知的財産ニュース グラフェンの商用化、オリジナル技術確保で早期実現

2013年9月3日
出所: 韓国特許庁

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世界的に注目されているグラフェンは、薄いのに高強度で、熱伝導性が高く、電子の流れの速い透明物質で、次世代半導体と曲がる透明ディスプレイ産業の成長をけん引する新素材として認められている。

これまで積極的に研究が行われてきた炭素ナノチューブ素材は、加工が難しく商用化に失敗したが、グラフェンは、生産プロセスが単純で、事業化の可能性が高く、世界的にグラフェンのオリジナル技術確保を通じた市場の先取り合戦が激しさを増している。

最近、韓国の研究陣がグラフェンの商用化の早期実現につながるグラフェン半導体のオリジナル技術を世界で初めて開発確保した。これは、グラフェンだけで構成された素子の組合仕組みで、従来のシリコンを利用した半導体より100倍速く、パソコンの起動スピードとフレキシブル透明ディスプレイの実用化に不可欠なコア技術だ。

また、グラフェン素材の国産化に向けた黒煙精製技術、グラフェン‐は、ナノワイヤーの複合体で製造された透明電極製造技術、グラフェンを利用した透明ディスプレイの量産技術など開発に成功し、輸入代替効果とフレキシブル電子産業の商用化に莫大な波及効果をもたらしている。

韓国特許庁によると、2005年から2013年6月まで韓国に出願されたグラフェン関連特許は、計2921件となっている。

出願動向を年度別に分析すると、グラフェンの分離に初めて成功した2004年以降、2005年3件、2006年7件にすぎなかったのが2008年には56件と徐々に増加し、2009年からは204件と爆発的に増加し、2001年423件、2011年731件まで2倍に増加し、2012年には954件になり、2009年度に比べて約5倍の増加率を示した。

国内人に対する外国人の出願割合は、2007年から国内人が70%以上を占め、2013年には97%に達した。

詳しくは、サムスン電子(224件、7.7%)とサムスンの系列会社(225件7.7%)の出願件数が最も多く、その次にLG系列社が180件で6.2%、ソンギュンクァン大学(147件、5%)の順となっており、外国人は、日本のSEL(11件、0.4%)が最多出願をしている。

イギリスのBBC放送局が報じたグラフェン関連の世界の特許動向分析によると、企業では、2位のIBM(134件)の3倍を超える水準でサムスン電子が1位(407件)を獲得しており、研究機関ではソンギュンクァン大学が134件で1位となり、国内と同様にサムスン電子とソンギュンクァン大学がグラフェン関連の研究開発及び特許ポートフォリオ面で世界最高水準にあることが明らかになった。

主な技術分野別では、ナノ素子分野が全体の57%を占め、ナノ素材が38%、ナノ基盤工程とナノバイオ・医療分野は、比較的に低い水準の3%と2%と、この分野の研究開発はまだ不十分であることが分かった。

細部応用技術では、ディスプレイ、メモリー、半導体などの光・電子素材分野が1095件と、特許集中度が最も高く、ナノ粉末素材が697件、2次電池が170件で、ナノ素材開発と2次電池の研究が積極的に行われている。

特許の集中度が高いナノ素子分野は、海外の競合会社に対抗できる比較優位分野として、結果的にグラフェン商用化の可能性が高く、市場の波及効果も大きい分野として、オリジナル特許確保の可能性も高いといえる。

化学生命工学審査局のホン・ジョンピョ局長は、「韓国がナノ素子分野の大国として位置づけられつつある現在、グラフェン応用化技術及び生産プロセスのオリジナル特許の確保と、それに基づいた早期実用化の実現を通じて、グローバル市場の先取り戦略に拍車をかけるべき時期だ」と力を込めた。

グラフェン分野の年度別の特許出願件数

グラフェン分野の年度別の特許出願件数(単位:件、():%)

年度

'05

'06

'07

'08

'09

'10

'11

'12

'13.06.

合計

国内人

0

(0)

0

(0)

16

(70)

45

(80)

174

(85)

352

(83)

683

(93)

927

(72)

507

(97)

2,704

(93)

外国人

3

(100)

7

(100)

7

(30)

11

(20)

30

(15)

71

(17)

48

(7)

27

(28)

13

(3)

217

(7)

合計

3

7

23

56

204

423

731

954

520

2,921

グラフェン分野の多出願企業の現状

順番

企業名

出願件数

1

サムスン電子

224

2

サムスンの系列会社(SDI,テックウィン、電機、第一毛織)

225

3

LG 系列会社

180

4

ソンギュンクァン大学

147

5

韓国が額技術院

129

6

ソウル大学産学協力団

78

7

韓国科学技術研究院

76

8

韓国電子通信研究院

62

9

電子部品研究院

47

10

日本のSEL

11

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