知的財産ニュース サムスン電子、欧州で独占禁止法違反の危機

2012年12月23日
出所: 電子新聞

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サムスン電子が欧州において独占禁止法の違反にあたる疑いがあるとして提訴の危機に直面した。

欧州連合執行委員会は、21日(欧州時刻)、アップルが標準特許を侵害したとしてサムスンが提起した訴訟は、競争促進の規定に違反している可能性を盛り込んだ異議申し立て書(SO: Statement of Objections)を出した。

EU競争委員長であるホアキン・アルムニア(Joaquin Almunia)氏は、「特定企業の特許技術が産業標準になった後にその標準技術を使用したことを理由に訴訟を提起することは、競争促進を阻害するものだ」と述べた。

また、「サムスン電子が標準特許を利用してアップルとの訴訟を繰り広げることは、市場支配的な事業者の権限乱用に該当する。EUの独占規制規定に違反している。」と通報した。

サムスン電子は、EU諸国においてアップルが自社の標準特許を侵害したとして販売差止めを求める訴訟を繰り広げている。これについてアップルは、サムスン電子が「公正かつ合理的で、非差別的に提供すべきである」というFRAND条項に違反したと反論し、EUは、独占禁止法の違反について調査を行ってきた。

しかし、今回のEU執行委員会の意見が最終的な結果ではない。委員会は、この事件を検討し、サムスン電子を規制できる。

サムスン電子は、発表の直後である18日、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどでアップルの販売差し止め禁止要請を撤回し、今回の発表に備えた。

サムスン電子の関係者は、「当社は、標準特許使用において、欧州連合の独占禁止法と規定を充実に従っており、それを立証するために調査には誠実に臨む」と述べた。

米国知的財産専門企業TechIPMのイ・グンホ代表は、「サムスン電子が反独占法に違反したとEUが宣言してしまった場合、標準技術関連の製品販売額の最大10%を罰金として支払わなければならない。既に、サムスンがアップルに対する販売差し止め訴訟を取消し、これから標準特許を乱用しないという誓約と実践計画などを提出したため、是正命令程度で終わる可能性が高い。」と述べた。

高麗大学法科大学のキム・ギチャン教授は、「EU執行委員会は、標準特許を乱用して競合会社の製品販売を差し止めすることには強硬な姿勢を示している。アップルのデザイン特許攻撃にサムスン電子が標準特許で防御したが、独占禁止法の違反を疑われる結果をもたらした。」と説明した。

キム・インスン記者

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