知的財産ニュース 中小企業 知財権で最大20億ウォン貸し出し可能に

2013年3月19日
出所: 電子新聞

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物的担保を持っていない中小・中堅企業も特許権などの知的財産権だけで最大20億ウォンまで貸し出すことが可能になる見通しだ。

韓国特許庁と韓国産業銀行は、19日、業務協約を結び、こうした内容を盛り込んだ知財権担保の貸し出しを今月末から施行することで合意した。

両機関は、特許権・商標権・デザイン権など、これまで担保として認められなかった知財権を有形資産の不動産などと同様に評価することにした。

この協約によって特許保有企業は、評価された価値金額を担保として認められ、実際に事業化されて売上が発生した知財権で最大20億ウォンまで事業化資金の貸し出しを受けることができる。

知財権の担保貸し出しは、1990年代後半から韓国の金融界で動きはあったが、担保の知財回収が行われず、大きな損失を残して失敗に終わった。

こうした事例を踏まえ、韓国特許庁と産業銀行は、企業経営が厳しくなった時に担保知財を売却して収益化できるよう支援するファンドを発売する。韓国特許庁が50%以上、産業企業が20%以上、約200億ウォン規模の出資枠を決めている。このファンドは、企業の担保知財を買収して貸出機関と分担し、売却・ライセンス・訴訟などの様々な方法を通じて知財を収益化し、利益を上げるのが目的だ。

貸出金の回収時に現金化の可能性に重点を置く形で知財担保価値評価モデルも見直した。

韓国特許庁と産業銀行が共同で開発するこの評価モデルは、評価の対象を法的権利である知財権と明記し、知財権が起業と分離された時に独自で収益を創出できるかどうかに焦点を合わせた。

特許と技術を区分しない従来の技術価値評価モデルでは、技術の事業化に伴って得られる売上と収益をベースに評価を行っていた。

IPキューブパートナーズのミン・スンウク社長は、「これまでは、使える特許がないと見切られていた韓国知財市場に、今回の担保知財価値評価のモデルが変化を巻き起こすのでは」と期待を示した。

特許業界では、知財権担保貸し出し制度の導入により、企業が高い価値評価を受けるために権利の補強や海外出願を強化し、長期的には市場に「儲かる特許」が多くなる見込みを示している。

キム・ヨンミン特許庁長は、「今回の知財権担保貸し出し制度の施行は、特許権の価値と可能性について、両機関が確信を持っているから実現できた。今後、この制度を国政目標である雇用中心の創造経済の実現に大きな役割を果たす金融システムにしたい」と述べた。

韓国産業銀行のカン・マンス頭取は、「規模によって差はあるが、今後約5年間、2000億ウォン以上の知財権担保の貸し出しができる金融構造を両機関で構築した。この制度は、知財事業化の促進はもちろん、優秀な知財の創出に貢献する好循環の形成につながるだろう」と述べた。

シン・ソンミ記者、キム・ジュンベ記者

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