知的財産ニュース ドゥサン重工業、社を上げた「知財経営」定着

2014年4月22日
出所: 電子新聞

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発電設備、海水の淡水化設備、環境設備など、各種の大規模産業設備の製作を手がけるドゥサン重工業が「知的財産重視」の経営に舵を切り、業界から注目されている。約10年間、特許係争は1件もなかったが、この数年間、知財への認識向上の取り組みと先行的な対応を通じて、新陳代謝を図ったという評価だ。

同社は、研究開発(R&D)組織の中に知財専門人材を配置し、会社の取締役全てを対象に知財教育を実施する一方、特許分科委員会を設置してグループ内に知財の統合運営体制を構築するなど、知財経営に本腰を入れた。社員から取締役まで、現場から戦略企画部門にいたるまで、知財中心の経営分科を構築することに集中してきた。

ドゥサン重工業の知財戦略の中心には、諸組織のなかに知財業務を担当する「知財コーディネーター」がある。この知財コーディネーターは、開発チームごとに一人ずつ配置され、R&D段階から技術の知財資産化をバックアップする。

知財ブームアップキャンペーンを実施し、現場の人材がより簡単にアイデアの提案ができるようにした。また、「職務発明保証制度」を導入して職員のアイデアの埋もれを防具一方、正当な補償も提供している。

取締役のアイデアは、特許分科委員会で特許出願や補償を決定する。必ずしも特許として出願しなくても、アイデアの提出に伴うインセンティブが与えられる。取締役の活発な知財資産の創出を誘導し、モチベーションを与えるものだ。

ドゥサン重工業のチェ・ジンフン技術研究員は、「アイデアを提案さえすれば、知財コーディネーターが複雑な関連業務を代わりに処理してくれて非常に助かっている。自分のアイデアとノウハウが特許分科委員会を通じて拡大されたり、資産化されたりして、とてもいいと思う」とコメントした。

会社は、取締役約6000人を対象に、定期的な知財教育も実施する。会社の全ての業務と知財経営の戦略を連携するためだ。今年には、知財教育を職員の正規科目として定める計画だ。一過性の教育ではなく、持続的かつ長期的に知財業務の一体化を図るという構想だ。法科大学院の卒業生や弁理士などの専門人材を採用して会社の知財業務を総括する知財チームの人材も補強した。

差別化された知財競争力を確保するため、競合会社が保持している特許を分析した後、対応できる有望な新技術を発掘したり、特許に抵触するかどうかの確認や、特許がらみのトラブルを回避する取り組みも怠らない。全社レベルの知財戦略協議体制も確立し、新事業の推進のときには、事業グループとのR&D、知財活動を同時に進めて効率性を高めた。

発電機用の蒸気タービンを開発するチェ・ビョンユン次長は、「製品別の競合会社の特許を分析しながら、様々な技術の特許可能性を認識できた。これから、設計のアイデアと特許出願を参考にしていく計画だ」と述べた。蒸気タービンは、これまで海外メーカーから技術ライセンスを受けて製作してきたが、最近、独自技術の開発に成功し、特許出願を準備している。

グループの系列会社や海外の子会社も知財の能力強化に取り掛かっている。グループの知財専門委員会が知財経営戦略を総括し、子会社の統合運営体制及び統合知財データベースを構築してグループ全体の知財資産を相互管理させた。

企業の買収合併(M&A)と事業契約の締結にも有利な条件に持っていくために、全社の専門交渉・契約組織を新設して運営中だ。法務チームの法理的な判断とともに、契約書内の知財資産の保持の可否や活用に関する内容を追加検討し、収益の引き上げにつなげたと評価されている。

ドゥサン重工業の知財担当のカン・ドンヒ常務は、「知財経営戦略が本格化してから、昨年には特許出願が前年比倍増した。ITメーカーが中心となっていた知財R&Dを機会重工業分野にも定着させて、競争力の強化につなげたい」と述べた。

パク・ジョンウン記者

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