知的財産ニュース 国際標準特許の確保に脆弱な韓国…ロイヤルティ負担増に懸念

2012年9月4日
出所: 電子新聞

3742

国際標準特許の確保が米国・日本など、特許大国に比べて非常に少ない件数にとどまっている。国際標準特許は、よく国の特許競争力に例えられる。質よりは量的な拡大に傾けた結果だと分析される。

4日の電子新聞が韓国特許情報院の標準特許センターに依頼し、主要標準化機構に登録されている標準特許の現況(6月末現在)を把握した結果、韓国の標準特許確保の割合が0.6%から8.3%に止まったことが把握された。

国際標準化機構(ISO)の標準化特許には、514件が登録されているが、韓国の保有件数は、3件(0.6%)にすぎなかった。日本が半分以上の273件(53.1%)、米国が142件(27.6%)を保有していた。韓国は、ドイツ31件(6.0%)、イギリス24件(4.7%)、オランダ14件(2.7%)など、欧州に続き9位になった。

国際電気標準会議(IEC)とISO/IEC JTC1標準特許でもそれぞれ160件と82件、それぞれ5.7%と3.3%にとどまった。 ISO/IEC JTC1は、 ISOと IECが情報技術国際標準化に向けて立ち上げられた団体だ。両国際標準で米国はそれぞれ974件(38.7%)と1032件(37.0%)と最も多くの特許を保有していた。韓国の順位は、 IECで欧州と日本・豪州に続き、7位、 ISO/IECで5位だった。

国際電気通信連合(ITU)の電気通信標準化部門(ITU-T)と無線通信部門(ITU-R)の順位も6位(86件)と4位(34件)だった。順位は高いが、その割合は、3.1%(ITU-T)と5.2%(ITU-R)だった。

ITU-Tは、米国が36.4%(1015件)と最も多くを保有した。 ITU-Rでは、日本特許の割合が64.1%(418件)だった。 米国電気電子技術者協会(IEEE)標準特許の確保割合も1.7%と、米国(45.7%)、フランス(21.7%)、日本(10.1%)などに比べ非常に低い水準に止まっている。

欧州電気通信標準化機構(ETSI)が認めた標準特許は、韓国が2386件(8.3%)を保有し、日本(1203件、4.1%)より多くなったが、米国(1万4473件)、スイス(3590件)、中国(2435件)よりは低い水準だった。

専門家は、特許の出願件数が多くても標準特許の採択比率が低いことを問題として指摘している。国別の特許出願の現況をみると、昨年ベースで韓国は、17万8924件と米国(50万4089件)、日本(34万3210件)の3分の1と2分の1水準だ。件数に比べて特許訴訟に対抗できる武器は少ないということだ。

標準特許の確保が低い背景としては、企業の認識不足がよく挙げられている。イディリサーチのソ・ジュウォン社長は、「国際標準特許を確保するためには、多くのコストと時間が要る。韓国では、サムスン電子やLG電子、韓国電子通信研究院(ETRI)程度が参加するだろう。」とコメントした。ウィップスのチェ・スンウク常務は、「標準特許を確保するためには、出願段階から標準特許項目を考慮して登録すべきだ。一方、標準特許の出願に関する教育も行われておらず、大企業以外は、対応は容易ではない。」と指摘した。

産業界は、国際標準特許を確保するためには、大企業には大胆な投資が、中小企業には大企業との協調が求められると提案した。また、標準特許の重要性について政府レベルで取り組み、認識の向上に力を入れるべきだと強調した。

国際標準特許=国際公式標準として定められた技術を具現するために必要な特許。長期間にわたり、巨額のロイヤルティ収益が発生する。特許市場の価値を最大化できるため、国家技術貿易収支にも大きな影響を与える。例えば、EU企業がデジタルマルチメディア放送(DMB)標準特許を多く保有しているため、韓国企業が負うロイヤルティ負担が大きくなっている。最近、企業間では標準特許を対象に特許紛争が行われ、特許管理会社などを中心に標準特許の確保をめぐり、激しい戦いが繰り広げられている。

主要な国際標準化機関への国別における標準特許確保の現況

順位 国際標準化機構(ISO) 国際電気通信連合(ITU)の電気通信標準化部門(ITU-T)
国家 特許件数 割合(%) 国家 特許件数 割合(%)
1 日本 273 53.1 米国 1015 36.4
2 米国 142 27.6 フィンランド 451 16.2
3 ドイツ 31 6.0 日本 446 16.0
4 イギリス 24 4.7 フランス 263 9.5
5 オランダ 14 2.7 ドイツ 117 4.2
6 スイス 8 1.6 韓国 86 3.1
7 フランス 7 1.4 中国 85 3.0
8 豪州 4 0.8 イスラエル 65 2.3
9 韓国 3 0.6 スウェーデン 55 2.0
10 スウェーデン 3 0.6 オランダ 54 1.9
その他 5 0.9 その他 149 5.4
合計 514 100 合計 2786 100
順位 国際電気通信連合(ITU)の無線通信部門(ITU-R) 米国電気電子技術者協会(IEEE)
国家 特許件数 割合(%) 国家 特許件数 割合(%)
1 日本 418 64.1 米国 1028 45.7
2 米国 93 14.3 フランス 488 21.7
3 スウェーデン 47 7.2 日本 227 10.1
4 韓国 34 5.2 フィンランド 180 8.0
5 中国 23 3.5 カナダ 128 5.7
6 ドイツ 9 1.4 韓国 39 1.7
7 イギリス 9 1.4 オランダ 28 1.2
8 カナダ 6 0.9 中国 21 0.9
9 フランス 5 0.8 ドイツ 20 0.9
10 フィンランド 2 0.3 イスラエル 18 0.8
その他 6 0.9 その他 74 3.3
合計 652 100 合計 2251 100

※資料:韓国特許情報院の標準特許センター

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195