知的財産ニュース サムスン電子の特許戦略 米国に集中…理由は?

2013年4月14日
出所: 電子新聞

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サムスン電子の特許経営の軸足が2009年から米国に移っていることが分かった。特許係争が本格化した時点と一致する。韓国で特許を登録して得られる実益が低いことが背景として挙げられている。

14日のサムスン電子によると、2009年以降、毎年韓国に登録した特許件数は1485~2013件で、米国の3611~5081件の半分を下回る。数値だけ比較すると、米国に2、3件出願した技術を韓国では1件しか出願しなかったことになる。

一般的に中小・ベンチャ企業は、コスト負担を理由に韓国に5~10件、そのうち1件程度を米国に出願する。コスト費用の負担が少ないサムスン電子も2007年には、国内登録特許件数が1万974件と米国の2725件の4倍だった。しかし、2008年、韓国への登録件数が著しく減少した一方、米国登録件数は増え、この傾向は現在も続いている。サムスン電子の関係者は、「海外で特許係争が増え、海外の特許登録の割合を高めた面がある」と説明した。

専門家は、その規模が小さく、まだ成熟していない韓国の知的財産市場の現状を考えると、サムスン電子の決定は当然だと話す。PNアイビ社のキム・ギルへ代表は、「国内に登録した特許の活用価値は無いに等しい。例えば、特許侵害を理由にサムスン電子が中小企業を提訴したとしても、実益はない。逆に中小企業を攻撃したと非難されるばかりだ」と説明した。また、他の知的財産会社の代表は、「侵害訴訟を提起しても勝訴率が低く、勝ったとしても賠償額が非常に少ない。サムスンとしては敢えて登録する必要はないと思っているだろう」と述べた。

一部では、韓国に登録した特許が米国への登録を妨げる足かせだと指摘する。両国に特許を出願すると、平均的に韓国への登録が先に行われるが、この過程で権利の範囲が縮小して「傷跡がつく」ということだ。業界の関係者は、「韓国の審査官は、権利の範囲を縮小して登録しようとする傾向がある。これは、米国の特許手登録にもそのまま影響する」と説明した。

サムスン電子の海外中心の特許戦略により、他の大手企業や政府系研究機関も同じ動きを示すとみられている。そのため、韓国の特許登録件数が数年後には減少に転じるという分析も出ている。業界は、知的財産を唱えるグローバルトレンドに合わせ、韓国も正当な評価と審判、損害賠償が行われるべきだと口を揃える。IPキューブのミン・スンウク代表は、「訴訟率と賠償額などを考えると、韓国では特許ビジネスが容易ではないのも確かだ」と指摘した。

キム・ジュンベ記者

サムスン電子の韓国と米国への特許登録の動き(単位:件、%)※出処:サムスン電子

区分

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

韓国

10,974

4,740

1,485

1,612

1,610

2,013

米国

2,725

3,515

3,611

4,551

4,894

5,081

割合

24.8

74.2

243.2

282.3

304.0

252.4

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