知的財産ニュース 中国ブランドの逆襲

2014年11月11日
出所: 韓国特許庁

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中国がブランドの逆襲に力を入れている。この頃の中国は、安価の商品を大量生産する「世界の工場」から離れ、ブランド立国への跳躍と中国勢のグローバルブランドの育成に向けて、国を挙げての戦略を進めている。その一環として、「2014中国国際商標・ブランド節」が開催された。

中国国際商標・ブランド節は、中国工商行政管理総局傘下の「中華商標協会」が主管して毎年行われる中国最大級の商標関連イベントだ。

「中華商標協会」は、主要企業と商標法人および商標分野の専門家を会員とする団体として、会員の商標権確保および保護の支援、ブランド価値に対する民間の認識向上および商標制度の改善などに向けて積極的に取り組んでおり、中国商標分野で最も大きい影響力を有している団体だ。

今年の行事は、中国全域の主要企業、商標専門家、韓国・米国・日本など主要国の外賓など1,000人以上が参加し、中国のブランド戦略と商標権保護に関する懸案について各種フォーラムが開催された。また、30,000㎡規模のブースが設置された中国ブランド博覧会が同時開催されるなど、過去最大級の行事となった。

中国工商行政管理総局のLiu Junchen副局長(次官級)は、今回の行事の中で「中国内の商標出願は、2013年の1年だけで190万件に上るなど、世界トップ水準であるにもかかわらず、中国を代表するようなグローバルブランドはほぼない」と強調し、今後はグローバルブランドの育成に力を入れると力説した。

このように、中国でブランド価値の重要性に対する認識が高まっていることや、最近中韓の間で商標出願が急増していることなどにより、商標分野における中韓の協力がいつにもまして重要視されている。2013年ベースで韓国→中国の商標出願は8,331件、中国→韓国の商標出願は2,345件と、いずれも前年比30%以上ずつ増加した。

韓国は、今回の行事に初めて公式の政府代表団を派遣し、中韓商標分野の協力強化を図った。特許庁商標デザイン審査局のパク・ソンジュン局長は、会期中に中国工商行政管理総局の副局長および江蘇省工商行政管理局の副局長、中華商標協会の会長と会合を開き、中国に進出する韓国企業の商標権創出および保護強化に向けた協力の活性化方策について議論した。

両国は、商標ブローカーと悪質のある模倣出願による不要な出願の急増とそれに伴う行政力の無駄を解消するための努力が求められるという意見に同意した。また、中国に進出した韓国企業の中華商標協会への加盟を推進し、両国の商標協会間の協力を強化していくことに合意した。

そのほかにも、国際商標法律フォーラムで、韓国の最新商標政策の動きについて発表し、韓国商標制度に対する理解を深めるとともに、中国と商標精度の先進化についての意見を交わした。

特許庁商標デザイン審査局のパク・ソンジュン局長は「韓国企業が抱えている最も深刻なIP問題は、中国内での商標侵害だ。中華商標協会に加盟すると、中国内での商標権保護に向けた人材ネットワークの構築および制度による支援に役立つと思われる」と述べた。また、「今回の行事により、中国が模倣品の国という汚名を返上し、ブランドの逆襲を狙っていることを改めて確認した。韓国企業もこれに対する徹底したブランド戦略が必要となる。特許庁も支援策を強化していく予定だ」と強調した。

2015中国国際商標・ブランド節は、中国を代表するレジャー都市「海南」で開催される。これまでは韓国企業の参加が目立たなかったが、中国進出を試みる企業なら、有効なブランド戦略を構築するためにも同行事を積極的に活用する必要があると思われる。

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