知的財産ニュース 容易に創作されたデザインはデザイン登録できない!

2012年12月7日
出所: 韓国特許庁

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一般的な形態に創作者の独創性がある飾りを加えないと登録出来ず

市場で生き残り、消費者から愛される強いデザイン権を創出するためには、誰もが容易に創作できるデザイン(容易創作)に関する特許庁の審査方針について関心を持つ必要がある。

韓国特許庁によると、誰もが容易に創作できるデザイン(容易創作)に該当するとして拒絶決定を受けたデザイン出願は、2007年230件にすぎなかったのが2008年415件、2009年698件、2010年875件、2011年858件、2012年10月まで1296件(前年比51%増加)と増加しているという。

誰もが容易に創作できるデザインがデザイン登録出願されている背景として韓国特許庁は、基本的なデザインは、流行り廃りが激しくないうえ、より上品なイメージを持ち、生産コストにおける経済性もあるため、消費者と生産者からの選好度が高いことを挙げている。

誰もが容易に創作できるデザインとは、国内で広く知られている形態(円形、三角形、四角形、円柱、三角柱、四角柱、円筒、四角筒、六角筒など)をベースに創作されたデザインを意味し、韓国の場合、出願されたデザインが広く知られている形をベースにして容易に創作されたデザインは、デザイン保護法に基づき、デザイン登録を認めていない。

広く知られている形態をベースにしたデザインの拒絶決定の主な事例としては、円柱の形をそのまま「錠剤」に、四角柱の形をそのまま「ティッシュケース」に、三角柱をそのまま「筆箱」に、六角柱をそのまま「遺骨箱」、円錐をそのまま「香水瓶」に単純活用した事例など、広く知られている形態をベースに単純美を強調しただけの飾りのないデザインが挙げられる。

誰もが周知している形態をベースに創作されたデザインについて特定人に排他的な独占権を認めない理由は、こうした形をベースにした基礎的なデザインにまで権利を与えると、デザイン創作活動を著しく除外する恐れがあるため、全ての人がそれに基づいてより創作性の高いデザインを開発できるよう、創作を奨励するためだ。

韓国特許庁デザイン2審査チームのソン・ビョンジュチーム長は、「出願されたデザインが創作性の不足を理由に拒絶されることを避けるためには、誰もが周知している形だけでなく、創作者固有の個性がある形(飾り、グラフィックなど)を加えることで、全体的に見て単純でありながらも上品な感じを与えるデザインである時に登録が可能だ。」と述べた。

審査対象の中に容易創作によって拒絶決定された件(2007~2012.10)

区分

2007

2008

2009

2010

2011

2012.10

全体の審査対象(件)

58,757

60,520

62,154

55,248

54,760

46,526

拒絶決定(件、%)

8,977

(15.3)

9,813

(16.2)

8,657

(13.9)

7,623

(13.8)

8,667

(15.8)

7,771

(16.7)

容易創作による拒絶決定(件、%)

230

(0.4)

415

(0.7)

698

(1.2)

875

(1.6)

858

(1.6)

1,296

(2.8)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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