知的財産ニュース 衝撃的なアップル税、 IPリーダは口を揃えて…「国家IP競争力の弱さがもたらした結果だ」

2012年8月27日
出所: 電子新聞

3719

「最悪のシナリオだ。」

週末に報じられた「サムスンアップルの裁判結果」の衝撃に対する「知的財産(IP)リーダーズフォーラム」の反応だ。評決の結果は、今後も続く様々な特許裁判の始まりにすぎないということだ。「ファストフォロワー(fast follower)」を含めた企業の成長戦略の全面的に修正が余儀なくされるという意見も出された。グローバル特許訴訟合戦は、始まったばかりであり、米国を筆頭に各国は、特許を自国産業の保護手段として使うという予測もあった。「IPリーダーズフォーラム」は、電子新聞と韓国知識財産サービス協会が共同で国家 IP産業の競争力強化のために27日発足したフォーラムだ。

米国の評決について最も懸念される点は、第3国の裁判に及ぼす影響だ。専門家は、影響の可能性が高いと判断した。IPリーダーズフォーラムのぺク・マンギ会長(知識財産サービス協会長)は、「特許判決において米国の結果が一つの前例となる。韓国の判決内容が及ぼす影響とは比べにならないほど大きい。」と強調した。ぺク会長は、「米国の評決で、特許が産業保護につながりかねないことが立証された」として今後の影響に懸念を示した。東京地方裁判所が8月31日に中間判決を下し、9月にはドイツとオランダでの審理が予定されている。

韓国企業の特許対応への甘さも批判された。 IPサービス産業の老朽化・零細さによる限界を指摘する声もあった。アニファイブのキム・ギジョン代表は、「大企業が IP戦略部署を設けてはいるが、きちんと機能しているとはいえない。外国企業は、出願の前にマーケティング、技術事業化、ライセンシングなどを半年ほどかけて総合的に検討するが、韓国は、出願の量的拡大にこだわっている。」と指摘した。

裁判所の甘い見方も指摘された。P&IVYのキム・ギルへ理事は、「韓国の特許裁判の結果を見ると、侵害への損害賠償額が小額すぎる。IPへの関心は高まったのに、特許の価値は依然として見下されている。」と指摘した。韓国の損害賠償方式が暫定的な被害から、確認される被害が中心になっているためだ。

米国の評決に「意匠権(デザイン権)」が決定的な影響を与えただけに、その対応策も求められた。ぺク会長は、「アップルでのエンジニアのランキングは、デザイン、ソフトウェア、ハードウェアの順だ。デザイナーの一言は、開発に絶対的な影響を及ぶ。それが意匠権になる。」と述べた。

ハードウェアのエンジニアを最優先視している韓国とは違う。ウィップスのイ・ヒョンチル代表も「韓国企業もデザインの権利化に関心を持ち始めたが、特許専門家がデザインを理解する程度にすぎない。その逆方向(デザイナーが特許を理解)に行くべきだ。現水準では、きちんとしたデザインが開発され、それが意匠権として登録されるか疑問だ。」と述べた。

インテレクチュアル・ディスカバリーのコ・チュンゴン副社長は、靴メーカーのクロックスの例をあげ、「いまや、独特な外見そのものが商標権として認められる時代だ。デザインがそれだけ重要になった。韓国企業が見逃していた面がある」と説明した。

IPサービス産業の老朽化への批判と対応への注文が相次いだ。IPcubeパートナーズのミン・スンウク代表は、「1つのアイデアと技術は、サービス産業が足並みを揃えたときこそ、競争力のある特許になる。韓国企業がハードウェア標準特許だけにこだわっていたため、戦える武器が少なかった。」と指摘した。

マクプロのチャ・サンジン代表は、「電子メールの公開が判決に大きな影響を及ぼしたが、それが‘e-discovery’ビジネスだ。韓国にはこのようなビジネスは存在すらしない。 IP競争力が企業(製造業)の競争力に比べ非常に低いレベルだ。」と述べた。参加者の中からは、外国の IPサービス会社が韓国市場に進出すれば、韓国企業は競争で勝てないという懸念の声も上がった。

キム・ジュンベ記者、クォン・ドンズン記者

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195