知的財産ニュース 社会的企業もブランドとデザインの開発で売上向上を図る

2012年7月4日
出所: 韓国特許庁報道資料

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韓国特許庁、社会的企業のブランド・デザイン開発を支援

社会的企業も独自のブランド・デザインを重視する時代になりつつある。
韓国特許庁(庁長・金ホウォン)は、今年は知識財産権の支援対象に24の社会的企業を選定したと発表した。

社会的企業も一般企業と同様に、商品とサービスを生産販売する営利活動を行うべきであり、そうすると独自のデザインや戦略的ブランドが重要になってくる。
しかし、社会的企業は、知識財産関連の人手不足や資金難で苦しむ零細規模が大半であり、ブランドやデザインなどを開発する余剰能力がない状況だ。

実際に慶尙南道に位置している「ブルー・インダス(Blue Industry)」は、溶接作業服を生産する社会的企業だが、販路の開拓と売上高の向上を図るためには、特殊繊維を用いたデザインの開発とデザイン権の確保が切実に求められていた。

しかし、現場の労働者を除けば、知識財産の専門人材もデザイン開発に投資する資金も不十分であった。

そんな時、昨年から韓国特許庁が実施したモデル事業で支援を受け、利便性と機能性を備えたデザインの新商品を開発したことで、主な取引先に加えて三星重工業などの大手企業との納品契約を結んだ。現在は月間1億ウォンの追加売上増を期待しており、支援後には追加的に3件のデザイン出願を行い、知的財産権紛争対応力の確保などの成果もあげた。

昨年、韓国特許庁がモデル事業を実施した結果、支援対象の5社のうち、「Nurriddle(ヌリトゥル)希望IT」は、売上高が3千4百万ウォンから3億2千4百万ウォンに、「チョンヒャン」は、1億2千3百万ウォンから2億4千万ウォンに増加し、「チョンリプ電子」は、雇用者数が142人から158人に、「独島クッキー事業団」は、7人から8人に増加したほか、知的財産権の出願件数も4件から10件以上に倍増するなどの成果をあげた。

韓国特許庁は、昨年のモデル事業の成果を受け、今年度の予算を昨年度の1億2千5百万ウォンより4倍増えた5千万ウォン(自治体のマッチング額含)に編成し、24社を支援する。

産業財産制作局の李ヨンデ局長は、「メガ・コンペティション時代が進化するにつれ、競争から取り残されがちな階層の雇用を支援し、社会的サービスを提供する社会的企業の役割と規模が更に重要になると予想されている。韓国特許庁の社会的企業のブランド・デザイン支援事業がそうした企業の成長につながると期待している。」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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