知的財産ニュース 中小企業の特許維持コスト縮小案を推進

2013年3月26日
出所: 電子新聞

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中小企業に限定して4年目から大幅に増える特許維持コスト(年次料)を縮小する案が推進される。競争力の源である特許を一時的な資金繰りを理由に放棄することを防ぐためだ。パク・グンヘ政権の知的財産中心の創造経済の実現への意志とも言える。電子新聞は、年次料の未納による特許放棄の対策について幾度も提案してきた。

韓国特許庁の高官は、26日、個人と中小企業の特許維持負担の縮小案を検討していることを明らかにした。この高官は、「特許登録4年目から中小企業の特許放棄率が増えている。特許維持が厳しくなる時期だ。負担を減らせば、特許維持に大いに役立つはずだ」と説明した。

韓国政府は、権利維持料を登録4年目から請求している。登録決定初年では、3年分の基本料と請求範囲当たりの加算料をそれぞれ4万5000ウォン(年ベースで1万5000ウォン)と3万9000ウォン(年ベース1万3000ウォン)を支払う。個人と中小企業は、登録料の70%の減免を受ける。例えば、特許の1件当たり10個の請求項目があるとすれば、42万5000ウォンを支払うべきだが、減免されて3年分の13万5000ウォンを納付すればいい。

特許維持コストは、年次料を支払う初年の4年目から大幅に増える。4~6年目には、基本料と加算料が年ベース4万ウォンと2万2000ウォンとなる。そのため、費用が増えるうえ、減免されていた70%のコストも支払わなければならなくなる。企業としては相当な負担だ。また、7年目からは10万ウォン(基本料)と3万8000ウォン(加算料)で2倍前後に上がる。4年目からコストを増やしているのは、不必要な特許維持を防ぐためだ。

個人と企業の特許放棄は、4年目から続出し始める。2月現在の特許現状資料を見ると、中小企業は、1~3年目には6万271件を保有していた。しかし、それが4~6年目には3万7544件に約40%減少する。個人(韓国人)も4万3564件(1~3年目)から2万5353件(4~6年目)に40%も減少する。一方、同じ期間に大手企業は、5万8359件から5万3332件に小幅減少にとどまっている。中小企業は、特許が会社の競争力を示すとすれば、コストの負担が大きな影響を及ぼしたと分析できる。あるインターネットサービス会社の代表は、「初年には70%減免なのに4年目から100%を支払わなければならないし、コストも値上げして負担が大きい。特許登録を維持していれば、毎年1000万ウォン以上のコストになる」と説明した。この会社は11件の特許を出願したが、コスト負担を理由に6件を放棄した。

専門家は、将来には特許の放棄が巨大な損失につながると懸念を示した。特許管理会社(NPE)IPキューブパートナーズのミン・スンウク代表は、「特許の価値は、せめて5年、一般的には10年後に判明される。最近、海外の特許年次料が値上げしたため、企業の負担を減させることは、特許経営に役立つはずだ」と述べた。

特許料の減免を全ての企業に拡大適用するかはまだ分からない。韓国特許庁の関係者は、「年次料の減免は、財政の健全性に悪影響を与える。中小企業の全てか、一部のみを対象にするかは検討すべき問題だ」と述べた。韓国特許庁は、中小企業の年次料減免案を下半期に施行する計画だ。

キム・ジュンベ、クォン・ドンジュン記者

大手・中小企業・個人の特許存続現状(単位:件) 資料:特許庁(2013年2月末現在)

区分

1~3年目

4~6年目

7~9年目

10~12年目

13~15年目

16年目以上

大手企業

58,359

53,332

53,418

13,672

6,336

122

中小企業

60,271

37,544

24,138

6,561

2,167

28

個人(韓国)

43,564

25,353

14,218

4,424

1,666

355

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