知的財産ニュース 液晶積荷装置の特許出願動向

2012年6月11日
出所: 韓国特許庁HP

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市場調査機関のディスプレイリサーチによると、韓国は液晶表示装置(LCD)完成品市場において世界最高の占有率でシェアトップに立っている。しかし、液晶表示装置を製造するシステムの国産化率はいまだ低く、価格競争力の確保は限界の状態だ。

これに対して、液晶表示装置を製造する核心システムの1つである液晶パネルに液晶を注入する液晶積荷装置と関連した国内メーカーの特許出願が最近急激に増加、完成品の液晶表示装置の価格競争力の確保に青信号が灯っている。

液晶パネルに液晶を注入する従来の真空注入方法は、液晶パネルが大型化するにつれ液晶注入時間が長くなり、生産性が大幅に落ちるという問題を抱えていた。液晶積荷方法はこのような問題を克服した方法で、真空注入方法を利用する場合は液晶パネルが完成するまで24時間以上かかるのに対し、液晶積荷方法を利用すればパネルのサイズと関係なく1時間以内に液晶注入を終えることができる。

液晶積荷方法では、総使用量の液晶を高い精密度で選択して広く低減させる(積荷させる)精巧な技術が必要だが、韓国特許庁によると、これを具現する液晶積荷装置に対する特許出願が2001年以降大幅に増加したことが分かった。

これを特許出願件数で見ると、1990年から2000年に至るまでの11年間でわずか6件に過ぎなかった液晶積荷装置に対する特許出願が、2001年だけで三星電子4件、LG・フィリップスLCD(現 LGディスプレイ)が2002年に26件を出願するなど、2001~2002年の間で計34件が出願された。その後、トップエンジニアリング、エイピーシステムおよびセイコーエプソンなど出願人の増加とともに出願量も2010年までで計198件に達するなど、急激な増加傾向を見せている。

出願人別では、計198件のうち内国人出願が173件と全体の87.4%を占め、残りの12.6%は日本と台湾が占めるなど、内国人出願が外国人出願を大きく上回っている。これは2001~2004年に国内企業が液晶積荷装置の国産化を宣言した後、源泉特許の取得を含む研究投資および技術開発に着実に努力を傾けてきたためだと思われる。

一方、内国人出願は、トップエンジニアリングが67件と最も多く出願しており、続いて LG・フィリップスLCD(現 LGディスプレイ含む:66件)、三星電子(20件)、エイピーシステム(コニックシステム含む:15件)とセメス(5件)の順で出願していることが調査で分かった。これに対し外国人出願は、セイコーエプソン(12件)、富士通(4件)の順であることが分かった。

液晶積荷装置に対する特許出願が年々増加している主な理由は、まず、液晶表示装置の代表格であるLCD-TVの大型化傾向に合わせて液晶積荷方法およびこれを具現する装置の重要性が増大しており、次に、LCD-TVが高画質化するほど液晶をさらに高い精密度で積荷させる技術が必要。そして、液晶表示装置の製造システムの国産化率を高めて価格競争力を確保し、これを基に全世界のディスプレイ市場に対する高い占有率を維持しようとするメーカーの熾烈な努力が特許出願の増加に繋がっていると思われる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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