルティを支払うことになった。

ライセンス契約の効力開始日が数年前に遡及されているにも、条項を細かく検討せずに署名して不利益を被るケースもある。

ライセンス契約による企業の情報漏れも問題だ。ライセンス契約を締結すれば、ロイヤルティ徴収を理由に定期監査を受けるが、この過程においてセンシティブな企業情報が漏洩したり、監査資料の不備を理由に過度なロイヤルティ支給を強いられたりするケースもある。さらに、ライセンス対象の特許がどういうものかも知らずに契約を結ぶ企業もある。

特許支援センター側は、過度なペナルティーの規定によって海外の特許権者が韓国企業から徴収する金額だけでも毎年数千億ウォンに上ると推計している。海外特許のライセンス契約書が英語で作成されており、準拠法のほとんどが海外の法律であることも被害を拡散させる一因だとの分析だ。

KEA特許支援センターのファン・ウンジョン弁護士は「このような被害を防ぐためには、予め契約内容を細かく確認し、不当・不利な条項はないか、変更可能性のある事情に備えてどのような条項を盛り込むべきかなどについて検討する必要がある。契約書の検討費用などが負担になる場合は、KEA特許支援センターのような支援機関で提供する中堅・中小企業のライセンス契約における交渉戦略支援、紛争コンサルティングなどのサービスを利用することもできる」と述べた。

パク・ジョンウン記者

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