知的財産ニュース 「音」だけで溶接ができる

2013年6月12日
出所: 韓国特許庁

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「音」だけで溶接ができる
超音波溶接技術の特許動向

一般的に「溶接」という言葉を耳にすると、熱と騒音とともにあちらこちらに散る溶接火花が思い浮かび、溶接作業場の環境が熱気と匂いのせいで良くないと思いがちだ。一般溶接は、高温の炎で金属を溶かすが、音の一種の超音波エネルギーを用いて金属やプラスチックを接合する「超音波溶接」は、炎や煙が生じないため、これまで使用されている溶接の中では一番環境に優しい溶接技術だ。

超音波溶接は、一般電気を高周波電気エネルギーに変換し、再び振動子を利用して機械的な振動に変え、その振動の幅を増幅して発生した超音波エネルギーを溶接の対象物に伝達することで振動による摩擦熱を発生させて対象物を接合する技術だ。

一般的な溶接は、はんだなどのショルダー(solder、接合材料)を使用するが、超音波溶接は、それを利用しないで低い温度で接合するため、接合のスピードが非常に速く、煙や騒音が発生しない環境配慮型の溶接方法だとされている。

また、一般的な溶接技術では接合が難しい薄板や細いワイヤーなどにも適用可能で、金属の性質が異なる2種類の接合にも使用できるというメリットがある。

そのため、かつては自動車などの機械産業分野で利用されていたこの技術は、太陽電池、半導体、電機通信などの最先端技術に適用分野が広がりつつある。

韓国特許庁によると、超音波溶接技術に関する特許の出願は、2002年に6件に過ぎなかったが、2011年に23件まで増加し、最近の10年間、約130件が出願された。

出願別では、超音波溶接設備と、超音波を溶接対象に伝達する超音波のホーンに関する特許出願が約56%と、最も高い割合を占めている。次に、熱交換器、自動車、冷却設備など、機械製品に超音波溶接を適用した発明の出願が出番の18%で、超音波溶接を用いた電子製品の溶接に関する出願が約12%を占めた。

韓国特許庁の関係者によると、工程の効率、及び作業環境への関心が徐々に高まっており、超音波溶接技術の適用分野である自動車産業と、電機産業の規模が着実に成長していくと予想されているため、超音波溶接技術の適用分野の拡大だけでなく、関連業界の研究開発もさらに強化するとみられている。そのため、様々な方式の超音波溶接技術に関する特許出願がこれからも増加すると予想されている。

図:超音波溶接技術の年度別における特許出願の動向グラフ、超音波溶接の分野別における特許出願の動向グラフ

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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