知的財産ニュース LGD、「OLED技術紛争」攻勢を転換…理由は?

2012年9月28日
出所: デジタルタイムズ

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守りの対応にこだわっては企業イメージがダウンすると判断
裁判は1年以上続く可能性も…感情の溝深まる

LGディスプレイがサムスン電子とサムスンディスプレイを相手に特許訴訟を提起し、サムスンとLGのOLED(有機発光ダイオード)技術をめぐる紛争が本格化の様相を呈している。

今後、裁判が1年以上続く可能性もあり、感情的な争いの溝も更に深まると予想されている。

サムスンディスプレイとLGディスプレイのOLED技術関連の裁判が始まったのは、7月に統合サムスンディスプレイが発足した直後からだ。検察がOLED技術の流出と関連し、サムスンディスプレイとLGディスプレイなど、前現職の役員11人を起訴したことをきっかけに、サムスンディスプレイがブリフィングを通じてLGディスプレイに誠意ある謝罪とともに、関係者の責任追求、不当にスカウトした社員の退社措置など、責任ある姿勢を求めた。これに対し、LGディスプレイは、直ちに「サムスン側が事件の意味を誇張している」と批判し、火花が散る対立を始めた。

今月初め、サムスンディスプレイがLGディスプレイを相手にOLED技術使用の差し止め仮処分を申請したことで、紛争は本格化した。サムスンディスプレイは、3日、LGディスプレイがOLED基幹技術と人材を組織的かつ計画的に漏えいしたとして、21の記録と18の細部技術に関する営業秘密などに対し、侵害禁止仮処分をソウル中央地方裁判所に提出したのだ。LGディスプレイは、サムスンとは異なる生産方式を採択しているため、技術を持ち出す必要がないとして「根拠のない中傷」だと直ちに反論した。

OLED技術の漏えいに関する両社の攻防は、これまで、サムスンディスプレイが攻めの姿勢を示し、LGディスプレイが守りの姿勢を取ってきた。

しかし、27日にLGディスプレイは、基幹特許の侵害を訴え、サムスンディスプレイはもちろん、サムスン電子までを提訴し、攻めの姿勢に転換した。守りを続けては、企業のイメージまで落ちてしまう恐れがあると判断したためだ。7月に検察がOLED技術流出に関し、LGディスプレイの前・現職の役員を起訴したうえ、サムスン電子の仮処分申請まで重なり、危機感が高まったというのが業界の見方だ。

LGディスプレイは、サムスンのOLED技術使用禁止仮処分を「常識外れの行為」と非難し、「特許侵害の訴訟を提起し、サムスンに強く警告する」と不快感を隠さなかった。LGディスプレイの経営支援グループイ・バンス専務は、「今回の訴訟は、会社の特許資産を保護するためであり、現在進行中の技術流出訴訟とは関係ない。」と言いながらも、「サムスンがOLED技術の使用禁止仮処分を申請するなど、常識では到底考えられない行動を取っていることは、非常に残念だ。」とコメントした。

サムスンディスプレイも積極的な対応に乗り出している。サムスンディスプレイは、「LGディスプレイの今回の訴訟提起は、OLED技術を計画的に持ち出した疑いで被ったマイナスのイメージを払しょくするための戦略にすぎない。」と反論した。「最高のOLED技術を確保しており、世界市場の約98%を占めているだけに、特許を侵害する理由がない」ということだ。サムスンディスプレイは、さらに、「OLED技術と関連し、国内に約5000件、米国に約1900件の特許を確保しているのに比べ、競合会社は、国内に約800件、米国に約600件程度だ。訴訟を提起されただけに、問題にした部分を徹底に確認し、必要に応じては、法的対応も検討したい。」と述べた。

イ・ホンソク記者、カン・スンテ記者

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