知的財産ニュース 特許負担なく、拡張現実ビジネスを

2012年4月30日
出所: 電子新聞

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低コストで使用権を確保して、特許攻撃に対する負担なく拡張現実(AR)ビジネスを行なうことができるようになった。知的財産専門会社インテレクチュアルディスカバリー(ID)は、光州科学技術院(GIST)が保有する50件余りの拡張現実特許を一括購入したと29日明らかにした。

確保した特許はAR分野で最近登録したものだ。国内出願を終えて米国・ヨーロッパ・日本など海外主要国への出願を行なっている。この事業は、企業がアイデアさえ持っていれば、特許を開発せずに使用権を確保して事業をできるように支援する「創意資本基盤構築事業」の一環として実施された。

GISTは、韓国情報通信技術協会モバイル拡張現実実務班議長を務めているウ・ウンテク教授の主導のもと、AR分野における主要特許の多数を保有した。標識(マーカー)なく事物を認識して特定のデータを連結する「マークレストラッキング技術」、2つ以上の事物を認識して欲しい情報を同時にサーチする「マルチトラッキング技術」の特許が含まれている。また、教育科学技術部と特許庁が共同研究したスマートフォンパッケージング事業の成果物も含まれている。

IDは、これらの拡張現実特許を企業が事業に活用できるよう新たに開発する。必要に応じて既存の保有特許とのシナジー効果を狙いポートフォーリオも構成する。IDは700件余りの特許を保有している。企業は一定費用(使用料)を払って特許を活用する。IDが政府の政策資金を受けているだけに、企業で個別に使用契約を締結するより安くなる。使用料は、一度に支給する方式と毎年の売上げに応じて支給するランニングロイヤリティー方式が共に使用される。ランニングロイヤリティーは、一般的に売上額基準3~5%で策定する。会社関係者は「事業内容と活用条件、そして国内に限定して活用するかなどを考慮して使用料を決定する。」とし、「中小企業には費用負担を減らすために専用価格を策定する方案を思案している」と述べた。

両機関は、今回の事業を契機に拡張現実分野で様々な新規サービスが創出されると見込んでいる。パク・ソンジュGIST科学技術応用研究所所長は「拡張現実は国際的に標準特許化が始まる分野であり、韓国がこの分野においてグローバルな先行獲得効果を上げることを期待する」と述べた。コ・ジュンゴンID副社長は「拡張現実関連の海外特許も確保して既存の特許とシナジー効果を出せるようにし、企業が拡張現実の特許ポートフォーリオを活用すれば事業に一層弾みがつくだろう」と述べた。

金・ジュンベ記者

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