知的財産ニュース LGとSK、バッテリ訴訟が「和解局面」に

2014年5月8日
出所: デジタルタイムズ

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LG化学とSKイノベーションのリチウムイオン2次電池バッテリのセパレートをめぐる特許訴訟に和解ムードが漂っている。両社ともに長引く訴訟の負担を軽減し、新成長エンジンの育成により集中するとみられる。

LG化学は、7日、SRS(安全性強化セパレート)関連の特許侵害差止め訴訟(民事)の控訴を取り消したと発表した。

LG化学は、「国の利益という観点から、自国企業同士が成長分野をめぐって長期的に訴訟を繰り返していることに対し、懸念の声が高まっており、控訴の取消しを決めた。周りの懸念を払拭し、お互いウィンウィンできる方法が導き出されることを期待する」と述べた。さらに、「今後も、コストパフォーマンスを考えて、一つ一つを訴訟で対応するのではなく、正当な対価を支払って特許を使用させる方向に誘導する計画だ」と述べた。

これを受け、SKイノベーションもLG化学を相手に提起した特許無効訴訟の取り消しを前向きに検討するという。

SKイノベーションは、「LG化学の決定を尊重するし、事業関連の法的問題が解消されることは歓迎したい」とコメントした。また、LGとの特許無効審判や特許取消訴訟の取り消しに関する質問には、「前向きに検討したい」と答えた。

こうした流れから、2011年から約3年間続いた両社の特許係争は一服する可能性が高いと判断されている。

特許侵害訴訟では、LG化学が原審で敗訴し、特許無効訴訟ではSKイノベーションが控訴審まで勝訴を続けたが、大法院の破棄差戻しにより不利な立場になるなど、両社は、一進一退の攻防を繰り返している。

その代わり、両社は、米国セルガードが提起した特許侵害訴訟の対応に力を集中させるとみられる。セルガードは、2月、米国ノースカロライナ州西部連邦裁判所にLG化学とLG化学の米法人を対象に2次電池セパレート特許侵害訴訟を提起した。セルガードは、5月、SKイノベーションにも同じ内容の訴訟を提起している。

しかし、リチウムイオン2次電池のバッテリ市場は、成長スピードが速く、今後の訴訟合戦の可能性は高いとされている。業界によると、2次電池市場は、2020年までに年平均19%の高成長の基調を続けていくと見込まれ、特に電気自動車とESS市場の成長ぶりが良いため、業界では市場の主導権を握るための特許攻防は激しさを増すだろうと懸念を示している。

業界のある関係者は、「中型・大型の2次電池関連の特許だけでも数百件に上っており、先行メーカーと後発企業との技術格差も広がっている。今は市場が初期段階にあるので、パイを大きくすることに力を入れているが、今後、市場の規模がある程度固まったら、特許係争が本格化するだろう」とコメントした。

パク・ジョンイル記者

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