知的財産ニュース IDの競争力のため「政府持分を除くべき」

2013年10月13日
出所: 電子新聞

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韓国の第1号特許管理会社(NPE)のインテレクチュアル・ディスカバリーは、収益を創出できない「慢性的な赤字」から脱するため、海外企業と訴訟を繰り広げる「攻撃型モデル」へのシフトを準備している。しかし、特許買収に政府の公的予算が投じられているため、国際的な貿易紛争に巻き込まれる可能性が指摘されている。知的財産の専門家は、民間の積極的な参加を通じて競争力を備えるべきだとアドバイスした。

13日、業界と政府関係者によると、当期の純損失が続いているインテレクチュアル・ディスカバリー(ID)は、新たな収益も出るとして、海外の特許侵害に対応する「攻撃型のモデル」へのシフトを図るという。IDの持分は、産業通商資源部参加の準政府機関である韓国産業技術振興院(KIAT)が保持している。政府主導のNPEであるだけに、国際的な紛争を回避するためには、KIAT持分18%を除いた残りの民間企業の持分を活用し、新会社の設立の方向で進められるというのが業界の見方だ。

国内企業を非差別するNPE

IDが海外での訴訟で収益を創出したとき、国際貿易紛争に拡大しかねないというのが専門家の意見だ。産業通商資源部は、すでに、電子新聞が「ID、海外特許紛争のとき、世界貿易機関(WTO)提訴対象になり得る」という趣旨の記事に対し、「IDは、すでに公的機関となっており、ETRIのような政府系研究機関も海外企業を対象に特許訴訟を進めている」と解明した。しかし、知財の専門家は口をそろえ、「IDは研究開発(R&D)を遂行しないNPEなので、海外訴訟で紛争になるリスクは変わらない」と懸念を示している。

国内企業の被差別問題も気がかりだ。IDが海外特許侵害を理由に訴訟を提起するためには、該当の特許権者が韓国企業であっても提訴できなければならない。しかし、公的機関であるIDとしては、自国企業を攻撃できないジレンマに陥ってしまう。IDが保持している特許プールは、LEDやモバイル・ハンド対・次世代電池など、韓国が主力産業としている分野だ。

海外訴訟モデル、競争力はあるのか

最大の特許紛争市場とされる米国から問題は始まる。米国では、現在、NPE規制案が発議されている。該当規制には、「大学、または大学と関連している技術移転組織でない者」をNPEとして定義し、特許侵害を立証できない場合、すべての訴訟費用を負担する。大学や政府系研究機関は、R&D機関なので、NPEの範囲から逃れるが、IDは違う。

IDが攻撃型訴訟モデルを遂行できる能力があるのかについても疑問が提起されている。ある政府関係者は、「海外特許訴訟のためには、特許弁護士など、法律専門家(Legal Staff)インフラが構築されていなければならない。特許侵害の可否から、企業調査などの情報獲得、データベースの確保なども必要だ」と説明した。現在、IDの職員は33人にすぎない。

「民間参加を拡大し市場競争力を備えるべきだ」

IDが公的機関であるだけに、攻撃型NPEモデルの収益性と規制に対する懸念の声も高まっている。専門家は、IDの持分に参加しているサムスン電子、ポスコ、SKハイニックスなどの大手企業の役割を強調する。ある中小企業の代表は、「大学や政府系研究機関、中小企業から買収した特許を株主が利用しているばからりという批判も少なくない。IDの競争力を確保するためには、手をこまぬいている大手企業が動くべきだ」と語った。ある知財専門家は、「NPEモデルを政府が主導しては、グローバル活動にネックが多い。最終的には、ID政府持分を除いて民営化した後、市場に任せるのが生き残りのための競争力を得る方法だろう」と説明した。

戦略分野

合計

戦略分野

合計

登録

出願

合計

登録

出願

合計

LEDモジュール

63

42

105

セキュリティ

20

36

56

LED照明

136

36

172

スマート機器部品

83

11

94

LTE

296

178

474

映像及び治療機器

9

19

28

Multimodal Interface

82

18

100

融合バイオ

29

50

79

UX相互作用

50

98

148

知能型自動車

45

48

93

名の粉末高機能素材

69

29

98

次世代テレビ

61

130

191

動画コデック

21

236

257

次世代近距離通信

76

150

226

ロボット機械駆動技術

104

41

145

次世代ディスプレイ

36

10

46

モバイルサービス

135

302

437

次世代電池

149

172

321

モバイルソフトウェア

57

50

107

クラウドコンピュータ

69

40

109

無線電力送受信

0

25

25

ディスプレイ部品

82

53

135

半導体工程設備素材

170

17

187

電力及び節減

5

10

15

半導体特化デバイス

120

56

176

合計

1,967

1,857

3,824

クォン・ドンジュン記者

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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