知的財産ニュース 特許庁、先行技術調査の用役事業の新規指定6年間行わず

2014年12月16日
出所: 電子新聞

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特許庁の先行技術調査用役事業の民間による独占が深刻な状況になっているが、特許庁はこの6年間、新規審査機関を指定しておらず、問題だという指摘が出ている。

業界によると、特許審査期間を短縮して民間の知的財産(IP)サービス企業の競争を促すために導入された先行技術調査用役事業を韓国特許情報振興センターと3カ所の民間企業が独占してから6年が経っているが、追加指定や再審査が行われず、当初の趣旨に合わないという指摘だ。

特許庁は、特許審査期間の短縮および審査品質の向上に向けて審査官の審査業務の一部である先行技術調査と分類業務について、外部の専門機関と用役契約をしている。先行技術調査は、審査量も徐々に増加していて、審査官を増やす方法の対応にも限界が来ている。そのため、外部の専門機関に委任して年度別審査処理期間が短縮している。

問題は、同事業を韓国特許情報振興センターと一部の民間企業が独占する構図が固着化していることだ。現在、特許庁の先行技術調査用役事業は、8割以上を韓国特許情報振興センターが担当している。

新政治民主連合のオ・ヨンシク議員は、「現在のように6年間どのような再審査も行わず、事業をし続けるのは問題がある。日本のように、2~3年ごとに再指定審査を実施して品質を管理する必要がある。力量のある技術分野別、産業財産権別の専門力量を備えたIP情報サービス業者を掘り起こして専門機関に指定、事業者を多角化しなければならない」と述べた。

調査機関に指定されれば、特許庁の先行技術調査用役のほか、優先審査申立および新技術の新商品認証に関する独占的な遂行機関になる。独占的な地位が与えられると特恵疑惑が生じかねないだけに専門期間審査の公正性が何よりも重要だ。

先行技術調査専門機関は、特許庁長が必要だと判断すれば、専門機関指定に関する公告を出すことができる。しかし、特許庁は2008年にIP Solution社を指定して以来、6年間追加指定および再審査をしていない。

また、韓国特許情報振興センターの独占の下、その他市場を3社が分け合っている構図に固着したため、民間IPサービス企業を活性化して専門機関の競争を促すという当初の目標とも相反している。それだけでなく、用役事業の遂行人材は、特許情報振興センターの社員670人の半分にも及ばない326人程度で、効率性の問題も指摘されている。

業界では、日本の事例をベンチマーキングする必要があると口を揃えている。日本は、専門機関の指定を希望する業者がいつでも申し立てることができる。3年ごとに再指定の審査によって品質を管理するほか、計8カ所の専門機関のうち5カ所が少なくとも10人の分野別遂行人材を配置している。現在は、3カ所の民間企業が追加指定され、合計11カ所の調査機関が登録されている。

これに対して、特許庁特許審査企画課のリュ・ドンヒョン課長は「指定業者を増やせば、特許審査の品質を担保できないという問題があるため、韓国の実況に合う3~4機関を維持していきた側面がある。しかし、特許庁は、様々な指摘を反映して先行技術調査事業を従来の指定制から登録制に転換し、希望する業者なら誰でも技術分野別の入札競争に参加できるようにする方策を検討している。2016年から施行される見通しだ」と述べた。

チョン・ミナ記者

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