知的財産ニュース サムスンとLG「特許共有」するか

2013年2月13日
出所: デジタルタイムズ

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ディスプレイ訴訟戦は一段落…両側「前向きに議論中」

サムスンディスプレイが仮処分申請を取り消してLGディスプレイも前向きな方向で検討しており、両社の訴訟合戦は一段落した様子だ。関心は、両社がクロス・ライセンスをいつ、どのような方式で締結するかに集まっている。

LGディスプレイは13日、その前日の仮処分申請取り消しに対応するための方策を議論した。公式コメントは発表していないが、早ければ今週内に、遅くても来週初めには措置が取られる見通しだ。

会社の関係者は、「基本的に前向きに検討する。技術的な手続きなどの問題をまとめている状態だ。お互い営業妨害などの消耗的な対立は回避する方向で検討中だ」と述べた。

サムスンディスプレイも前日の訴取消しに続き、お互いが建設的な方向で議論を進展するという立場を再確認した。サムスンディスプレイのキム・キナム社長は、同日にサムスン電子社内で行われた水曜社長団会議後のインタビューにおいてLGディスプレイとの特許訴訟についてコメントした。「前向きな方向で進めていきたい」という。サムスンディスプレイは、12日、昨年9月にLGディスプレイを相手に提起した有機発光ダイオード(OLED)技術使用差し止め仮処分申請を突如取り消した。

その次のステップとして両社のクロス・ライセンス締結の可能性とその範囲に関心が向けられている。訴訟合戦は一段落を付ける方向で進展しているが、クロス・ライセンスの締結には慎重な姿勢だ。キム社長は、この日、クロス・ライセンスについて尋ねたところ、「もう少し考えたい」と述べ、LGディスプレイも「特許技術は正当な評価が必要だから、時間を置いて検討すべきことだ」と述べた。

両社がお互いの特許を共有したのは、1992年テレビのブラウン管と液晶パネル(LCD)関連特許約8000件を共有したのが唯一だ。当時の金星社(現在のLG電子)とサムスン電管(現在のサムスンSDI)のそれぞれの4000件に及ぶ特許を共有することで合意し、外国との特許紛争交渉の内容も公開することとした。その後の21年間は、技術的な発展にもかかわらず、特許共有した事例は一度もない。

業界では、これまでの特許紛争から判断すると、訴訟合戦がある程度進んで和解とクロス・ライセンス契約の締結が行われたとして問題は直ちに解決できないという見方を示している。OLEDの場合、今後のディスプレイ市場のシェアを左右する有望技術であるため、特に難しくなる見込みだ。昨年、発光ダイオード(LED)分野でドイツのオスラムは、サムスンとLGとの特許訴訟を取消し、クロス・ライセンスを締結したが、それも訴訟提起後1年以上が過ぎてからのことだ。LED専門メーカーソウル半導体は、日亜との特許紛争を4年間も行った。半導体分野でも2008年、サムスン電子が松下電機と半導体特許侵害の訴訟を終え、特許を共有したが、それは米国裁判所が「両社相互間の特許侵害はない」という判決が出された後に進められた。

しかし、訴訟が長引けば長引くほどお互いにとって重荷になり、世界首位を争う両社がお互いの特許関連の弱点を知り尽くしているため、クロス・ライセンスの締結で早いうちに解決できる可能性もささやかれている。

特許事務所チョンアンのイ・サンチャン代表弁理士は、「お互いが特許リスクを抱えているため、これ以上、全面的な裁判沙汰を繰り広げることはないだろう。提起した訴訟全ての特許を共有するのは無理だが、限られたクロス・ライセンスが迅速に進められることはあり得る」と話している。

イ・ホンソク記者、カン・スンテ記者

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