知的財産ニュース 特許庁審査官、産業現場にもう一歩近づく

2014年8月27日
出所: 韓国特許庁

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スマートフォンの業績不振を受けて営業利益が半分以上落ち込んだ電子業界が生活家電市場で解決策を模索している。国内電子業界でライバル関係を形成しているサムスン電子とLG電子は、「2015年、グローバル生活家電トップ達成」という目標を掲げた。

2008年以降、低迷していたグローバル景気も、最近次々と発表される経済指標が前向きな数値を見せていることで、先行きは明るいと見込まれている。このような景気回復を追い風に生活家電業界が成長できる土台が作られている。今後、韓国の生活家電企業が成長を遂げるには、プレミアム市場において優位を占めているグローバル生活家電企業のみならず、原価競争力および改善された品質を全面に打ち出している中国企業に対する戦略が求められる。

今日の生活家電市場は、地域と業種を問わず、主導権争いが白熱している。冷蔵庫分野はワールプールとサムスン電子(インド)、掃除機分野はダイソンとLG電子(米国)、炊飯器分野はクク電子とリホームクーチェン(韓国)、浄水器分野はコウェイと東洋マジック(韓国)などが知的財産権の侵害有無について訴訟を繰り広げている。限られた市場でシェア争いを繰り広げる過程において、主導権を握るために先行企業と後発企業間の訴訟が集中されているためだ。今後もこのような知的財産権紛争は持続的に増加すると見られている。

生活家電分野の知的財産権紛争は、主にメーカー間で起こる。そのため、生活家電分野における知的財産権はロイヤルティを得るためのツールより、製品の模倣を防ぐツールとして利用されるため、調整または取り下げなしで最終判決まで至る傾向がある。したがって、知的財産権争いで水をあけられると淘汰されてしまうのが実状だ。

生活と密接に係わっている生活家電製品は、消費国の自然環境や経済水準のみならず、生活文化、流行にも敏感だという特徴がある。したがって、グローバル市場に参入するためにはターゲット国の消費傾向を分析し、それに合う戦略的な製品開発と特許を用いた保護政策が必要だ。だが、生活家電分野は大型製品を除けば99.4%が中小企業であるため、政策作りに必要な資本と人手の不足により、グローバル市場への参入に限界があるのも事実だ。

特許庁は、産業分野別に競争力を向上させるため、様々な取り組みを続けている。昨年9月、特許庁は産業別の体系に合わせて審査組織を再編した。また、産業界の目線に合わせた特許を付与するための基準の策定に向けて、産業現場とのコミュニケーションおよび協力を強化している。特に特許庁は、中小企業がターゲット市場に参入するための製品開発と特許戦略に取り組んでいる。

こうした取り組みの一環として、生活家電分野の専門情報紙である「生活家電、さらなる跳躍を」を創刊した。創刊号には3大大型家電であるエアコン・冷蔵庫・洗濯機を中心にグローバル市場の見通しや最新技術と特許出願の動向の分析、産業現場のルポなどの記事が盛り込まれている。

特許庁は今後、生活家電分野においてグローバル競争力を備えた製品が開発されるように、最新技術の動向のみならず、国別の市場環境および消費トレンドを研究する計画だ。研究の成果は、四半期ごとに情報紙を通じて産官学に提供される予定で、単なる成果の伝達に止まるのではなく、産業界のニーズを反映して産業界と協力して有意義な研究を進める計画だ。

特許審査1局のチョン・セチャン局長は、「産業現場との持続的なコミュニケーション強化を通じて、国内生活家電業界のターゲット国の市場に合わせた知的財産権の対応戦略を樹立し、グローバル市場を席巻する製品が発売されるよう最善を尽くしていきたい」と述べた。

※同情報紙は、産官学および関連団体に無料で配布されるほか、ネットを通じて誰もが閲覧できるように特許庁生活家電研究会のホームページでも提供している。

※情報紙の電子メール配信を希望する機関・団体は、「生活家電研究会」のホームページ(http://www.kipo.go.kr/club/airtech)、または電話(042-481-5465)までお申し込みください。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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