知的財産ニュース 著作権環境を計量化する

2012年9月26日
出所: 韓国著作権委員会

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著作権信託管理団体の徴収した著作権使用料が1,566億ウォンに達すると計上
著作権産業の韓国経済への貢献度は、GDP全体の9.89%…建設業より高いと調査

文化体育観光部と韓国著作権委員会は、著作権の創出から活用、保護に至る著作権関連の統計情報を収集・加工し、体系的にまとめた『著作権統計』を発刊した。

これまで、著作権分野で出された統計情報は、違法コピー及び侵害の規模や著作権の紛争事例など、一部的に限定された統計資料で、政策の実績や事業実績などの1次的な基礎統計が主流となっていた。

グローバル創造経済の競争が激しさを増しているなか、韓国の著作権産業の競争力を確保するためには、著作権関連の研究及び政策の確立に有効に利用できる立体的な統計情報の収集と管理・蓄積が非常に重要となっている。

これを受け、文化体育観光部と韓国著作権委員会は、2011年から著作権統計情報の基盤構築及び体系化事業を進め、産官学で必要な情報と既に出されている統計情報を調査し、計量情報分析基盤である著作権統計集を発刊した。

今回に発行された統計集は、著作権の創出、活用、保護など、循環の段階別に分けて各分野の実態が把握できるように構成されている。

第1章では、著作物の種類別著作権登録の現状や教育機関別の創作人材の輩出現状、そして創作者の創作環境など、著作物の創作分野の現状を表す統計情報が収録されている。

第2章では、デジタル著作権取引のインフラであるデジタル著作権取引所の現状や著作権の流通において非常に重要な役割を果たしている著作権信託団体や代理仲介業の著作権管理規模、徴収・分配及び手数料の現状などに関する統計情報を提供している。

第3章では、違法コピーによる侵害及び官民の取締り現状、著作権侵害に対する司法処理及び行政処分の現状、著作権保護に向けた教育など、国内外の著作権保護活動に関する統計情報を示している。

第4章では、マクロ経済的な観点から見た韓国の著作権産業の生産額、付加価値、雇用など、著作権産業の規模と経済への貢献度を表す統計情報を収録している。

第5章では、共有著作物のDB構築および利用やSW寄託の現状、著作権の法廷許諾、紛争の調整及び鑑定など、著作権の公正な利用を表す統計情報を収録している。

今回の統計集では、特に、著作権の流通において重要な役割を果たしている委託管理会社の信託管理団体と代理仲介会社の著作権使用料の徴収、分配、手数料及び団体(会社)の関連状況を総合的にまとめ、公式的には初めて発表するということに大きな意味がある。

『著作権統計』は、文化体育観光部の著作権政策官室、WIPO、文化観光研究院、著作権保護センター、大検察庁、教育科学技術部、統計庁、韓国銀行、大中小企業協力財団など、国内外の関連機関が保有している著作権関連の統計情報を収集・加工した統計集だ。

『著作権統計』は、著作権に関する政策立案者や従事者にとどまらず、分課産業や経済研究家、法制研究家など、産官学研の関係者に著作権政策の確立と、産業の現状把握から流れの分析、新しい事実と価値を創出につながる基礎的な資料として活用されることと期待されている。

文化体育観光部と韓国著作権委員会は、毎年2回以上、上半期と下半期に統計集を電子書籍と印刷書籍の形で発行しており、統計集利用の利便性を向上し、アプローチを容易にするため、韓国著作権委員会のホームページ(www.copyright.or.kr外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にアクセスすれば無料でダウンロードできる。


資料:『著作権統計』の主要内容

著作権信託会員数

著作権を信託する会員の数は、2011年ベースに個人会員30,611名、法人会員は1,253社で毎年平均7.6%と着実に増加している。

信託会員数

著作権使用料の徴収額

信託団体の著作権使用料の徴収総額は、2009年1,243億ウォン、2010年1,409億ウォン、2011年1,566億ウォンと年平均160億ウォン(12.2%)で増加した。

期間別の著作権使用料の徴収総額

著作権事犯の司法処理の現状

著作権事犯のうち、青少年の割合は、2008年22.7%(22,129人)、2009年24.2%(22,533人)から2010年12.3%(3,614人)に急減したが、2011年12.5%(4,578人)に小幅上昇した。

著作権事犯の数

※著作権事犯は、著作権法と(旧)コンピュータプログラム保護法の違反者数を含めた。
※※著作権事犯数は、「著作権統計」の「第2部3-2-2の(1)司法処理の総括」統計資料に基づいたものである。

2010年ベースで人口10万人当たりの著作権侵害事犯の発生比率を地域別に分析すると、7大広域市のうち、大田が10.6(約11人)ともっとも低い結果となり、光州13.1、蔚山31.4の順と、全国基準で38.7を超えた都市は、大邱39.6、釜山49.1、ソウル53.1の順とソウルが著作権事犯の発生比率が最も高いことが分かった。

地域別の侵害事犯発生割合(2010年)

※侵害事犯の発生比率=侵害事犯の発生件数/人口X100,000
※※大検察庁の「犯罪分析」統計資料から

著作権の教育

青少年を対象にした著作権教育の受講者は、2009年100,924人、2010年315,827人、2011年345,415人と毎年増加しているが、全体の小中高の学生数に比較すると2009年1.36%、2010年4.36%、2011年4.94%の非常に低い割合となり、持続的な著作権教育の必要性が示された。

全体の小中高の学生数と著作権教育の受けた学生数

著作権産業

2009年韓国の著作権産業は、国内GDPの9.89%である105兆3,697億ウォンの付加価値を創出し、基幹著作産業の場合、GDPの3.51%である37兆4,340億ウォンを創出した。

期間著作権産業と全体の著作権産業の名目GDPの割合

2006年から2009年まで著作権産業の付加価値の年平均成長率は、7.3%であり、国内の実質GDPの年平均成長率(3.2%)を上回り、2倍以上成長した。

2009年著作権産業の雇用者数は、146万7千人と、韓国全体の産業就業者の6.24%を占めており、基幹著作産業は、67万人と2.58%を占めている。

著作権産業の付加価値の割合を国別に比較すると、韓国のGDPにおける著作権産業の割合(9.89%)は、米国(10.5%)と豪州(11.1%)などの先進国と同じ水準だが、基幹著作権産業の場合(3.51%)は、米国(6.36%)と豪州(7.3%)の半分程度の低いGDP貢献度となっている。

著作権産業のGDPにおける割合を国別に比較  基幹著作権産業のGDPにおける割合を国別に比較

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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