税制
最終更新日:2024年03月14日
- 最近の制度変更
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2024年2月9日
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法人税
2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)に適用される法人税率は、法人の種類および課税対象所得額に応じ決定される。
法人税率の合理化
新たな法人税制度
国内製造会社は、軽減税率を選択することができる(所得税法第115BAB条および第115BAA条)。
「第115BAB条」は、2019年10月1日以降に設立/登記され、2023年4月1日までに製造・生産を開始した新設製造会社に対して法人税率を15%(実効税率17.16%)、「第115BAA条」は既存の企業に対して22%(実効税率25.17%)の軽減税率を適用する。
新たな法人税制度の下では、企業が新しい法人税率を選択した場合、所定の税額控除等は利用できなくなる。さらに、最低代替税(Minimum Alternate Tax:MAT)も適用されないこととなる。
第115BAA条および第115BAB条に基づく新たな法人税率を適用する企業は、2021年4月1日(AY 2021-22)から有効な第80M条に基づく控除を請求する資格を有する。
前記15%の優遇法人税率は、発電事業に従事する新設の内国法人に対しても適用されることとなる(2020年財政法により導入)。
従来の法人税制度
前記制度を選択せず一定の税額控除等を適用する内国法人は、改正前の法人税率を引き続き適用し、納税する必要がある。
企業は適切な税務分析後、従来の法人税制度と新法人税制度、いずれかを選択する必要がある。
新法人税率を選択せず一定の税額控除等を適用する会社は、従来の税率を引き続き適用し納税しなければならないが、各種控除の満期完了以降に改正後の税率を適用することも可能となる。
実効税率
〔2023年インド財政法、1961年所得税法〕
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
1,000万ルピー以下 |
31.20% (法人税率30%+健康教育目的税4%) |
1,000万ルピー超~1億ルピー以下 |
33.38% ※1(法人税率30%+課徴金7%+健康教育目的税4%) |
1億ルピー超 |
34.94% (法人税率30%+課徴金12%+健康教育目的税4%) |
※1 実効税率計算方法
- 法人税率30%+課徴金(7%×30%=2.1%)=32.1%
- 健康教育目的税4%×32.1%=1.28%
- 実効税率32.1%+1.28%=33.38%
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
1,000万ルピー以下 |
26.00% (法人税率25%+健康教育目的税4%) |
1,000万ルピー超~1億ルピー以下 |
27.82% (法人税率25%+課徴金7%+健康教育目的税4%) |
1億ルピー超 |
29.12% (法人税率25%+課徴金12%+健康教育目的税4%) |
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
課税対象所得に関わらず一律 |
25.17% ※2(法人税率22%+課徴金10%+健康教育目的税4%) |
※2 実効税率計算方法
- 法人税率22%+課徴金(10%×22%=2.2%)=24.2%
- 健康教育目的税4%×24.2%=0.96%
- 実効税率24.2%+0.96%=25.17%
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
課税対象所得に関わらず一律 |
17.16% ※3(法人税率15%+課徴金10%+健康教育目的税4%) |
※3 実効税率計算方法
- 法人税率15%+課徴金(10%×15%=1.5%)=16.5%
- 健康教育目的税4%×16.5%=0.66%
- 実効税率16.5%+0.66%=17.16.%
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
1,000万ルピー以下 |
41.60% (法人税率40%+健康教育目的税4%) |
1,000万ルピー超~1億ルピー以下 |
42.43% (法人税率40%+課徴金2%+健康教育目的税4%) |
1億ルピー超 |
43.68% ※4(法人税率40%+課徴金5%+健康教育目的税4%) |
※4 実効税率計算方法
- 法人税率40%+課徴金(5%×40%=2%)=42%
- 健康教育目的税4%×42%=1.68%
- 実効税率42%+1.68%=43.68%
2020年度における総収入金額や総受領高が40億ルピー以下の国内法人には、法人税率25%(課徴金および健康教育目的税を含まない)を適用〔2022年インド財政法、1961年所得税法第1スケジュール パートⅢ 第E段落〕。
次のすべての条件を満たす場合には、内国法人の課税対象所得(特定の税率が適用される特定の所得を除く)に25%(課徴金および健康教育目的税を含まない)の軽減税率を自由選択で適用可能〔1961年所得税法 第115BA条〕。
- 当該国内法人は2016年3月1日以降に設立もしくは登録した。
- 物品の製造・生産業務および当該物品にかかわる研究・物流のみに従事する内国法人である。
- 免税、追加償却(一般償却を除く)または前年度の事業損失を利用していない。
- 軽減税率を適用するかどうかは選択可能で、確定申告期限内に所定の方法により選択している。
その他の国内法人には、基本税率30%、または前年度の総収入金または総受領高に基づき25%が適用される〔2022年インド財政法、1961年所得税法第1スケジュール パートⅢ 第E段落〕。
事前納税制度(Advance Tax)
当該会計年度に1万ルピー以上の納税義務のあるすべての課税対象者(会社または法人)は、〔1961年所得税法(Income Tax Act, 1961)〕で定められた算出方法に基づき、当該年度の課税所得額を見積り、各年度4回に分割し、法人税を支払わなければならない。
事前納税の納税期限と納税額〔1961年所得税法 第211条、第208条〕
- 6月15日:法人税額(見積り)の15%以上
- 9月15日:法人税額(見積り)の45%以上
- 12月15日:法人税額(見積り)の75%以上
- 3月15日:法人税額(見積り)の全額および調整額
税務申告(Filling of Return of Income)
各種税務申告書の提出期限は、財務法により随時改正される1961年所得税第139条により規定されている。
- 会社、会計監査が義務付けられている個人(個人事業主等)、または会計監査が義務付けられている組織体のパートナーの場合:当該会計年度(翌年度)の10月31日
- その他の納税者の場合:当該会計年度の7月31日
参照(国税庁):Income-tax Act, 1961
更新申告(Updated Return)
2022年財政法にて、新たに「更新申告(Updated Return)」と呼ばれる所得税申告制度が導入された。これは次の既定条件を満たす場合にのみ、申告済みの確定申告を修正することが可能となる制度で、2022年4月1日より実施されている。
- これまで申告をしていなかった場合
- 所得が正しく申告されていなかった場合
- 確定申告の開示情報を修正する場合
- 所得額の修正をする場合
- 繰越欠損金を減額する場合
- 減価償却の繰越を減額する場合
一方で、以下の場合は当制度を利用することはできない。
- Nilでの申告、もしくは損失申告の場合
- 税額の合計額を減少させる修正である場合
- 還付金額が発生、もしくは増額する場合
- 税務調査や押収、起訴手続きが開始されている場合
[1961年所得税法 第139条8A項]
当制度を利用する際には、規定された罰金や課徴金が科せられる。
- 当該年度から12カ月以内の利用:25%の追徴課税
- 当該年度から12カ月超、24カ月以内の利用:50%
[1961年所得税法 第140B条]
移転価格
移転価格報告書(Form 3CEB)の提出期限に関する変更
関連当事者間の国際取引(取引額問わず)および国内取引(2億ルピー超)を行うすべての納税者は、Form 3CEBを提出する必要がある。
Form 3CEBは、インドの会社とその関連当事者間での国際または国内取引が独立企業原則に従っているか言及する書類である。
適用の有無 | 移転価格報告書 | 所得税申告書 |
---|---|---|
移転価格報告書が適用される場合 | 10月31日 | 11月30日 |
移転価格報告書が適用なしの場合 | 提出の必要なし | 10月31日 |
発行された株価が適正価格を超える場合の課税
インドの一般営利法人からインド非居住者への株式発行において、その発行価格が適正価格を上回る場合は課税所得とみなされ、年度内に所得として申告していない場合は所得の申告漏れとして扱われる[1961年所得税法 第56条2項(ⅶb)]。
二国間租税条約
日印間で租税条約が締結されている。同条約を適用した場合の源泉課税率は、利子所得、配当所得、ロイヤルティーおよび技術役務提供報酬はすべて10%。
利子に対する源泉課税については、受取人が日本銀行、株式会社国際協力銀行、独立行政法人国際協力機構、株式会社日本貿易保険、日本政府が資本の全部を所有するその他の金融機関である場合には、源泉徴収されない。
インド側では、インド準備銀行、インド輸出入銀行、インド総合保険公社、ニューインディア保険会社、インド政府が資本の全部を所有するその他の金融機関が受取人の場合、源泉徴収されない〔日印租税条約 第11条〕。
例えば、インド企業が日本企業から何らかの技術的役務の提供を受けた場合には、その支払いに際し、インド企業が10%の源泉税をインドで納めるが、収入を得た日本企業は日本で法人税を納める際に、インドでの納税証明を提出することにより、控除限度額の範囲で控除される〔日印租税条約 第23条〕。
なお、2010年4月より、受取人が非居住者であってもPAN(Permanent Accounting Number)の取得が義務付けられた(受取人がPANを保有しているかどうかにより、源泉税の適用税率に影響がある)。
PANの取得方法については、所定フォーム(49AA)に登記書類などを添付し、インド国内のPAN申請センターに提出する必要があり、通常2~3週間で取得できる〔1961年所得税法 第139A条〕。
2017年からPANを法人固有番号として使用する考えから、25万ルピー以上の金融取引を行ったインドの居住者である法人(個人を除く)はPANを取得する必要がある。
社長、取締役、パートナー、信託者、創設者、最高経営責任者、主席幹部職、権限を有する幹部職、あるいは当該法人の代表として行動する権限を有するいかなる者も、PANを取得する必要がある〔1961年所得税法 第139A 条、2018年財政法〕。
フォーム(Form No.10FおよびNo.49AA)、詳細は国税庁(Income Tax Department)のウェブサイトを参照。
その他税制
インドの間接税構造が税制改正により、2017年7月1日に変更。物品・サービスに対する間接課税は物品・サービス税(GST)に統一され、関税以外の既存のさまざまな間接税が単一税のGSTに包含された。なお、GST対象外の物品に対しては、旧法の付加価値税、中央販売税、相殺関税、追加関税・特別追加関税が引き続き課せられる。
現在、次のGST対象外の物品に対しては、旧法の付加価値税(VAT)、中央販売税(CST)、相殺関税(CVD)、追加関税(ADC)・特別追加関税(SAD)が引き続き課せられる。
- 原油
- 高速ディーゼル
- ガソリン
- 天然ガス
- 航空タービン燃料
- アルコール飲料
なお、これら物品(アルコール飲料を除く)資産の譲渡およびサービス提供には、政府が告示する日より、GSTが課せられる。
所得にかかる諸税には法人税のほか、最低代替税、個人所得税、源泉徴収税がある。
また、取引にかかる諸税には、物品・サービス税(GST)、付加価値税(VAT)、物品税、関税、国家災害偶発税などがある。
所得にかかる税
最低代替税(Minimum Alternate Tax:MAT)
会計上の利益の15%が法人税額(控除などを含めた税法上の算出額)を上回る場合、最低代替税(MAT)を支払う必要がある。
実効税率は、法人の種類および課税対象所得額に応じ、次のとおり決定される〔1961年所得税法 第115JB条;課徴金、健康教育目的税は2018年インド財政法 第3条、第11条、第12条〕。
ただし、MATの規定は、第115BAA条および第115BAB条に基づいて新法人税制度を選択する会社には適用されない。
- 内国法人
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
1,000万ルピー以下 |
15.60% (基本税率15%+健康教育目的税4%) |
1,000万ルピー超~1億ルピー以下 |
16.69% ※1(基本税率15%+課徴金7%+健康教育目的税4%) |
1億ルピー超 |
17.47% (基本税率15%+課徴金12%+健康教育目的税4%) |
※1 実効税率計算方法
- 基本税率15%+課徴金(7%×15%=1.05%)=16.05%
- 健康教育目的税4%×16.05%=0.64%
- 実効税率16.05%+0.64%=16.69%
- 外国法人
課税対象所得 | 実効税率 |
---|---|
1,000万ルピー以下 |
15.60% (基本税率15%+健康教育目的税4%) |
1,000万ルピー超~1億ルピー以下 |
15.91% (基本税率15%+課徴金2%+健康教育目的税4%) |
1億ルピー超 |
16.38% ※2(基本税率15%+課徴金5%+健康教育目的税4%) |
※2 実効税率計算方法
- 基本税率15%+課徴金(5%×15%=0.75%)=15.75%
- 健康教育目的税4%×15.75%=0.63%
- 実効税率15.75%+0.63%=16.38%
- 新法人税制度を適用した場合の既存内国法人
- 最低代替税(MAT)の適用なし
- 新法人税制度を適用した場合の新設国内製造業
- 最低代替税(MAT)の適用なし
国際金融サービスセンター(特別経済区(SEZ)内で事業を認められた金融サービス・業務の中心地域)に所在する、転換可能な外国為替のみで所得を稼得している企業および企業以外の法人の場合には、9%の基本課税率で最低代替税(MAT)を適用〔1961年所得税法 第115JB条〕。
MATは、インドにおいて会計帳簿を作成する義務のある納税者に適用されるため、次の規定による推定課税に基づく納税を行う外国法人に対しては、MATは適用されない。
- 1961年所得税法第44B条(船舶事業にかかわる所得)
- 1961年所得税法第44BB条(鉱油探査事業にかかわる所得)
- 1961年所得税法第44BBA条(航空機事業にかかわる所得)
- 1961年所得税法第44BBB条(ターンキー電力事業等土木建設事業にかかわる所得)
支払ったMAT・AMT(Alternate Minimum Tax (企業組合、信託等の企業以外の法人に適用される最低代替税))と計算上の法人税との差額はタックス・クレジット(Tax Credit)として取得できる。
当該タックス・クレジットは15年間繰り越し可能であり、法人税額がMAT・AMT額を上回る年度において、その上回る額の範囲で使用可能〔1961年所得税法 第115JAA条〕。
なお、2010年度までは、輸出志向型企業(EOU)やSEZ等の特区に入居する企業が取得した利益は、MATスキームの対象外となっていたが、〔2011年インド財政法〕で見直され、これらの利益もMATスキームの対象となった〔1961年所得税法 第115JB条〕。
個人所得税
納税義務者
インドにおける個人所得税納税義務の有無と課税所得の範囲は、居住性の判定に伴って、次のとおり区別される〔1961年所得税法 第5条〕。
- 通常の居住者(ordinarily resident):インド国外で発生したものを含む、すべての所得。
- 非通常の居住者(not ordinarily resident):
- インド国内で発生または受領した所得。
- インド国内でコントロールされた事業に関して、インド国外で発生・受領した所得。
- 非居住者(non-resident):インド国内で発生または受領した所得。
ただし、次の4条件を満たす場合、インド国内で発生・受領した所得であっても、インドの個人所得税を免税にできる〔日印租税条約〕。- 日印租税条約における日本の居住者。
- インド滞在期間が課税年度で、183日を超えない。
- 報酬がインド国外の居住者の雇用者から支給されている。
- 報酬がインド国内の恒久的施設によって負担されているものでない。
※居住者/非居住者の区分〔1961年所得税法 第6条〕
次の1. 2.のいずれかに該当する場合、居住者(resident)に区分され、それ以外は非居住者。
- 当該会計年度に182日以上インドに滞在した場合
- 会計年度中に60日以上滞在し、かつ当該会計年度前の過去4年間(会計年度)で365日以上滞在している場合
通常の居住者/非通常の居住者の区分
さらに、居住者は、次の3.4.のいずれにも該当しない場合、通常の居住者(ordinarily resident)に区分される。
- 会計年度前の10年間のうち、過去9年間(会計年度)は非居住者(non-resident)であった場合
- 会計年度前の過去7年間(会計年度)の滞在日数が729日以下の場合
所得税率
- 旧個人所得税制度
-
- 超過累進課税方式
個人所得税の税率は、超過累進課税方式により次のとおり。
所得額(ルピー)と税率(2020年度より適用される税率)
- 250,000ルピー以下:0%
- 250,001~500,000ルピー:5%
- 500,001~1,000,000ルピー:20%
- 1,000,001ルピー以上:30%
さらに、高額所得者に対しては、次の追加の課徴金が所得税全額に課せられる。
- 5,000,001~1,000万ルピー:追加課徴金10%
- 10,000,001~2,000万ルピー:追加課徴金15%
- 20,000,001~5,000万ルピー:追加課徴金25%
- 5,000万ルピー超:追加課徴金37%
最終的に、所得税+課徴金に、健康教育目的税(4%)が付加される。
各所得控除後の課税所得が50万ルピー以下である通常の居住者および非通常の居住者につき、所得税課税は行われるが、同時に割戻控除1万2,500ルピーが適用となる。その結果、各所得控除後の課税所得が50万ルピー以下である場合には、納税者に納税義務が発生しない。
例:年収1,100万ルピーの納税者の場合、個人所得税の年間支払額は次のとおり。
- 課税収入25万ルピー:税率0%:税額0ルピー
- 同25万ルピー:同5%:同1万2,500ルピー
- 同50万ルピー:同20%:同10万ルピー
- 同1,000万ルピー:同30%:同300万ルピー
- (税額小計)311万2,500ルピー+(課徴金15%)46万6,875ルピー+(健康教育目的税4%)14万3,175ルピー
- 課税総額:372万2,550ルピー
- 各種控除
- 60歳以上のシニア居住者(前年年収上限30万ルピー)、80歳以上の高齢居住者(同50万ルピー)は免税。
- 2019年度から適用され、給与所得から5万ルピーまで基礎控除可能。
- 所得階層に関係なく、総所得から最大15万ルピーの特定の貯蓄分は控除可能〔1961年所得税法 第80C条〕。
- 自己(配偶者と扶養家族(子ども)を含む)、またはシニア居住者ではない両親の健康診断および医療保険料にかかる費用に対し、それぞれ最大2万5,000ルピーの控除可能〔1961年所得税法 第80D条〕。
シニア居住者の健康診断および医療保険料にかかる費用に対し、当該控除が最大5万ルピー。
なお、シニア居住者への医療費も控除対象となる〔2018年インド財政法〕。 - 普通預金口座に関連するシニア居住者以外の金利収入については、1万ルピーまで控除可能〔1961年所得税法 第80TTA条〕。
- 国民年金制度(National Pension Scheme)に対する拠出については、5万ルピーまで控除可能〔1961年所得税法 第80CCD条〕。
- シニア居住者の銀行、協同組織金融機関および郵便局からの金利利息収入については、最大5万ルピーまで控除可能〔1961年所得税法 第80TTB条〕。
- 超過累進課税方式
- 新個人所得税制度 選択適用〔2020年インド財政法〕
-
政府は、2020年度より適用される新個人所得税制度として、個人の所得にかかる税率引下げ制度を導入した。個人は、1961年所得税法第115BAC条に基づき、旧制度もしくは新個人所得税制度、どちらか一方を選択することが可能となる。ただし、2024~2025会計年度については、新税制が既定の税制となる。また、事業所得、またはその他の事業所得(Professional Income)がない場合は、申告書を作成する際にどちらか一方を選択することが毎年可能となる。
しかし、事業所得、またはその他の事業所得(Professional Income)がある場合は、新個人所得税制度を選択した後は毎年の選択が不可能となり、1回のみ旧個人所得税制度に切替え可能となる。旧個人所得税制度を選択した場合、新個人所得税制度への切替えは事業所得、またはその他の事業所得(Professional Income)がある限り不可能とされている。- 超過累進課税方式
新個人所得税制度の税率も超過累進課税方式となる。税率は次のとおり。
2023~2024会計年度 所得額(ルピー) 税率 250,000以下 0% 250,001~500,000 5% 500,001~750,000 10% 750,001~1,000,000 15% 1,000,001~1,250,000 20% 1,250,001~1,500,000 25% 1,500,001以上 30% 2024~2025会計年度 所得額(ルピー) 税率 A. 300,000以下 0% B. 300,001~600,000 5% C. 600,001~900,000 10% D. 900,001~1,200,000 15% E. 1,200,001~1,500,000 20% F. 1,500,001以上 30% 所得税額に対して以下の税率で課される。
所得500万ルピー以下:0%
500万ルピー超~1,000万ルピー以下:10%
1,000万ルピー超~2,000万ルピー以下:15%
2,000万ルピー超:25%※健康教育目的税は旧個人所得税制度と同税率が引き続き課税される。割戻控除1万2,500ルピーも引き続き適用される。
例:2024~2025会計年度(新税制下)において年収1,100万ルピーの納税者の場合、個人所得税の年間支払額は次のとおり。
- 課税収入Aに対する税額(税率0%):0ルピー
- 同Bに対する税額(同5%):1万5,000ルピー
- 同Cに対する税額(同10%):3万ルピー
- 同Dに対する税額(同15%):4万5,000ルピー
- 同Eに対する税額(同20%):6万ルピー
- 同F(150万ルピー超~1,100万ルピー)に対する税額(同30%):285万ルピー
税額小計:300万ルピー
(税額小計)300万ルピー+(課徴金15%)45万ルピー+(健康教育目的税4%)13万8,000ルピー
課税総額:358万8,000ルピー政府サイトが提供する所得税計算システムは以下を参照。
Ministry of Finance, Government of India - Income and Tax Caluculator- 各種控除
新しい個人所得税制度を選択した場合、1961年所得税法にあるほとんどの税額控除、免税等は利用ができなくなる。前記旧個人所得税制度での2.各種控除a.~g.は新個人所得税制度の下では利用不可能となる。しかし、国民年金制度(National Pension Scheme)に対する拠出については、給料(基本給+補填手当)の10%、あるいは、雇用者拠出分のいずれか低い方まで控除可能〔1961年所得税法 第80CCD(2)条〕とされる。
- 超過累進課税方式
申告条件の変更
個人が会計年度中に高価格取引を行った場合、総所得額が個人申告書提出の年収上限以下であっても、個人所得税申告が必要となる。
個人の場合、次のいずれかの条件を満たす場合、個人所得税申告が必須となる。〔2023年インド財政法〕なお、5から8は、2022年4月21日付通知No. 37/2022により義務化された追加条件である。
- 銀行や協同組合銀行に保有する1つまたは1つ以上の当座預金口座の預金額が1,000万ルピーを超えている
- 本人または他人に対する海外旅行への支出が、合計20万ルピーを超える
- 10万ルピー超の電気代の支出
- 今後規定されるその他規定を満たす場合
- 前年度の売上高(total sales, turnover or gross receipt)が600万ルピーを超える場合
- 前年度の事業総収入が100万ルピーを超える場合
- 前年度に控除・徴収された税額の合計が2万5,000ルピー以上の場合
- 前年の1つまたは複数の普通預金口座の預金総額が500万ルピー以上の場合
ブラックマネー法(The Black Money (Undisclosed Foreign Income and Assets) and Imposition of Tax Act, 2015)
インド政府は2015年7月に、〔ブラックマネー法(以下「BMA法」)〕を導入した。
〔BMA法〕はインドの通常の居住者(本人、配偶者や扶養家族を含む)を対象とし、次の場合に適用される。
- 取得資金の源泉に関する説明がない、あるいは十分でない無申告の国外財産がある。
- 国外所得が申告書には反映されてない、あるいは申告書が提出されていない無申告の国外所得がある。
- 申告書上、正確でない、あるいは不十分な申告の国外財産がある。
また、無申告の国外財産を取得または国外所得を得た会計年度の時点で居住者であった非居住者および非通常の居住者も対象となる。当該規制は2015年7月1日から遡及適用となる。〔2019年インド財政法No.2〕
〔BMA法〕が適用になった場合、無申告の国外所得・国外財産に対する税率30%とともに、税額の3倍の罰金が科される可能性がある。加えて、違反内容によっては起訴の可能性もある。
しかし、会計年度のいずれかの時点で、1つ以上の国外銀行口座の合計残高が50万ルピー以下であれば、当該国外財産が無申告であっても、罰金は科せられない。
源泉徴収税
配当以外の支払いに対する源泉徴収税
〔1961年所得税法〕における源泉徴収税
- 源泉徴収税率
支払いの種類 居住者への適用税率 非居住者への適用税率 非居住者の場合の
課徴金・健康教育目的税1. 社債利子を含む利子支払い(注1) 10%
〔2022年インド財政法 Part Ⅱ of The First Schedule〕20%(グロスベース)
〔2022年インド財政法 Part Ⅱ of The First Schedule〕
(注2,3,4)課徴金
課税所得1,000万ルピー以下:適用なし
同1,000万ルピー超~1億ルピー以下:2%
同1億ルピー超:5%健康教育目的税
税額・課徴金に対して4%2. ロイヤルティー(注1) 10%
〔1961年所得税法第194J条〕20%(グロスベース)
(2023年財政法により10%から引き上げ)1.と同じ 3. 技術サービス料(注1) 2%
〔1961年所得税法第194J条〕
映画用フィルムの販売、配布、または展示にかかるロイヤルティーの場合、税率2%が適用される20%(グロスベース)
(2023年財政法により10%から引き上げ)1.と同じ 4. プロフェッショナルサービス料 10%
〔1961年所得税法第194J条〕10%(グロスベース) 1.と同じ 5. 恒久的施設帰属所得 適用なし 40%(ネットベース)
〔日印租税条約第11条6項、第12条5項、第7条〕1.と同じ 注1:項目1、2、3の源泉徴収税率は、当該所得が恒久的施設帰属所得でないことを前提とする。恒久的施設帰属所得の場合には項目4の税率を適用。
注2:20%の税率による源泉徴収税は、外貨建て借入れの際に適用。
注3:インドルピー建て借入れで、項目4の要件を満たさない場合、40%の税率を適用。
注4:2020年6月30日までに行われる次のいずれかに該当する、インド国外を源泉とする借入れに対する利子については、5%の軽減税率を適用〔1961年所得税法第194LC条、第194LB条〕。
- 外貨建て借入れ
- 外貨建て長期社債
- インフラ・デットファンド
- インドルピー建て社債(Masala Bond)
同法の第194LC条および第194LD条に基づく軽減税率の適用期間は、2020年7月1日から2023年7月1日まで延長される。
なお、2020年4月1日以降2023年7月1日以前にIFSC承認の証券取引所に上場された長期社債/ルピー建て社債に対しインドの特定会社あるいは信託会社がインド国外から借入を行った場合の利子については、5%の代わりに4%の軽減税率が適用される。本改正は2020年4月1日から有効となっている(2020年財政法により改正)。ただし、インド法人や事業信託により2018年9月17日~2019年3月31日の間に非居住者(外国法人を含め)へインドルピー建社債を発行する場合においては、非居住者が受領する利子に対して注4の5%源泉徴収税は対象外となる〔2019年インド財政法、1961年インド所得税第10条4C項〕。
- PAN(Permanent Accounting Number)の源泉徴収者への提供が要件となる場合
所得の受領者が居住者である場合、PANの提供は必須である。
PANが提供されない場合には、20%の源泉徴収税の対象となる。所得の受領者が非居住者である場合、PAN提供は必須であるが、PANの利用が可能でない場合には、特定の情報(氏名、メール・アドレス、連絡先の電話番号、居住者証明書、本国の納税者番号)を取引時に提供する必要がある。
ただし、源泉徴収税率・注4の長期社債に対する利子の性質を有する所得の場合には、当該特定の情報提供は不要〔1961所得税法 第206AA条、1962年所得税ルール、ルール37BC〕。しかし、PANの取得はインド所得税申告書提出のための必須要件であるため、取引の前にPANを取得できなかった非居住者は、その申告のため取引後に取得をする必要がある。
租税条約における源泉徴収税率
- 非居住者が取引時に満たさなければならない条件
PANの提供。PANが利用可能でない場合には、当該非居住者が次の情報・書類を提供することにより、租税条約の恩典を受けることができる〔1961年所得税法第206AA条、第90条〕。- 居住者証明書
- フォーム 10F(475KB)
- 連絡先のメール・アドレス、電話番号
- 租税条約における源泉徴収税率
支払いの種類 適用税率 課徴金・健康教育目的税 1. 利子支払い 10%
〔日印租税条約第11条〕適用税率10%に含む。 2. ロイヤルティー 10%
〔日印租税条約第12条〕適用税率10%に含む。 3. 技術サービス料 10%
〔日印租税条約第12条〕適用税率10%に含む。 4. 恒久的施設帰属所得 40%(ネットベース)
〔日印租税条約第11条6項、第12条5項、第7条/2018年インド財政法 Part Ⅱ of The First Schedule〕前項「源泉徴収税率」を適用。
5. 配当所得 10%
〔日印租税条約第10条〕適用税率10%に含む。
注:項目1、2、3の源泉徴収税率は、当該所得が恒久的施設帰属所得でないことを前提とする。恒久的施設帰属所得の場合には、項目4の税率を適用。
納税者は、租税条約と〔1961年所得税法〕のいずれか有利な方を選択できる〔1961年所得税法第206AA条、第90条〕。
受取配当金
居住者への配当支払い:2020年3月31日までに受け取った配当所得に対する源泉徴収税はない〔1961年所得税法 第10条34項〕。
非居住者への配当支払い:2020年3月31日までに受け取った配当所得に対する源泉徴収税はない〔1961年所得税法 第10条34項〕。
それぞれの株主の配当所得に対し課税されることが可決され、国内企業/ミューチュアルファンド/ビジネストラスト(企業信託)は配当分配税を支払う必要がなくなり、源泉徴収をする必要がある。
さらに、所得税法第2条22(e)項に基づき配当とみなされる所定の貸付金・前払金に対しては、適用される税率により株主側で課税され、各会社が当該みなし配当に対する源泉徴収をする必要がある。
配当に対する源泉徴収税の影響
居住者株主または居住者ユニットホルダーへ配当決議をする内国法人またはミューチュアルファンドは、適用となる配当額に応じて、10%の税率で源泉徴収を行うことが義務付けられる。
非居住者に対する配当の場合、税率は20%または租税条約上の軽減税率により源泉徴収される必要がある。
また、ユニットホルダーが受領するキャピタルゲインに対して源泉徴収税は適用されないこととなる。
(第115A条、第194条および第194K条、2020年財政法により改正)
なお、インド内国法人からの配当について、〔1961年所得税法 第115BBDA条〕が2016年インド財政法で導入され、内国法人、所定の基金、機関、信託以外のインド居住者である特定の納税者に対する100万ルピー超の配当金に対しては、受取人に対し配当税10%(課徴金、健康教育目的税が別途付加される)が課せられる。
ただし、配当が所定の貸付金・前払金として支払われる場合には、当該規定は適用されない〔1961年所得税法 第115BBDA条〕。
本条項は、2020年3月31日以前に国内企業によって宣言、分配、または支払われる配当に適用される(2020年財政法により改正)。
194条第二条件が改正され、2020年4月1日から遡及適用されることが提案された。この改正により、SPV(同法第10(23 FC)条)からInVIT/REITなどの事業信託(同法第2(13 A)条)に貸付または支払われた所得による配当に対しては、源泉税は適用されないことが規定される。
当該改正は、2020~21課税年度から遡及適用される。
インド所得税法第80条M項
第80条M項は、法人間における配当に対する税のカスケード効果を排除するために導入された。
内国法人は、支払う配当額を他の内国会社から受ける配当所得から控除することができる。
当該控除は、株主が順次分配する配当金の額を限度とする。
控除は、支払期日以前に分配された配当金について適用される。期限日とは、所得の申告の日の1月前の日をいう。
内国法人が外国法人または企業信託から受け取った配当金も、第80M条に基づく控除の対象となる。
〔2020年財政法による第80条M項導入〕
当該条項に基づいて得られる利益は、次のとおりである。
事項 | シナリオ1 | シナリオ2 |
---|---|---|
受益した受取配当金(A:会社X→会社Y) | 100 | 100 |
会社Yが支払う配当金 | 70 | 130 |
法律第80M条に基づく控除額(B:会社Y) | 70 | 100 |
会社Yが課税対象とする配当所得(A-B) | 30 | Nil |
所得税申告義務
インド課税所得がある内国法人または外国法人は、インドにおいて所得税申告を行う義務がある。
当該申告書は、インド税務当局のウェブポータルに、オンラインで提出する必要がある。
オンラインでの提出のため、納税義務者はインドの有効なPANを保有している必要があり、また、その署名者はインドの有効なPANおよび電子署名(Digital Signature Certificate)を保有している必要がある。
所得税法第115A(5)条の規定により非居住者の所得が配当または特定の受取利息のみで構成され、源泉徴収税が適切に控除されている場合、所得税申告を実施する必要はない。
非居住者の所得税申告書提出免除について、所得税法第115A条が次の条件に改正された。
- 総所得が第115A条に規定されている配当、特定の受取利息、ロイヤルティー、技術役務料金のみで構成されていること。
- 同所得が、第115A条(1)に規定されている税率よりも高い源泉税率で徴収されていること。
同改正はAY2020-21より有効になっている。
所得の性質 | 租税条約に基づく税率 | 所得税法に基づく税率 | 源泉税率 | 所得税申告 |
---|---|---|---|---|
技術役務料金 | 10 * | 10.92 ** | 10 | 要 |
15 *** | 10.92 ** | 10.92 | 不要 | |
外国企業から受け取った配当 | 10 **** | 21.84 ** | 10 | 要 |
(所得税法第115A条は、2023年の財務法により改正された)
* 日本、シンガポール、オランダなどと締結した租税条約の10%で課税されるテクニカルサービスフィーからの収入。
** 第115A条の税金(10%/20%)は、5%のサーチャージと4%の目的税によって増加されている。
*** 米国、英国、ポーランドなどと締結された租税条約に規定されている15%で課税されるテクニカルサービスフィーからの収入。
**** 中国、日本などとの間で締結された租税条約で規定されている配当にかかる源泉税10%
デジタル経済
現存する様々な規定において現金取引を抑制し、正式な銀行決済システムのみを通しての支払い・受領が促進されている。多用な電子決済システム促進のため、現状の支払い・受領の決済システムに加え、その他の電子決済方法も含むよう次の条文が2019年インド財政法で修正された。
- 政党への寄付〔1961年所得税法 第13A条〕
- 特定事業に対する、資本の性格を持つ支出〔1961年所得税法 第35AD条〕
- あらゆる支出の損金不算入〔1961年所得税法 第40A条〕
- 資産買収に係る支出〔1961年所得税法 第43条1項〕
- 一定の場合における資産譲渡対価の全額〔1961年所得税法 第43CA条、第50C条、第56条〕
- 推定営業利益の計算のための特定規定〔1961年所得税法 第44AD条〕
- 新入社員の雇用に係る控除〔1961年所得税法 第80JJAA条〕
- 借入および預金の受入と返済〔1961年所得税法 第269SS条、第269T条〕
- 20万ルピー超の取引〔1961年所得税法 第269ST条〕
また、直前の会計年度における総売上高や総受領高が5億ルピー超のビジネスを行ういかなる者が、現在利用している電子決済システムに加え、それ以外の所定の電子決済方法も導入しなければならなくなることが2019年インド財政法で導入された〔1961年所得税法 第269SU条〕。
現金引き出しに対する源泉徴収〔1961年所得税法 第194N条〕
現金取引を抑制しキャッシュレス経済に移行するため、次の法人により源泉徴収が行われる。
- 銀行
- 協同組合銀行
- 郵便局
これらの法人にて、1つあるいは1つ以上の銀行口座を保有している者が、会計年度中に総額1,000万ルピー超の現金を引き出す場合には、当該法人により支払の際に1,000万ルピー超の現金に対して2%の源泉徴収が行われることが2019年インド財政法で導入された。
※2023年財政法案にて、2023年7月1日よりこの受取人が協同組合である場合、前記1,000万ルピーの総額規定を3,000万ルピーまで拡大すると提案されている。
また、この2%の源泉徴収税額は銀行口座保有者の所得となる〔1961年所得税法 第198条〕。
しかし、1961年所得税法第194N条は、次の場合の支払いに対して適用されない。
- 政府への支払い
- 銀行法人、協同組合銀行、郵便局への支払い
- インド準備銀行(RBI)のガイドラインに沿った銀行法人や協同組合銀行のビジネス代理店への支払い
- インド準備銀行(RBI)の承認に沿った銀行法人や協同組合銀行のあらゆるWhite Labelled ATMの業者への支払い
- インド準備銀行(RBI)と協議し、中央政府により通知されるその他の者に対する支払い
税務訴訟の削減
-
No Dispute but Trust Scheme の導入
2020年2月4日に連邦財務大臣によって直接税の訴訟数を減らすことを目的とした紛争解決スキーム(Vivad Se Vishwas)が提案され、同年3月17日に承認され法令化された。当該スキームの詳細は次のとおりである。- 納税者は、控訴が最高裁判所、高等裁判所、租税裁判所 (Income Tax Appellate Tribunal: ITAT)、所得税局長(上訴担当)(Commissioner of Income Tax (Appeals): CIT(A))の段階で2020年1月31日時点で保留になっているもの、もしくは異議申し立ての提出期限が切れていない係争を行っている場合、判決された追加税額のみを支払うことにより、利息と罰金を完全に免除することができる。
- 2020年3月31日以降に当該スキームを適用する場合は、追加納税が必要となる。
- 控訴がCIT(A)あるいはITATで係争中に当該スキームを適用する場合は、当局による所定証明書の発行日をもって当該控訴の取り下げとみなされる。
- ただし、上訴が最高裁判所または高等裁判所で保留となっている場合、納税者は上訴を取り下げるか裁判所の許可の下、取り下げの証拠を上訴申請書に添えて提出しなければならない。
- 2021年財政法は、VSV法に基づき、第2(1a)条規定の上訴人、第2(1j)条の係争税および第2(1o)条の納税義務の定義を改正することにより、所得税和解委員会(ITSC)が、通常の査定手続を終了することを選択する納税者に対して、代替的な仕組みを提供するという当初の立法意図を明確にすること、さらにVSV法は係争による課税の解決のために制定されたものであり、納税のために制定されたものではない意図を強めている。
さらに、和解委員会によるオーダーに対する不服申立として請願書(Special Leave Petition:SLP)などを提出している訴訟に対して、VSV法は適用外となることが提案された。同様に、和解委員会のオーダーに記載された追徴額はVSV法の適用範囲外となることが提案されている。当該改正は、2020年3月17日から遡及適用されることが提案されている。
- フェイスレスアセスメント(電子税務調査)
税務調査プロセスの効率性、透明性、説明責任を高めるために、新たな電子税務調査スキームが導入された。 現在、当該スキームは、所得税法第143条(3)に基づく調査のみを対象としている。
当該スキームは現在、第144条に基づいて可決された「Best judgment assessment」へも拡大されるものとする。 - フェイスレスアピール(電子控訴制度)
所得税法第250条に6B項が挿入され、中央政府は、次の方法により効率性、透明性、説明責任を高めるために、控訴の処分のための電子控訴制度に通知する。- 技術的に実行可能な範囲で上訴手続の過程で担当官(異議申し立て)と上訴人との間のインターフェースを排除
- 規模の経済と機能の専門化によるリソースの利用の最適化
- 動的な管轄権を持つ上訴制度を導入し、1人または複数の担当官が処理する(異議申し立て)
同様に、第274条も改正され、ペナルティー手続きにも適用されている。
(2020年財政法改正) - 租税裁判所(Income Tax Appellate Tribunal:ITAT)におけるフェイスレスアピール(電子控訴制度)
システムからヒューマン・インターフェースを削減することを目的として、中央政府によって開始された次なる改革として、フェイスレスアセスメントのITAT訴訟への導入が提案された。
所得税法第255条に新しく(7)、(8)および(9)項を折込み、次の事項を行うために、ITATによる不服申立て手続きのための計画を、中央政府が通知することとなった。- 効率性の向上
- ITATと上訴人との間のインターフェースを技術的に実現可能な範囲で排除することによる透明性と説明責任の明確化
- 規模の経済と機能の特化を通じたリソース使用の最適化
- 中小納税者向け紛争解決委員会の設置(Dispute Resolution Committee:DRC)
新しい係争を防ぎ、早期解決を目的とし、インド所得税法に新しく第245MA条が追加され、当該条項の主な規定は次のとおりとなる。- 中央政府は1つ以上のDRCを設置し、委員会により特定された者の紛争を解決するものとする。
- 納税者は、DRCを通じて紛争解決を選択するか否かの選択肢を持つ。
- 納税者の課税対象所得が500万ルピー以下で、かつ、所得の変動が100万ルピー以下である納税者に対して、当該委員会が設置される。
- 納税者に、本条項に規定される各種法規に基づいた拘留、起訴あるいは有罪判決が下されている場合は、DRCによる恩典を受ける資格がない。
- DRCは、本条項に基づいて紛争が解決された者に対し、当該法規に基づくいかなる犯罪についても、罰則の減免または免除する権限を有する。
- 事前裁定委員会(Board for Advance Ruling:BFAR)
1961年 所得税法 第245OB条の修正により、納税者にタイムリーな事前裁定を提供する目的で、事前裁定委員会(BFAR)を設置し、Authority of Advance Ruling (AAR) Benchの規定が改正された。- 通知される日付からAARは1つ以上のBFARに置換される。
- 保留中のAAR案件については、適切に修正されたBFAR規定の第XIXB章に基づき全記録ならびに文書が転送される。
- 各BFARは局長以上の2人の構成員から成る。
- 事前決定は申請者または税務当局を拘束するものではなく、いずれの当事者も高等裁判所に上訴することができる。
- 第245W条の挿入により、申請者または税務当局がBFARオーダーに対して高等裁判所に上訴することができる規定が提案された。
- 上訴は、所定の様式によるオーダー通知日から60日以内に提出することができる。
- 高等裁判所は、それをさらに30日間延長する権限を認められる。
- BFARの非対面機能の提供を可能にする。
- ITATにおける納税額納付期日延長申請(Stay of Demand)
現在、ITATには185日を超えない期間、さらに許可された場合において、合計期間が365日を超えない日数で納税額納付期日の再延長を許可する権限がある。さらに、控訴の遅延が被調査者に起因しない場合において、被調査者が行う再延長申請をITATが認めることが可能となる。
納付期日延長を許可するITATの権限は、以下の条件となる。- 納税額および納税額にかかる利息、手数料、ペナルティー、またはインド所得税法規定に基づいて支払われるその他金額の20%以上を納める。もしくは
- 同額の保証金を納める。
本改正は、AY2020-21から有効とされている。
- 共同税務訴訟審査制度(Joint Commissioner (Appeals))の導入
2023年財政法の改正により所得税法第246条が改正され、2023年4月1日より、これまでの税務訴訟の第1審判機関と併設される形で、共同税務訴訟機関(Joint Commissioner (Appeals))が設置されることとなった。
この共同税務訴訟審査機関においては少額の不服申立を扱うこととなり、既存の第1審査機関(Commissioner(Appeals))との取扱い案件を分けることで、納税者の不服申立ての早期解決を目指す。また、第1審査機関間での案件の移管も認められており、個別のケースに合わせた対応が可能とされている[2023年財政法]。
E-Commerce Supply or Servicesに対する平衡税
平衡税は2016年財政法によって導入され、オンライン広告サービスやデジタル空間の提供などの関連サービスについて、非居住者に支払われた、または支払われるべき対価の6%課税されることになった。第165条が導入され、当該内容が具体的に規定された。
2020年財政法では平衡税の適用範囲が拡大され、電子商取引事業者による電子商取引の供給やサービスも対象とされた。「電子商取引事業者*」および「電子商取引の供給またはサービス**」という用語の定義は、その範囲がかなり広く、様々なデジタル取引およびサービスを含むことがある。
当該平衡税は2020年4月1日より電子商取引を含めるように拡大されており、拡大範囲に係る第165A条が導入されている。
2%の平衡税は「電子商取引事業者」が以下の対象者に対して提供する「電子商取引の供給またはサービス」の対価に課される。
- インド居住者
- 「特定の状況***」における非居住者
- インドにあるインターネットプロトコルアドレスを使用して、商品またはサービス、あるいはその両方を購入する者
*「電子商取引事業者」とは、商品のオンライン販売またはサービスのオンライン提供のためにデジタルまたは電子的な設備またはプラットフォームを所有し、運営しまたは管理する非居住者をいう。
**「電子商取引の供給またはサービス」とは、以下のとおり。
- 電子商取引事業者が所有する商品のオンライン販売
- 電子商取引事業者が提供するサービスのオンライン提供
- 電子商取引事業者を介した商品のオンライン販売、サービスの提供またはその両方
- 1.~3.の任意の組み合わせ
「商品のオンライン販売」および「サービスのオンライン提供」をするために2016年財政法第164cb条に提案されている説明には、以下のオンライン活動の1つまたはそれ以上が含まれる。- 販売の申込みの承諾
- 注文書の発注
- 注文書の受理
- 対価の支払
- 部分的または全体的な商品の供給またはサービスの提供
また、2021年財政法により2020年4月1日から適用された遡及的修正は以下のとおり。
- 平衡税は、オンライン広告サービスやそれに関連するサービス、Eコマースの供給やサービスが、インドでロイヤルティーや技術サービスの報酬として課税されている場合には適用外となる。
- 平衡税対象の商品またはサービスのオンライン販売の範囲は、販売依頼の受理、発注、発注の受理、対価の支払い、商品/サービスの提供を含む。
- 平衡税の目的上、EC事業者の物品の所有いかんに関係なく、すべての対価が対象となる。
***「特定の状況」とは、以下のとおり。
- インド居住者である顧客、またはインドに所在するインターネットプロトコルアドレスを介して広告にアクセスする顧客を対象とした広告の販売
- インド居住者、またはインドにあるインターネットプロトコルアドレスを使用する者から収集したデータの販売
以下の場合において平衡税は適用外となる。
- 当該電子商取引業者がインドに恒久的施設を有し、かつ、当該電子商取引の供給またはサービスが当該恒久的施設と実質的に関連している場合
- オンライン広告およびインド所得税法第165条に規定されている活動に対してすでに平衡税が課されている場合
- 電子商取引事業者の事業年度における電子商取引の供給またサービスからの売上高は総所得が2,000万インドルピー未満である場合
- インド1961年 所得税法 第10条50項により、特定のサービス対価、電子商取引による対価には、所得税法上においてインドでの技術役務料金またはロイヤルティーとして課税される取引は含まれないとされた。
コンプライアンス
インド財政法第166A条に従い、非居住者である電子商取引事業者は、四半期ごとに以下の期日内に平衡税を納付するものとする。
納税には現行のChallan No.285が使用されることとなる。
四半期 | 期日 |
---|---|
第1四半期(6月30日) | 7月7日 |
第2四半期(9月30日) | 10月7日 |
第3四半期(12月31日) | 翌年1月7日 |
第4四半期(3月31日) | 3月31日 |
遅延納付は、財政法第170条に従い、毎月または月の一部に1%単純利息が課される。平衡税の未納付は同法第171条に基づく平衡税の額に等しい罰金が科されることとなる。
すべての電子商取引事業者は、年度中に電子商取引の供給またはサービスに係る報告書を所定の様式で作成し、提出しなければならない。電子商取引事業者が報告書を提出しなかった場合または報告書の提出後に不備が発覚した場合は、電子商取引の供給またはサービスが行われた年度の終了後2年以内に、報告書の修正が可能となる。
電子商取引事業者が指定された期日までに年次報告書を提出しなかった場合には、提出するまで1日につき1,000ルピーの罰金が科されることがある。
所得税控除
1961年所得税法が当該平衡税に適用するよう改正され、2021年4月1日以降に提供された電子商取引の供給またはサービスから生じる所得にかかる控除が規定された(2020年財政法改正)。
所得税法第194 O条
第194 O条は2020年国家予算で導入された。第194 O条によると、電子商取引事業者は、電子商取引参加者(個人あるいはHUF)による商品の販売やサービスの提供の促進のために1%を源泉徴収する必要がある。
電子商取引事業者は、商品、サービスまたはその両方の販売額のクレジット発生時、または他の方法により電子商取引参加者への支払を行う際のいずれか早い時点で、1%の源泉徴収をすることとなる。第194 O条に基づく電子商取引事業者に対する源泉徴収規定は、2020年10月1日から適用される。
「電子商取引事業者」とは、電子商取引のためのデジタルまたは電子設備またはプラットフォームを「所有、操作、または管理」し、かつ電子商取引参加者に対する支払責任を負う者と包括的に定義されている。デジタルまたは電子設備またはプラットフォームが他人によって所有、操作、または管理されている場合、当該設備またはプラットフォームを単に使用するだけでは、事業者が当該用語の定義に該当するには不十分とされている。事業者は、居住者または非居住者いずれかである。
「電子商取引参加者」とは、電子商取引事業者が提供する電子的な設備を通じて当該事業者の商品、サービスまたはその両方を販売するインド居住者をいう。
現在、Section 206 AAはPAN/Aadhaarを保有していない場合、Section 194 O規定の1%ではなく5%の税率で源泉徴収が行われると規定されている。
しかし当該事業者を通じた参加者の商品販売あるいはサービス提供、あるいはその両方からの売上総額が50万インドルピー以下であり、かつ、当該参加者がPANあるいはAadhaarを事業者に提示している場合において、事業者は、当該条項のもとクレジットあるいは支払い総額に係る源泉徴収義務を負わないものとする。
国際税務
- インドとの取引関係を構成しない一定の活動
インド所得税法第9A条は、オンショア・ファンド運用者が運用するオフショア・ファンドに対し、一定の条件下でセーフハーバー(PEリスクとPOEMリスクの観点から)を提供する。
同法8A条では、適格投資ファンドおよびその適格ファンドマネージャーがセクション80 LAに定義されたIFSCに所在し、2024年3月31日以前に業務を開始した場合には、(3)および(4)項に規定された条件は適用されないか、または規定された修正を加えて適用されることが規定される。 - 第10(4D)条の規定拡大が提案されている。IFSCに所在する認識された証券取引所の資本資産の、IFSCに所在するオフショア銀行部門の投資部門であって、SEBIによってカテゴリーIII AIF登録を付与され、2024年3月31日以前に業務を開始した部門への譲渡に関して、特定ファンドによって生じるキャピタルゲインに関する適用除外を拡大する修正が提案された。
- (4E)、(4F)および(23 FF)項を第10条に挿入することが提案されている。
- 所定の条件を満たすIFSCのオフショア銀行部門と締結したノンデリバラブルフォワード契約の譲渡による非居住者の収入
- その年の80LA条に基づく控除の対象であり、かつ2024年3月31日以前に運用を開始したIFSCユニットから航空機のリースによる非居住者のロイヤルティー収入
- インド企業の株式に係る譲渡益が、当初の基金から移転後の基金に移転される際に課税されなかった場合、移転後の基金による当該株式譲渡により非居住者に生ずる譲渡益課税は免除されることが提案されている。
物品・サービス税(Goods and Services Tax:GST)
インド政府は2017年7月1日からGSTを導入し、旧法でのさまざまな州税および中央税がGSTに包含されている。
ただし、現在GST課税対象外の特定の物品(原油、高速ディーゼル、ガソリン、天然ガス、航空タービン燃料、アルコール飲料)には、政府の告示がある日まで、旧法の付加価値税(VAT)・中央販売税(CST)、相殺関税(CVD)、追加関税(ADC)・特別追加関税(SAD)が、引き続き課税される。
インドのGSTは、中央と州(またはUT)の2階層の構造となっており、取引の内容や性質に応じて、税金の種類が異なる。
- 州内の資産の譲渡およびサービス提供の場合:州物品・サービス税(State Goods and Service Tax:SGST)+中央物品・サービス税(Central Goods and Services Tax:CGST)/連邦直轄領物品サービス税(Union Territory Goods and Services Tax:UTGST)
- 州間取引の場合:統合物品・サービス税(Integrated Goods and Service Tax:IGST)
- インド国外から物品・サービスの調達を行う場合(インドへの輸入):統合物品・サービス税(IGST)+基本関税およびその他の課徴金
基本的に、GSTは次の法令に基づき運営される。
- 2017年中央物品・サービス税法(Central Goods and Service Tax Act, 2017(1.79MB):CGST法)
- 2017年連邦直轄物品・サービス税法Union Territory Goods and Service Tax Act, 2017:UTGST法)
- 州物品・サービス税法(State GST Acts):各州固有のGST法
- 2017年統合物品サービス税法IGST法(Integrated Goods and Service Tax Act, 2017:IGST法)
- 2017年物品・サービス (州への税収補償) 税法(Goods and Services Tax (Compensation to States) Act, 2017)
ジェトロ:インド物品・サービス税(GST)における税構造と取引課税一覧(327KB)
また、これら法令の下、さまざまなルールおよび通達が発行されている。
GSTにかかわる立法および手続きを制定するGSTカウンセルは、GSTの税率を0.25~28%の7段階に分けた構造を規定している(GST Rates)。主な分類ごとの税率は以下のとおりである。
税率 | 商品カテゴリー |
---|---|
5% | 必需品(Essential Goods) |
12% | 常用品(Common use items) |
18% | 一般商品(Standard Goods) |
28% | 嗜好品(Luxury Goods) |
0% | 乳製品および梱包されていない穀類(Dairy products and unpacked food grains) |
この他、特定の物品・サービスに対して、〔2017年物品・サービス (州への税収補償) 税法〕に基づき、GST補償税(GST Compensation Cess)という州の税収補償のための特別追加税も適用される。
すべての物品販売事業者または役務提供者は、当該課税年度(Financial Year:4月~翌年3月)の総売上高が200万ルピー超の場合は、GSTに登録をしなければならない。
ただし、アルナーチャル・プラデシュ、アッサム、マニプール、メガラヤ、ミゾラム、ナガランド、シッキム、トリプラ、ヒマーチャル・プラデシュ、ウッタラカンド等、特別なカテゴリーに分類される州の場合、基準値は100万ルピー。
しかし、次の場合には、これらの基準値は適用されず、提供者は売上高にかかわらず、当該課税年度内に登録をしなければならない〔2017年CGST法 第22条、第24条〕。
- 課税対象となる州間の資産の譲渡およびサービス提供に従事している(州間のサービス提供のみに従事している者で、当該課税年度内のインド全体での総売上高が200万ルピーを超えていない(前述の特別な州の場合の基準値は100万ルピー)者を除く)
- 臨時的に事業として、時折資産の譲渡およびサービス提供を行う課税対象者
- リバースチャージ制度に基づき納税義務がある者
- 電子商取引運営者経由で、資産の譲渡およびサービス提供を行っている個人・法人
- 課税対象の資産の譲渡およびサービス提供を行っている非居住者である課税対象者
- 電子商取引事業者
- インプット・サービス・ディストリビューター(ISD)
- インドにいるGST未登録者である個人・法人に対して、インド国外からオンライン情報およびデータベースのアクセス・検索サービスを提供している個人・法人
また、物品販売事業者につき、GSTの登録基準値が総売上高400万ルピーに変更となることが、GST委員会からの推薦により承認されている(特別なカテゴリーに分類される州の場合は、200万ルピー)。しかし、州には新基準値の採用あるいは旧基準値の200万ルピー(特別なカテゴリーに分類される州の場合は、100万ルピー)を維持する選択肢が残されている。サービス提供者に対する基準値の変更は提案されていない。
物品・サービスの提供者はGSTを請求しているため、当該課税対象資産の譲渡およびサービス提供に対する税金を納付する義務がある。
しかし、特定の場合においては、物品・サービスの受領者はリバースチャージ制度に基づき、GSTを納付する義務がある。
リバースチャージ制度の対象となる物品およびサービスについては、次の通達によりそれぞれ通知された。
- 物品について
- 2017年6月28日付通達No.4/2017 ‐ Central Tax (Rate)(263KB)
(2018年5月28日付通達No.11/2018 ‐ Central Tax (Rate)により改正)
(2021年9月30日付通達No.10/2021 ‐ Central Tax (Rate)により改正)
(2022年12月30日付通達No.14/2022 ‐ Central Tax (Rate)により改正) - 2017年6月28日付通達No.4/2017 ‐ Integrated Tax (Rate)(263KB)
(2018年5月28日付通達No.12/2018 ‐ Integrated Tax (Rate)により改正)
(2021年9月30日付通達No.10/2021 ‐ Integrated Tax (Rate)により改正)
(2022年12月30日付通達No.14/2022 ‐ Integrated Tax (Rate)により改正)
- 2017年6月28日付通達No.4/2017 ‐ Central Tax (Rate)(263KB)
- サービスについて
- 2017年6月28日付通達No.13/2017 ‐ Central Tax (Rate)(275KB)
(2019年12月31日付通達No29/2019 ‐ Central Tax (Rate)により改正)
(2022年7月13日付通達No.05/2022 ‐ Central Tax (Rate)により改正) - 2017年6月28日付通達No.10/2017 ‐ Integrated Tax (Rate)(277KB)
(2019年12月31日付通達No.28/2019 ‐ Integrated Tax (Rate)により改正)
(2022年7月13日付通達No.05/2022 ‐ Integrated Tax (Rate)により改正)
- 2017年6月28日付通達No.13/2017 ‐ Central Tax (Rate)(275KB)
特定の物品およびサービスはGSTの課税対象外となっており、次の通達によりそれぞれ通知されている。
- 物品について
- 2017年6月28日付通達No.2/2017 ‐ Central Tax (Rate)(376KB)
(2019年9月30日付通達No.15/2019 ‐ Central Tax (Rate)(84KB)により改正)
(2022年7月13日付通達No.7/2022 ‐ Central Tax (Rate))
(2022年12月30日付通達No.13/2022 ‐ Central Tax (Rate)) - 2017年6月28日付通達No.2/2017 ‐ Integrated Tax (Rate)(346KB)
(2019年9月30日付通達No.15/2019 ‐ Integrated Tax (Rate)(156KB)により改正)
(2022年7月13日付通達No.07/2022 ‐ Integrated Tax (Rate))
(2022年12月30日付通達No.13/2022 ‐ Integrated Tax (Rate))
- 2017年6月28日付通達No.2/2017 ‐ Central Tax (Rate)(376KB)
- サービスについて
- 2017年6月28日付通達No.12/2017 ‐ Central Tax (Rate)(441KB)
(2020年10月16日付通達No.5/2020 ‐ Central Tax (Rate)により改正)
(2022年7月13日付通達No.04/2022 ‐ Central Tax (Rate)) - 2017年6月28日付通達No.9/2017 ‐ Integrated Tax (Rate)(446KB)
(2020年10月16日付通達No.5/2020 ‐ Integrated Tax (Rate)により改正)
(2022年7月13日付通達No.04/2022 ‐ Integrated Tax (Rate))
- 2017年6月28日付通達No.12/2017 ‐ Central Tax (Rate)(441KB)
事業として使用する物品・サービスの提供を受けるGST登録者は、〔GST法〕に基づき、当該仕入品・サービスに支払われた税額分について、税額控除を受けることが可能であり、当該仕入税額控除を課税売上に係る税額と相殺が可能。
ただし、特定の物品またはサービスについては、事業として使用した場合であっても、GST登録者は支払った税額について、税額控除を受けることはできない〔2017年CGST法 第17条5項〕。
なお、GST補償税(特別追加税)に係る仕入税額控除は、特別追加税の租税債務とのみ相殺できることが明確にされた。
ジェトロ:インドGSTにおける仕入額控除とGST登録申告について(244KB)
GST法上、輸出は「ゼロ税率」 の提供として取り扱われ、GST登録者は、〔2017年10月4日付通達No.37/2017–Central Tax(342KB)〕に基づく念書、あるいはBond(担保金)を提供することを条件に、課税対象外となる。
同通達の要件を満たしていない場合、GST登録者はIGSTを支払えば(輸出取引は州間取引としての扱い)、物品またはサービスの輸出が可能となる。その後、支払ったIGSTについて、GST登録者が税務当局に必要書類を提出し、還付申請を行えば、税金の還付金を受け取ることが可能。
なお、SEZに所在するGST登録者に対する認可業務の提供もゼロ税率対象の取引となることが提案されている〔2021年インド国家予算税制改正案〕。
また、GST登録済みの個人または法人からのEOU(Export Oriented Unit:100%輸出指向型企業)への物品販売は「みなし輸出」扱いのため、販売者あるいは購買者のどちらかにおいて、納付額について還付が可能となる。
しかし、当該便益はサービス提供に対しては適用されないため、GSTが引き続き課せられる。〔2017年10月18日付通達No.48/2017-Central Tax〕
物品税関税中央局:2017年10月18日付通達(Notification No.48/2017-Central Tax(91KB))
ケララ州においては、州内の資産の譲渡、サービス提供に対して1%以下の税率で最長2年間のケララ洪水目的税(Kerala Flood Cess)の課税が許容されている。当該目的税は、2019年8月1日より課税されている。
電子請求書(E-invoicing)
物品・サービス税委員会は、2019年6月21日に実施した第35回会議において、2020年1月から段階的に電子請求書システムの導入を行うことを推奨した。当該システムは、請求書の有効化を認証するため、中央ポータルである請求書登録ポータル(Invoice Registration Portal:IRP)に一定の情報をアップロードする必要がある。
2020年10月1日から、売上高が50億インドルピー以上の企業によるB2B取引に対して、当該システムが施行された。当該制度は、売上高が10億インドルピー以上の企業を対象に、2021年1月1日から適用が拡大され、2021年4月1日からは、全てのB2B供給に拡大されることとなる。
2023年6月12日、NICは売上高が10億ルピーを超える納税者に対し、2023年7月15日から二要素認証による電子請求書へのログインを義務付けた。
GSTNはまた、ユーザーフレンドリーな認証方法を可能にするため、Google Playサービスで「e-Invoice QR Code Verifier」アプリを発表した。
関税
関税は、中央政府により輸出入時に課せられる。品目分類は、International Harmonized System of Nomenclature(HSN)に準拠し、〔1975年関税率法(Customs Tariff Act, 1975)〕に基づき課税。
関税手続きは〔1962年関税法〕で定められている。
関税は輸出者に納税義務があり、次の税金で構成される。
1962年関税法(Customs Act, 1962)
- 基本関税(Basic Custom Duty:BCD)〔1975年関税率法 第2条〕
物品の評価額に対して、関税表に規定された税率に基づき(原則0~10%)課税される。
しかし、基本関税の適用税率は〔1975年関税率法〕に基づき算定され、関税品目分類は、HS分類に準拠。社会福祉課徴金〔2018年インド財務法第110条〕:基本関税(BCD)額の10%(特定物品の場合3%)で、従来の教育目的税の代わりに課せられる。
- 統合物品サービス税(IGST)〔1975年関税率法 第3条7項・8項、2017年IGST法 第5条〕
基本関税と社会福祉課徴金に加えて、IGSTが課税される。現在、IGSTは、輸入品目によって0~28%の税率。
また、〔2017年6月28日付調達Notification No 2/2017-Integrated Tax (Rate)(376KB)〕により、IGSTの免税対象物品を規定。 - GST補償税〔1975年関税率法 第3条9項、2017年物品・サービス(州への税収補償)税法第8条および関連別表〕
GST補償税は、〔2017年物品・サービス (州への税収補償)税法(Goods and Services Tax (Compensation to States) Act 2017と関連別表〕で規定された税率に基づく、タバコ、炭酸水、高級車等の特別な嗜好品に対する特別追加税である。
また、当該特別追加税は特定のサービスに対しても適用される〔2017年6月28日付通達Notificaion No.2/2017-Compensation Cess(Rate)〕。
特別追加税に係る仕入税額控除は、特別追加税の租税債務とのみ相殺できることが明確に規定された。物品・サービス税委員会(Goods and Services Tax Council)
※計算方法などの詳細は「関税制度」を参照。
健康税
特定の医療機器(HSN9018からHSN9022まで)の輸入に対し、健康税が課される。税率は輸入額の5%となる。
農業インフラ・開発目的税(Agriculture Infrastructure and Development Cess)
農業インフラ・開発目的税(Agriculture Infrastructure and Development Cess:AIDC)が、新税として1975年関税率法第一附則に規定された物品に対し、基本関税率を超えない税率で課される。
AIDCは、様々な項目に分類される特定の商品に対して、2.5~100%の税率で通知されている。結果として基本関税率は引き下げられ、税負担は変わらない。AIDCは、基本関税と同様の取引額に基づいて計算される。
自由貿易協定あるいは事前認可制度または輸出指向型企業による関税免除を利用して輸入された物品に対しては、AIDCは免除される。特定の場合を除き、AIDCには社会福祉課徴金が課される。
国家災害偶発税(National Calamity Contingent Duty:NCCD)
国家災害偶発税は、パーン・マサラ、タバコ、石油および歴青油、携帯電話、自動車などに対し課せられる。税率は1~45%と幅がある。〔2001年インド財政法 第134条〕
関税品目27092000に該当する歴青油に対し、1トン当たり50ルピーの国家災害偶発税が課せられる。
NCCDは、評価額(Assessable Value)+物品税・基本関税を課税標準として課税される。
導入時は、2003年度1年間の時限措置と説明されていたが、2004年度以降も継続している。
適用税率は〔2001年インド財政法 別表 (The Seventh Schedule(4KB))〕に記載されているが、〔2017年税制(改正)法(The Taxation Laws (Amendment) Act, 2017(1.04MB)〕で改正された。
物品税
物品税はGSTに包含されたが、前述のとおり、次の物品には物品税が引き続き適用される。
対象品目:タバコ・同代替生産品、鉱物産品(鉱物燃料、鉱物油・同蒸留製品、歴青物質、鉱物蝋など)、アルコール
付加価値税(VAT)
付加価値税は州政府による税金で、州内の物品販売に課税される。つまり、一定の販売取引に伴い、物品が同州内で移動する場合に当該販売取引に適用される。
州を越える物品販売にはVATは課税されず、中央売上税(CST)が課せられる。〔1956年CST法〕
VATとCSTはGSTに包含されているが、次の物品には引き続きVATが課せられる。
対象品目:原油、高速ディーゼル、ガソリン、天然ガス、航空タービン燃料、アルコール飲料