知的財産ニュース 原子力研 核燃料素材の特許紛争で最終的に勝利

2013年4月8日
出所: デジタルタイムズ

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韓国の原子力研究院が独自開発した核燃料素材の技術をめぐり、世界最大の原子力企業と約7年間繰り広げてきた特許紛争で最終的に勝訴を勝ち取った。

韓国原子力研究院は、原子力材料開発部のチョン・ヨンファン博士チームが独自開発したジルコニウム合金核燃料被覆管である「ハナ被覆管」関連の欧州特許について、フランスのアレバ社が欧州特許庁(EPO)に提起した特許無効訴訟で「原案通り特許性を認める」という最終判決を言い渡されたと7日発表した。

今回の判決は、2005年にアレバ社が提起した1回目の異議申し立てについて、欧州特許庁が2010年10月に棄却判定を下したことに続いた2回目の棄却だ。それ以上の控訴提起はできない。

約7年間繰り広げてきた国際特許係争で最終的な勝利を勝ち取り、韓国が独自開発した技術を国際的に公認されることとなった。

核燃料被覆管は、原子力発電所の燃料になる核燃料のコア部品だが、独自技術を確保できず、世界市場はフランスのアレバ社や米国のウェスティングハウス社などに牛耳られていた。

チョン博士チームは、1997年から15年間の研究開発の末、従来の商用被覆管はもちろん、原子力先進国が開発した最新素材製品より性能が優れた「ハナ被覆管」を開発、原子力素材分野で10~15年の技術格差を克服し、先進国と対等な技術力を確保することに成功した。

この技術は、韓国原子力研究開発史上では過去最高の技術料100億ウォンで昨年12月に企業に移転され、商用化の手続きを行っている。全量を輸入に依存してきた被覆管素材を国産化できたことで、年間、500億ウォンに達する輸入代替効果が期待されている。

チョン・ヨンファン博士は、「今回の勝訴は、原子力先進国の係争攻勢に真正面から向き合って戦った成果であり、韓国の原子力研究陣が独自開発した技術の価値が国際的に認められた。非常に大きな意味がある」と説明した。

核燃料被覆管は、ウラン核燃料を包んで放射性物質が外部に漏れないようにする1次的な防護壁であり、核分裂連鎖反応によって発生する熱を冷却水に伝える機能を果たすコア部品だ。米国やフランスなどの一部の先進国が世界市場を独占している。

イ・ジュンギ記者

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