知的財産ニュース 飲酒運転、運転席から防止

2012年8月2日
出所: 韓国特許庁

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様々な飲酒運転防止技術

飲酒運転が社会的費用負担を強いているという声が強まっている。韓国法制研究院の研究結果によると、飲酒運転1件の取り締まりに平均893万ウォン(2011年基準)の費用がかかる。

こうした損失を軽減するため、先端技術で飲酒運転防止の試みが続いている。韓国特許庁が12年間出願された特許を分析した結果、毎年約5件の飲酒運転防止技術が出願された。この期間に出願された合計50件の特許出願のうち、飲酒の有無によって自動車の起動を停止する技術が31件と最も多く、飲酒の測定技術が12件、飲酒運転を表示する技術が5件となった。(資料1,2)

エンジン始動遮断技術の一つとして、車両内のステアリングホイール、アクセラレータ、ブレーキなどに搭載したセンサーで飲酒の有無を判断し、運転者に警告したり、車両を停止させたりする方式が挙げられる(資料3)。最近ではステアリングホイールやスマートキーのセンサーを利用して飲酒を判断するなど、飲酒測定方式に関する特許出願が増えている。

この期間中に出願された発明を出願者別に分析すると、大手企業が12件、中小企業が6件だが、個人発明家の出願が23件と最も多くなった。これは、独特なアイデアを持っている個人発明家の持続的な関心が出願に繋がっていると分析される(資料4)。IT技術と融合して飲酒運転を防止する技術が14件と、全体出願の28%を占めていることが分かった。

飲酒運転の防止技術は、まだ国内自動車には搭載されていないが、一部の外国自動車メーカーでは関連技術を常用化している所が多い。米国のボルボは無線通信機能を搭載した携帯飲酒測定器で運転者の血中アルコール濃度を確認し、制限値(0.2g/1)を超過した場合、車両に信号を送り、エンジン始動を遮断する「アルコールガード」を適用しており、日産もセンサーで運転者の匂いや行動を感知し、異常のある場合、警告メッセージをアナウンスする技術を搭載している。2012年4月13日付けのウォールストリートジャーナルによると、米国自動車連合は、自動車の計器盤や別途のコントローラーで運転者の血中アルコールの濃度を検査して自動車運転を制限する技術の常用化に向けて2018年をメドに研究を進めているという。

韓国特許庁の関係者は、「IT技術と自動車技術を融合した飲酒運転防止出願が増加している。」とコメントしながらも、「飲酒運転に対する社会的な認識が変化し、韓国でも飲酒運転防止技術が適用された自動車が発売されれば、飲酒運転による社会的費用も大幅削減できる。」と述べた。

参考資料

資料1:ここ12年間の飲酒運転防止出願の増減の傾向
図:年度別飲酒運転防止出願件数グラフ

資料2:ここ12年間出願された飲酒運転防止適用分野
図:飲酒運転防止適用分野グラフ

資料3:車両内のセンサーを活用した飲酒運転防止技術
図:車両内のセンサーを活用した飲酒運転防止技術

資料4:ここ12年間の飲酒運転防止出願の出願者別現状
図:出願者別飲酒運転防止出願の現状グラフ

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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