知的財産ニュース 激しかったコインセル特許紛争 「日本に勝った」

2013年4月8日
出所: 電子新聞

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日本の日立マクセルとの間で繰り広げられたリチウムイオン電池特許係争で韓国のベンチャ企業が勝訴した。エネルギー集積度を高めた超小型リチウムイオン電池(コインセル)技術を守り抜け、スマートウォッチなどのバッテリー納入市場に先行するきっかけになると期待されている。


ルートジェイドが開発した硬貨サイズの電池

ルートジェイド(Route JD)は、日立マクセルが持っているリチウムイオン電池関連特許の無効評決を日本関税庁の特許専門委員会から得たと7日に発表した。そのため、日立マクセルが求めたルートジェイドのリチウムイオン電池の日本輸入差し止め措置が見送られる。日本関税庁の評決であるため、その後の特許審判院で日立マクセルの特許が無効になる可能性が高いというのが専門家の見方だ。

ルートジェイドは、2000年設立された超小型リチウムイオン電池を量産する韓国企業だ。世界初のコイン型バッテリーを開発し、日本の自動車メーカーをはじめ、世界有数の大手自動車メーカーに納品した。ルートジェイドと日立マクセルの特許係争は、2007年にまでさかのぼる。当時、日立マクセルは、ルーツジェイドと技術ライセンスを契約して超小型リチウムイオン電池技術を提携し、製品の共同生産を図った。ルートジェイドのキム・ヨンドク代表は、「日立マクセルが1年後にいきなり契約を白紙に戻した。ルートジェイドの持っている「ポケッティング」などの関連技術の分析を終えて撤退したのだ」と説明した。

日立マクセルは、東芝が1998年に出願したリチウムイオン電池の特許を買い取った。ルートジェイドは、「約10年間登録されず忘れられていた技術を日立マクセルが補完して日本特許庁に登録した。その後、韓国特許庁にも登録を終えて裁判を始めた」と語った。

日立マクセルは、同特許で日本と韓国の特許庁に特許審決取り消し訴訟を提起した。3月に日本関税庁にルートジェイドが日立マクセルの特許を侵害したとして、輸入差し止めを求めた。関税庁が構成した3人の専門委員は、日立マクセルの特許についてそれぞれ「無効」、「無効の可能性がある」、「無効が疑われる」という見方を示した。ルートジェイドの法務代理人は、「日本で3人の評価員が全て無効意見を表明するのは異例なことだ。特許審判員の判決が残っているが、前向きな結果を期待している」とコメントした。

ルートジェイドが日立マクセルの特許を無効化できる可能性が高まり、スマートウォッチなどの小型スマート機器のバッテリー市場で先行できると見込まれている。キム・ヨンドク代表は、「ルートジェイドのコインセル技術は、競合会社より30%以上も高いエネルギー集積度を誇る。リチウムイオン電池のエネルギー集積度が年間2~3%のペースで高まっていることを踏まえると、10年ほど先行した技術を守りぬけたといえる」と述べた。

クォン・ドンジュン記者

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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