知的財産ニュース IPサービス事業、総合情報システムの構築が至急

2014年8月6日
出所: 電子新聞

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知的財産(IP)が企業の経営において欠かせない要素になったことで、IPの有効な活用と管理を支援するIPサービス産業に対する関心も高まっている。しかし、韓国企業のIPサービス利用は「法律代理」の分野に偏っていることが明らかになり、専門的なIPサービスの類型多様化とアクセシビリティの改善などが必要との指摘が出ている。

韓国知識財産研究院は6日、「2013年知識財産活動実態調査」によると、IPサービスに対する韓国企業の需要が地道に増加してはいるものの、実際に利用するサービスは一分野に偏っており、発展が見込まれない状況だと説明した。

IPサービス産業とは、IPに関する情報の分析・提供、評価・取引・管理、経営戦略の樹立・諮問など、IP活動の各段階において企業などが競争力強化を図れるように管理・支援する専門サービスのことだ。

2012年ベースで、IP専門機関が提供するサービスを利用した経験のある韓国企業は全体の44.2%。前年比小幅(1.1%)の上昇を見せた。

利用率が最も高かったIPサービス機関は86.1%を占めた弁理士事務所で、8.6%の公共機関、5.3%の民間IPサービス専門企業を大きく上回った。

同研究院は、企業で利用しているサービスのほとんどが「法律代理」に偏っている(71.5%)と指摘した。企業のIP競争力強化のためには、様々な良質のIPサービス育成と専門IPサービスに対するアクセシビリティの改善が求められると話している。

韓国のIPサービス産業は情報通信(IT)技術との融合などを通じて、特許の事前調査および分析、翻訳、紛争の予防などに必要な様々なツールを提供している。しかし、一部の先行企業を除いては零細規模に過ぎないサービスの乱立により、市場定着と競争力強化に難航している。

何よりも弁理士事務所以外の民間IPサービス専門企業に対する一般企業の認識と情報不足が問題だ。中小・ベンチャー企業の間でもIP経営に対する必要性は認識しているが、会社の状況に合うIPサービス専門企業の模索に頭を抱えているとの指摘だ。

知識財産研究院のカン・キョンナム博士は「企業側で利用するIPサービスが主に「法律代理」に偏っているのは、良質のIPサービスが不足している上、専門サービスに対するアクセシビリティが大変脆弱な状況であるためだ。様々なIPサービスの利用を通じて韓国企業のIP競争力強化を支援するためには、IPサービス専門会社を育成するとともに、IPサービスの需要者と供給者間で情報を交換する「知的財産サービス向けの総合情報システム」を構築することが至急な課題だ」と述べた。

パク・ジョンウン記者

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