知的財産ニュース サムスン電子とオスラムのLED特許紛争が終了

2012年8月20日
出所: デジタルタイムズ

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韓国サムスン電子とドイツのオスラムが昨年から続けてきた発光ダイオード(LED)照明関連の特許紛争を終わらせ、敵から味方に変わると宣言した。特許共有のためクロスライセンスを締結したほか、次世代技術の共同開発など、事業協力を拡大していく計画を発表したのだ。

17日、サムスン電子とオスラムは、両社が進めてきた全ての特許訴訟を取り下げ、今月末に発光ダイオード(LED)照明商品関連特許の相互利用権限を容認するクロスライセンス契約を締結することで合意したと発表した。

今後、急成長が期待されているLED照明市場における事業協力及び次世代技術の共同開発に関する了解覚書(MOU)を締結し、持続的な協力関係を構築していくことも合意した。両社は「このように相互協力関係を構築できて嬉しく思っている。今後、様々な戦略的協力を通じ、さらに革新的な商品が開発できるもの」と期待を示した。

両社が1年間、韓国だけでなく米国とドイツなどでLED照明に関する特許訴訟合戦を繰り広げてきた「敵」だったことを考えると、今回の協力は、ドラマチックなどんでん返しだといえる。オスラムが6月に米国デラウェア州の地方裁判所と国際貿易委員会(ITC)、ドイツのハンブルク裁判所に特許侵害を理由にサムスンを提訴したのが発端となった。これを受けたサムスンが韓国でオスラムコリアとオスラム商品を販売しているバルン電子とタボ産電などを相手に特許侵害禁止と損賠賠償請求訴訟で対抗し、訴訟合戦が本格化した。未来の新成長産業であるLED照明の市場を先取りより有利な立場を確保するため、一歩も譲らぬ戦いを繰り広げてきたのだ。

しかし、どんでん返しの妥結のように見えた今回の合意は、業界ではこうした手順で終わることを予想していたという。特許訴訟の大半が交渉を通じて円満にまとまる事例が多いため、特許訴訟は、判決の結果よりは交渉前の力争いの色が強いという。今回のようにクロスライセンス契約でピリオドを打った場合が多く、保有している特許のロイヤルティをより高く決めるための争いになるという説明だ。そのため、訴訟合戦を繰り広げている両社は、今は敵でも、いつでも味方に代わるという。

訴訟の争点だった技術が、欧州では無効判定が決定されたため、訴訟合戦を続けて最終判決が下されたとしても、その効果は大きくないとういう判断も背景になった。最終決裂で結局裁判所の判決となったアップルとの訴訟とは異なり、サムスンとオスラムの感情の溝が深くないことが短期間で訴訟を終わらせたと分析できる。

業界関係者は、訴訟合戦が真っただ中だった昨年にも「LED照明は、市場がまだ本格化していないので、特許訴訟で得られる利益はさほどない」と分析し、「そのため、特許紛争は短期間で終わらせ、相互特許を共有するクロスライセンス契約でまとまる」と予想していた。

李ホンソク記者

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