知的財産ニュース 税関登録制度を利用したニセ物遮断方法

2012年5月24日
出所: 韓国特許庁HP

3581

韓国特許庁では、中国で生産され国内のみならず全世界に流通している韓国企業製品の模倣品流通根絶のために「中国税関における知識財産権登録支援事業」を推進する。
(※税関(海関)知識財産権登録とは、現地国に登録した知財権を現地国税関の知財権保護システムに登録することによって、輸出入される模倣品を税関の自発的なモニタリングを通して取締まる制度)

今年は、中国を含む海外知識財産センター(IP-DESK)1)が設置された5ヵ国2)に知的財産権を登録している韓国企業を対象に登録手続きおよび費用を支援。税関の知識財産権登録支援は、韓国知識財産保護協会(KIPRA)と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が運営している海外IP-DESKを通じて申請を受けている。

既に、中国は世界における模倣品の最大生産地で、世界全体における模倣品の3分の2以上が中国で生産3)され、東南アジア市場のみならず米国、日本など先進国まで輸出するため、各国のブラックマーケットを通じて流通されていることが調査されている。

特にK-POPなどの韓流ブームに押され、中国産の模倣品が国内産に化けて全世界に流通されており、韓国企業の被害はさらに増加している。

反面、模倣品による被害を受けている韓国企業の大部分は、税関知財権登録制度など現地国の知財権保護制度および救済手続きを知らず、知財権侵害から無防備な状態でその被害を被っており、現地国の知財権保護制度を活用できる支援対策が急務だ。

中国税関によれば、2011年末基準の中国税関に登録された有効な知財権は計16,000件余りで、そのうち韓国の権利者の登録件数は109件と0.68%に過ぎないことが分かった。一方、米国と日本企業の登録件数は各々1,400件余り(8.75%)、960件余り(6%)で、既に先進国は中国税関の知財権登録制度を積極的に活用していることが明らかになった。

税関を利用した模倣品の取締まりは、模倣品の疑いがある物品を申請人が直接該当の税関に申告して差し押さえるのが一般的だが、処理手続きが複雑で申告されていない物品に対する取締まりの根拠が不足しており、大部分の国の税関は知財権登録制度を運営している。

税関知財権登録制度を活用すれば、税関を通過する模倣品に対する自発的な取締まりを期待でき、取締まりを通じて得た荷送人、荷受人に対する情報を権利者に通知することで、その後の損害賠償などの民事訴訟において有利な証拠として活用することができる。

また、税関の自発的な取締まりで模倣品を摘発した場合には、模倣品の没収および罰金賦課のために別途に訴訟を提起する必要が無いため、権利者の立場では模倣品の取締りに対する時間およびコスト節減効果を期待することができる。

これに特許庁国際協力課クォン・ギュウ課長は「今回の支援事業で、韓流ブームに便乗した中国産の模倣品による韓国企業の被害を減らすことができる契機になると期待する」と述べた。


注記

1) 発明振興法第50条の30規定により、海外における輸出企業の産業財産権確保、活用および保護などを支援するために設置された海外知識財産総合支援センター
2) 中国、タイ、ベトナム、インドネシア、米国
3) 世界税関機構(WCO)の模倣品現況報告によれば、2004年基準で全世界における貿易量の5~7%(5,120億ドル相当)を模倣品が占めており、このうち3分の2(67%)が中国で生産されていると発表した。

資料:海外産業財産権センター支援事業

1. 目的

海外進出する韓国企業の輸出競争力向上のために、現地における知財権創出および知財権のあい路事項を解決支援

2. 申請資格および支援内容

申請資格

韓国に事業者登録している個人または中小・中堅企業※※で、現地国で事業を運営中の者
※国内所得税法による個人事業者
※※中小企業法による中小企業、産業発展法による中堅企業

支援内容

区分

支援内容

費用支援

商標・デザイン出願、登録

現地で商標やデザイン出願・登録を行なう場合、所要費用と手続きを支援

  • 申請書受付後、申請資格審査を通過した権利に限り支援
  • 登録費用は出願支援を受けた権利に限り支援

税関知財権登録

現地に登録された知財権を該当国の税関に登録する場合、費用と手続きを支援

被侵害実態調査および

行政救済

現地で発生する知財権の被侵害に対する実態調査と行政救済にともなう費用および手続きを支援

民・官合同派遣団

中国内の知財権執行公務員と現地進出企業との関係形成のための交流支援

知財権相談

現地国の知財権確保および保護と関連して、知財権相談 を随時支援

  • 電話,email,来訪および現地出張支援
  • 必要時に、現地の知財権専門家による専門相談支援

※各事業別に他機関を通じて支援を受けた場合は、支援を受けられない。
※申請資格および支援内容に対する詳細事項は、IP-DESKホームページの事業案内を参考

3. 支援比率

区分

支援比率

商標・デザイン出願、登録

現地所要費用の50%支援(1社当たり4件以内)

  • 中国・ベトナム: 300$/件以内
  • タイ・インドネシア: 500$/件以内
  • 米国: 600$/件(商標),1,000$/件(デザイン)以内

税関知財権登録

現地所要費用の50%支援(1社当たり4件以内)

  • 中国・ベトナム: 300$/件以内
  • タイ・インドネシア: 500$/件以内
  • 米国: 1,000$/件以内

被侵害実態調査および

行政救済

現地所要費用の70%支援(1社当たり1件)

  • 3,000$(行政取締まり時 5,000$)以内

民・官合同派遣団支援

総所要費用の80%支援

※「現地所要費用」とは、IP-DESK支援事業を通じて発生した費用をいう。

4. 申請方法

申請期間
:随時(但し、費用支援の場合予算消耗時まで)
申請書類
:申請書および関連書類1部※申請書および関連書類の様式はIPDESKホームページ参考
申請方法
:郵便またはemailで申請

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