2013年の中朝貿易は10.4%増で過去最高を更新

(北朝鮮、中国)

中国北アジア課

2014年03月04日

2013年の中国と北朝鮮の貿易は前年比10.4%増の65億4,700万ドルで、過去最高だった2012年の59億3,100万ドルを6億ドル余り更新した。ただ、中国と太いパイプを持つとされた張成沢氏が2013年末に粛清されたことで、今後の中朝貿易に影響が出てくるか注目される。

<ここ数年の中朝貿易は拡大傾向>
貿易統計データベースのグローバル・トレード・アトラス(GTA、元データは中国海関統計)で、ここ数年の中朝貿易の推移をみると、2009年は17億1,100万ドルにすぎなかったが、2010年は2倍強の34億6,600万ドルに増え、その後も2011年に56億2,900万ドル、2012年に59億3,100万ドルと拡大し、2013年には65億4,700万ドルを記録した(表1参照)。

2013年の中国からの輸出は前年比5.4%増の36億3,300万ドル、輸入は17.3%増の29億1,400万ドルとなっている。貿易収支は中国の7億1,900万ドルの黒字となったが、前年の9億6,100万ドルより黒字幅は縮小した。

表1中国の対北朝鮮貿易の推移

<輸出は鉱物性燃料がシェア2割強>
中国からの輸出を品目別(HSコード2桁ベース)にみると、原油・石油製品などの鉱物性燃料(HS27類)が7億4,100万ドルで最も多く、全体の20.4%を占めている(表2参照)。とりわけ注目されている原油の輸出は、数量では2010年から2012年までは52万トン台で推移していたが、2013年は北朝鮮が中国の反対にもかかわらず核実験を行ったことから、減るのではないかとの見方もあったが、57万8,000トンと10%程度増加した。以下、原子炉・ボイラー・機械類・同部品の2億6,300万ドル、電気機器・同部品の2億5,400万ドル、輸送機器・同部品の2億4,000万ドル、人造長繊維の1億4,600万ドル、プラスチック・同製品の1億4,200万ドルと続く。

中国の輸出品目の中で、鉱物性燃料はじめ上位品目の多くは前年比減か小幅増にとどまったのに対し、動物性・植物性油脂は2割強の増加となり、人造長繊維、人造短繊維、鉄鋼の3品目も10%を超える伸びをみせた。

表2中国の対北朝鮮主要品目別輸出の推移

<輸入では石炭が前年比約4割増>
中国の品目別輸入(HS2桁ベース)をみると、石炭を中心とする鉱物性燃料が13億9,000万ドルと全体の47.7%を占めた。石炭の輸入は、数量では2009年が292万トン、2010年が464万トン、2011年が1,117万トン、2012年は1,188万トンと急増し、2013年はさらに拡大して前年比39.3%増の1,655万トンを記録した。以下、編み物以外の衣類・同付属品が4億9,900万ドル、鉱石・スラグ・灰などが4億1,500万ドル、軟体動物や甲殻類を中心とした水産物が1億1,600万ドル、鉄鋼が9,500万ドル、編み物の衣類・同付属品が8,800万ドルとなっている。

前年からの伸び率では、金額的にはそれほど大きくない食用ナッツ・かんきつ類が68.4%、編み物の衣類・同付属品が31.3%、亜鉛・同製品が27.5%の伸びを示したのをはじめ、金額で1位の鉱物性燃料が15.3%、2位の編み物以外の衣類・同付属品が33.8%、3位の鉱石・スラグ・灰などが15.9%と上位品目も大幅に伸び、北朝鮮の対中輸出は前年より4億ドル強増加した(表3参照)。

表3中国の対北朝鮮主要品目別輸入の推移(2011〜2013年)

ただし、2013年12月に中国に太いパイプを持つとされていた経済通の張成沢元国防委員会副委員長が粛清されたため、ここ数年拡大の一途をたどってきた中朝貿易に変化がみられるのか、注目される。

(根本光幸)

(中国・北朝鮮)

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