知的財産ニュース 未来の強軍 特許で育てる

2013年4月9日
出所: 韓国特許庁

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韓国特許庁と陸軍、空軍、大韓弁理士会は、4月8日、忠清南道鶏龍の陸軍本部及び空軍本部にて「軍の知的財産環境構築に向けた業務協約」を締結した。
※特許庁-陸軍-大韓弁理士会のMOU:4月8日、15:30、陸軍本部
※特許庁-空軍-大韓弁理士会のMOU:4月8日、16:10、空軍本部

2013年における国防R&D予算は、約2.47兆ウォンと、韓国政府R&D予算の約15%を占める。研究開発によって創出された知的財産の体系的な管理が必要であり、軍の戦闘力の向上や予備産業人材である軍将兵の知的財産創出能力の育成には、軍将兵の知的財産認識の拡大に積極的に取り組むべきだということで意見が一致したためだ。

軍の知的財産管理能力の不足により、研究開発成果を民間企業が単独で特許登録して独占権を行使しており、調達品のコスト上昇の原因として指摘されてきた。そのため、問題となった特許の返還、不当な利益の回収を解決し、研究開発成果の正当な権利帰属などを実現するためには、軍の知的財産の体系的な管理が求められていた。
陸軍は、6月に知的財産権の創出及び管理を担当する組織を新設し、「知的財産権管理業務規定」を確立した。空軍は、現在関連組織の新設を推進している。

また、陸軍と空軍は、知的財産管理組織の専門性向上を図るため、弁理士資格を持っている弁理士専門士官を選抜する計画だ。

陸軍は、2013年2月、弁理士専門士官2人を選抜し、2013年6月から知的財産管理組織に配置する。特許出願・訴訟、技術移転及び知的財産権政策の開発などの業務を担当する。

空軍は、弁理士試験の合格者を対象に5月10日まで志願書を受付、2013年12月任官を目標に選抜日程を進めている。

大韓弁理士会は、弁理専門士官がなるべく早く実務に投入できるよう、「(仮称)軍知財権サポーターズ」を組んで支援し、軍の知的財産管理組織を弁理士法令による実務修習機関として認め、除隊後の就職など、社会進出に役立てるよう支援する計画だ。

韓国特許庁は、知的財産担当将兵の専門性向上に向け、国際知的財産研修院の教育課程及びオンライン教育コンテンツを利用できるようにし、一般軍将兵を対象に知的財産教育※も展開していく計画だ。
※2012年度教育参加の実績:陸・海・空軍50部隊から6,946人

また、軍の職務発明制度の運営及び軍将兵発明大会※の開催、その他知的財産の創出・活用能力の強化のために協力していくことで合意した。

今回のMOUを通じて韓国特許庁、陸軍、空軍、大韓弁理士会が相互協力できる領域が広がると期待されている。

キム・ヨンミン庁長は、「イスラエルでは、軍生活で得た知識とネットワークを基盤にして除隊後創業する文化が定着している。韓国軍からも創意的なアイデアを発揮してもらい、創造経済の揺りかごになれるよう、最大限の協力を行う考えだ」と述べた。

チョ・ジョンファン陸軍参謀総長は、「陸軍の知的財産権政策の推進及び、業務システムの早期定着に向けた韓国特許庁、及び大韓弁理士会の積極的な支援に感謝する。今後、両機関の業務ノウハウを活用し、相互の有機的な協力を通じて国防予算を減らし、国防技術を発展させていくことができると期待している」と述べた。

ソン・イルファン空軍参謀総長も「今回のMOUは、持続的かつ包括的なパートナシップの構築の良い契機であり、民・官・軍協力の良い事例だ。空軍と両機関のきめ細かな連携は、知的財産競争力の向上を通じた国防経営の効率化、国の創造経済の実現の礎になれると期待している」と話した。

一方、大韓弁理士会のユン・ドンヨル会長は、「今回、弁理士専門士官の選抜は、弁理士の役割を軍にまで拡大できるよいチャンスだ。軍が知的財産を活用できる知的財産基盤のスマートな国軍になれるよう、積極的に支援していく」と約束した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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