知的財産ニュース ITC アップルに軍配…米大統領の拒否権行使可能性は低い

2013年8月11日
出所: 電子新聞

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アップルがサムスン電子を相手に提起した特許侵害訴訟において、米国際貿易委員会(ITC)がアップルに軍配を上げた。今回の決定により、10月から「ギャラクシーS」と「ギャラクシーS2」、「ギャラクシーTab 10.1」など、サムスン電子の旧型機種の米国への輸出禁止の可能性が高まった。サムスン電子が受ける金銭的な被害は大きくないが、今後、特許交渉においてアップルが有利な立場を取った懸念されている。サムスン電子は、控訴などのすべての法的手段を取り、対応に乗り出す方針だ。

米国際貿易委員会(ITC)は、アメリカ時間の9日、サムスン電子がアップルの特許を侵害したという最終判定を下した。

ITCは、ウェブサイトに掲載した決定文において、「サムスン電子がアップルの一部特許を侵害した」として該当サムスン電子の機種の米国への輸入と販売を禁止すると発表した。

サムスン電子が侵害したという特許は、アップルが主張した4件の中で「ヘッドセット認識関連の特許」と「ヒューリスティック利用時のグラフィックユーザー環境特許」の 2件だ。問題となったデザイン特許を含め他の2件は、侵害を認めなかった。

ITCは、特許を侵害した訴訟対象の製品について、オバマ政権に米国内への輸入禁止を建議した。当初、アップルは、サムスン電子の「ギャラクシーS」、「ギャラクシーS2」、「ギャラクシーネクソス」、「ギャラクシーTab 10.1」などを訴訟対象にしたが、今回、2件の特許だけ侵害が認められたため、一部は最終輸入禁止のリストから除外される可能性もある。

オバマ大統領と貿易代表部(USTR)は、60日以内にITCの建議を受け入れるか、拒否権を行使するのかを決めなければならない。この検討期間中にも、供託金を出して販売と輸入を継続することができる。

専門家は、オバマ大統領が今回の決定に拒否権を行使する可能性は低いという見方を示している。前回のアップルとサムスン電子の特許侵害と関連し、拒否権を施行した理由は、標準特許乱用を牽制するという目的があった。しかし、今回は、標準特許ではない商用特許を侵害したため、拒否権行使の可能性が低いという見通しが提起されている。 ただ、消費者の被害を懸念して拒否権を行使する可能性は残っているという分析も出ている。

サムスン電子は、今回の決定に遺憾を隠さなかった。さらに、オバマ大統領が拒否権を行使せず、判決を受け入れれば、控訴する構えだ。手続き上、輸入差止め措置を受け入れた後、控訴ができるためだ。

サムスン電子は、「デザイン特許は認められなかったが、サムスン電子の生産する携帯電話に対し、輸入差止め措置を下したことは非常に遺憾に思う。私たちの主張が受け入れられるよう、法的手続きをはじめ、すべての措置を取る考えだ」とコメントした。

クォン・コンホ記者

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