知的財産ニュース 韓国IP市場の規模は米国の13分の1

2012年10月15日
出所: 電子新聞

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韓国の知的財産(IP)サービス市場の規模は、米国の13分の1、日本の4分の1にすぎないという調査結果が出た。しかし、この結果は2009年数値であり、特許管理会社による攻勢が予想されているほか、サムスン電子とアップルの特許合戦の影響などでその格差はさらに広がっていると分析されている。専門家は、未来の成長エンジンとして期待されているIPサービスの競争力を高めなければ、韓国市場を外国企業に奪い取れかねないという懸念が浮上した。

韓国特許庁と韓国知識財産サービス協会が初めて調査した「海外知的財産サービス産業市場の現状」という報告書によると、2009年ベースで米国と日本のIPサービス市場規模は、それぞれ4兆3300億ウォンと1兆3676億ウォンであり、韓国の3377億ウォンに比べて12.83倍、4.05倍大きいという。

韓国と主要国のIPサービス市場規模を比較したのは、今回が初めてだ。各国のIPサービス市場の産業分類がはっきりしていないため、知的財産サービスの市場規模を基礎データに全体市場を推定した。IP市場の規模・IP活動インフラ・IP活動に関するそれぞれの指標に国別の加重値を適用した。特許訴訟の賠償額は対象外だ。要素別に加重値を与えた結果、IP市場は、米国と日本が韓国よりそれぞれ25倍と7.1倍大きいことが分かった。IP活動インフラ市場も9.3倍と2.6倍、IP活動市場は4.9倍と2.4倍大きかった。IP関連市場は、知的財産サービス業と専門科学技術・事業支援サービス業などで、韓国のサービス産業競争力の脆弱さがそのまま反映されたと分析できる。

専門家は、特許の「価値(金銭的)」を認めない雰囲気を市場規模に大差が現れた背景として指摘した。MP3プレイヤーの基幹特許がその一例だ。ベンチャー企業の「デジタルキャスト」は、2005年から2010年までにこの技術で3兆ウォン以上のロイヤルティ収入を得られる可能性があったが、類似製品の発売や特許無効訴訟で権利範囲が縮小し、結局、特許料の未納で消滅され、収益を得られなかった。ソウル大学法科大学院のシム・ヨンテク教授は、「特許訴訟の無効率が高く、賠償額も非常に少額な水準だ。正当な価値を認められなくなり、発明家はデタラメに特許を出願し、後で訴訟を提起しても弁護士費用すら確保できない悪循環に陥ってしまう。」と指摘した。

シム教授は、さらに「韓国の特許無効率は8割に達して米国の35%より非常に高い水準となっており、訴訟賠償額は、中間値基準で5500万ウォンと、米国の1000万ドル(約110億ウォン)よりも非常に低い。」と付け加えた。訴訟を起こしても勝訴は難しく、勝訴したとしてもその価値が認められない。「IPキューブパートナーズ」のチョン・スンウク代表は、「IPがお金(収益)になるビジネスに変わらなければならない。そうでないと人材は集まらない。今は人材プールがあまりにも脆弱な状態だ。」と今後の競争力について懸念を示した。

長期的に市場を育成しないと、海外にそのまま市場を奪われる可能性があるという声もある。「イディリサーチ」のソ・ジュウォン社長は、「特許の維持費用市場は、韓国に進出したC社が世界市場シェア6割を占めている。独自の競争力を備えなければ、外国企業が自分たちのネットワークを利用して韓国市場を奪い取ってしまう可能性もある。」と警告した。

キム・ジュンベ記者

2009年ベースの日米韓3ヵ国知的財産サービス市場の規模(単位:億ウォン)

区分

韓国

米国

日本

市場規模

3,377

13,676

43,300

国別の加重値でみた知的財産サービス市場の相対的な規模(韓国=1基準)

区分

米国

日本

IP関連市場の規模(IP related market)

25

7.1

知的財産活動インフラ規模(IP Infra)

9.3

2.6

知的財産の活動(IP Activity)

4.9

2.4

※資料:韓国特許庁・知識財産サービス協会

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