知的財産ニュース 特許攻勢に対抗、初の特許ファンド発売へ

2012年10月5日
出所: 電子新聞

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グローバル特許管理会社に対抗する国内初の「知的財産権ファンド」が発売される。第1次の特許資産は、韓国通信機器の製造会社A社が保有している約50件の特許だ。このファンドは、特許を武器に、特許を無断使用する企業とは特許訴訟も辞さない構えだ。

4日、KDB韓国産業銀行は、通信機器の製造会社A社が保有していた特許を購入し、250億ウォン規模の特許ファンドを発売すると発表した。この特許ファンドは、「KDB韓国産業銀行」などの機関投資家が資金を投資し、「アイデアブリッジ資産運用会社」が運用を担当する「アイディアブリッジ・オポチュニティ・プライベートエクイティ・特別資産投資信託第1号」だ。従来の特許関連ファンドは政府出資ファンドだったが、このファンドは、民間レベルでは初めてのファンドだ。

第1号ファンドが保有する特許資産は、A社が米国に登録した16件の特許を含めた56件の知的財産権(IP)だ。WCDMAやCDMA2000など、3G移動通信網の連動支援に関する標準特許やLTE端末にも適用された特許技術だ。

ファンドの構造は、A社から購入した知財権をコア資産として有し、A社に専用の実施権を与えて一定の手数料(ロイヤルティ)を受け取る「セール&ライセンスバック」の仕組みだ。 ファンドは、この仕組みで安定的な収益を挙げられる。さらに、保有IPを無断で使用している企業を対象に訴訟を提起したり、IPをレンタルして収益を上げたりすることができる。

韓国産業銀行の関係者は、「このファンドが発足したことで、特許売却企業としては巨額の資金の確保が可能になり、グローバル特許管理会社に対抗して攻防するなど、様々な投資戦略を確立できるようになった。」とコメントした。第1号特許ファンドの資産購入対象を通信機器製造関連のIPに決めたのも、最近の世界的な特許合戦と関係がある。彼は、「特許管理会社の主な攻撃対象が電気、電子、無線通信、ソフトウェアに集中している。購入した特許をベースに、加盟社の保護はもちろん、訴訟の提起などを通じた攻撃も可能だ。」と述べた。

韓国産業銀行は、先月14日、組織改編を通じて技術金融部を新設し、グローバル特許管理会社に対抗できる第2号、第3号ファンドを引き続き開発していく方針だ。特許管理会社(Non-Practicing Entity)は、世界的に560社以上が設立されており、特許訴訟も急増した。特許管理会社に提訴された製造会社は、2001年579社から昨年には4508社に、10年間8倍増加した。特許訴訟も、2001年143件から2010年600件、2011年1143件と8倍も増加した。

イ・ギョンミン記者

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