知的財産ニュース ナノインプリント関連の特許出願増加

2012年3月21日
出所: 韓国特許庁HP

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鯛焼きを作るように、パターンが刻印されたスタンプを高分子溶液につけて印刷した後、焼いて微細回路パターンを形成するナノインプリント(nano-imprint)技術が注目されている。

2002年まで8件に過ぎなかった特許出願が、2003年以降2009年まで計482件出願され、持続的に増加していることが明らかになった。

半導体の微細回路パターンを形成するのに核心的な装置である露光装置は、天文学的に高価な装置で、いくつかの外国企業が独占している分野だ。ナノインプリント技術は、このような高価な精密光学システムを使用する露光工程に代わり、低価格ながら数ナノレベルの高解像度パターニングを可能にする技術だ。

出願国家別で見ると、韓国が52%、米国が24%そして日本が21%で韓国が全体の半分以上を占めているが、韓国は、2004年から本格的な出願をし、基盤技術の先行獲得に対する初期の努力が競争国に比べ多少遅れをとったようだ。

現在、システム開発も商用化段階にあり、米国のMolecular Imprints社は次世代半導体の量産システムを目標に20ナノ以下の整列および単位時間当たり4枚のウェーハ処理の処理速度を具現した。これは、高価な露光装置を利用するにも物理・光学の法則の制約によって10ナノ以下の半導体パターニングが不可能だとされる問題の代案として、ナノインプリント技術に注目しているものと思われる。

出願人別で見ると、大企業45%、中小企業23%、研究所16%、大学15%の順で、大企業はナノインプリント技術を適用した半導体素子など応用製品の具現化に関する出願が多く、中小企業および研究所はナノインプリントシステムと関連した特許出願が多いことが分かった。

国内では、韓国機械研究院がナノインプリントシステムの生産性を向上させる努力をしており、LG電子はLEDの光結晶パターンをナノインプリント技術で具現化することを開発した。中小企業の場合、特許では劣勢にあるが、NND、ADPエンジニアリングなどが、ナノインプリントの工程システムを開発して市販中だ。

しかし、ナノインプリント技術が露光工程を代替するためには、大きく分けて3つの問題点を克服しなければならない。1つは接触工程に起因するパーティクルの抑制、もう1つはスタンプの正確な整列技術の確保だ。そして3つ目は、実際の生産ラインに適用できるようにするためには、単位時間当たりのウェーハ処理速度が、従来の露光装置の水準を確保しなければならない。

ナノインプリント技術は、従来のメモリー半導体の製造以外に次世代ディスプレイ、ハードディスク、LEDおよびナノバイオ製品などにその適用範囲を拡大している。ナノインプリント技術で多品種少量のナノ製品または半導体事業が可能なため、大企業中心の半導体産業から中小企業主導のブルーオーシャンでの基盤技術として、その特許出願の増加は持続すると予想される。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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