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外食産業の動向

外食チェーンに若者層狙いの傾向 ‐ コンビニエンスストアの半外食産業化にも注目

2011年1月
分野:食品・農林水産物

インドネシアの好調な経済成長を牽引する民間消費は、都市部では20歳前後から40歳前後までの若者層が消費の中心となっている。外食チェーンもこれら若者らの消費に支えられているといってよい。特に、新旧の日本食チェーンは、これら若者らが連れ出す家族をも集客している。また、新たに進出したコンビニエンスストアは、食品に関して店で購入したものを店内で消費するという、インドネシアでは新しい形態を提供し、若者らの人気を集めている。

消費の中心は若者層

2010年通年のインドネシア国内総生産(GDP)統計の発表はまだないが、同年の国民1人当たりの所得は年間3,000ドルを超えることが確実視されている。二輪・四輪車、家電製品をはじめ民間消費意欲のさらなる増進に期待がかかっている。

2010年12月13日に三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店が開催した定期経済講演会にて、「世帯可処分所得が年間5,100ドル以上に属する人が、インドネシアでは1990年の990万人から2008年には約8,000万人へと、18年間で約8倍に増加した」とのことである。「名目GDPの約6割を占める民間消費額は年率10~20%の伸びが続いているということでもあり、中間層の増加に伴う内需拡大が今後も続いていく」という見通しが提示された。

国民の所得増加と民間消費の拡大、そしてこれらの継続の見込みを受けて、首都ジャカルタはもとより地方都市のスラバヤやバンドンなどでも新たなショッピングモールの建設が相次いでいる。既存のショッピングモールも活況を呈しているが、来店客の中心は、高校生あるいは大学生から40代くらいまでの人たちである。

約1,000万人の人口を抱えるジャカルタも、人口250万人のバンドンでも、市街地は人があふれている。その中心は若者層で、高齢化社会が問題となっている日本からインドネシアに来た人たちからは、若い人が多いのに驚く声が聞かれるほどである。こうした若者層が民間消費を牽引していることが、現在のインドネシア消費動向の特徴の一つといえるであろう。

若者層が中心の外食チェーン

好調な消費拡大を見込み、海外からの外食チェーンも相次いでインドネシアに進出している。現在、インドネシアの外食産業の中核を担っているのは、米国発のマグドナルド、ケンタッキーフライドチキン、バーガーキング、スターバックスコーヒー、ピザハット、A&W、ダンキンドーナツなどであるが、これらの共通した特徴は、客層が若い10代~40代くらいまでの層が中心ということである。ショッピングモールはもとより、これら外食チェーンは、最近は都市間をつなぐ高速道路の休憩所にも進出している。

一方、インドネシアの代表的な地方料理、パダン料理を出すシンパン・ラヤ、スデルハナ、サリ・ブンドなどの地元勢もチェーン展開に乗り出しているが、客の年齢層は先述の海外発の外食チェーンよりは上である。このグループも都市間をつなぐ高速道路沿いにある休憩所などへも進出しているが、海外発の外食チェーンとは客層が対照的な状況となっている。家族などの団体客が比較的多く、インドネシア発のファミリーレストランのような存在である。

若者が家族連れ出す、ホカホカ・ベントー

写真1:バンドンのグルメファッションストリートであるスティアブディ通りに面した大型店舗

写真2:バンドン駅構内のサテライトショップ。汽車に乗る前に購入し、車内で食べる人も多い。日本でいう駅弁のような感じもある

写真3:この大型店では遊戯施設を完備。この設備からも顧客ターゲットが見えてくる

こうした中、日本食レストランの外食チェーンも、昨今の日本食ブームに乗って、さまざまなものが市場に進出している。ホカホカ・ベントー、スシグルーブ、ゼンブ、キヤドン、キンノタキ、ハナスシ、ゴカナ、スシテイ、ラーメン38、ポケスシなどがそれである。

この中でも店舗数で突出しているのは、老舗のホカホカ・ベントーである。ホカホカ・ベントーは、1985年4月にEKA GOGAINTIが日本の弁当チェーン店を参考にして、テイクアウト方式の店をジャカルタ市内にオープンしたのが始まりで、その後アメリカ式のファストフード・タイプに切り替えて多店舗展開していった(写真1)。ジャカルタのスカルノハッタ空港、同じくジャカルタのガンビール駅、地方のバンドン駅にオープンして(写真2)、地方からの上京者に対する知名度アップを図り、2010年末時点でインドネシアの中枢であるジャワ島、およびバリ島に合わせて132店舗の体制をとっている。米国発のケンタッキーフライドチキンが首都圏で122店舗、スラバヤ広域都市圏で6店舗を展開していることと比較すると、日本食外食チェーンとしては大成功といえる。ジャワ島、バリ島以外の島にはまだ進出していないが、今後、全国に店舗網を広げていく計画ということである。店舗での売上が大半であるが、現在はバイクによるデリバリーサービスの売上も3割を超えている。

ホカホカ・ベントーの戦略の根幹は、顧客ターゲットの中心を10~20歳までにしていることである。子供や10代の若い層を取り込めば、家族連れの来店を増やすことにつながるとの考え方に基づく(写真3)。結果的に、実際来店する層の年齢はもう少し上になる。

そして、マーケットのマジョリティーの嗜好を徹底的に追求する商品対策を取っており、メニューに独自の工夫がうかがえる。本来、日本食のベースはしょうゆであるが、ホカホカ・ベントーにはしょうゆがついてこない。代わりに、インドネシアの若者が好きなマヨネーズは多用されている。また、チリーソースやトマトケチャップは常備されている。インドネシア人の好みの味を意識し、加えて、弁当様式で箸を使う点から日本食風であることが感じられるようになっている。

また、価格帯もほかのファストフード・チェーン並みの値段に抑えられている。一番値段が高いスペシャル弁当でも2万7,718ルピア(約254円、2011年1月20日時点の市中レート1円=RP 109.00で換算、以下同じ)、キッズ弁当は1万8,812ルピア(約173円)である。高校生くらいでも、あるいは若い夫婦(20歳代、30歳代)の子供連れ世帯もなんとか手が届くことになる。
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吉野家の再挑戦、若者層が連れ出す家族見込む

一方、日本の吉野家が2010年、二度目のインドネシア進出を果たした。吉野家は、1990年代後半に起きたインドネシア経済危機の影響で、インドネシアから一旦撤退した経験がある。再挑戦となる今回は、インドネシアの生活用品メーカー、ウィングス・ グループとタイの食品大手チャロン・ポカパン・グループの合弁会社であるマルチラサ・ヌサンタラとフランチャイズ契約を結び、ジャカルタの中心部に立つ最高級クラスのショッピングモール、グランドインドネシアの3階に大型の店舗を構えた。店の近くにはイベント広場があり、場所的によい。また、牛丼並サイズで2万5,000ルピア(約229円)と値ごろ感もよく、比較的暇な時間帯でも来店客でにぎわっている。

YOSHINOYA(吉野家)は丼ものが中心のメニューで、見せ方は日本式である(写真4)。味は、本来の日本の味を尊重しつつも、やはりインドネシア人の好みに合わせてやや甘めである。

第一号店の顧客層は、ホカホカ・ベントー同様に若い(写真5)。また、週末など家族連れが多く、子供向けグッズを用意しているところもホカホカ・ベントーに似通っている(写真6,7)。平均的な価格帯はホカホカ・ベントーよりもやや高いが、同様の客層から今後、YOSHINOYAとホカホカ・ベントーは徐々に競合していくのではないかと思われる。吉野家インターナショナルによると、庶民層向けのショッピングセンターのフードコートにも出店する計画で、熾烈な競争になりそうだ。

店舗展開計画としては、進出から3年間でジャカルタに計10店舗をオープンし、その後7〜8年で地方都市も含め国内計100店舗まで増やす計画ということである。

写真4:ウィンドウポップはビジュアルで分かりやすい

写真5:客層が若く、女性同士の来店も多い

写真6:週末は小学校低学年や幼児連れの家族が多い

写真7:子供向けグッズも充実

外食産業の新たな形、セブンイレブン

写真8:ジャカルタの中心にある一大ショッピングモール、グランドインドネシアに近いセブンイレブンのショップ内。購入したばかりの弁当やスナック菓子、飲料をカウンターやテーブルで口にする若者

写真9:アウトドアで食事をする若者たち

写真10:日本風の弁当や丼を1万~2万ルピア(約92~183円)で販売している

インドネシアのコンビニエンスストア(以下、コンビニ店)は、スナック菓子や清涼飲料とともに即席めんなどが、売場の大部分を占めているが、これらは家や車の中で飲食することが想定されている。これに対し、2009年11月以降ジャカルタ市内に相次いでオープンしたセブンイレブンが、コンビニ店としては新しい動きを見せている。インドネシアでフジイメージ・プラザ(DPE=写真の現像・焼き付け・引き伸ばし事業)等を運営するモデルン・インターナショナル・グループ傘下のモデルン・プトラ・インドネシアとマスターフランチャイズ契約を結んでインドネシア進出を果たした。従来のコンビニ店の販売形式に加え、店内にカウンターを設置したり、店舗の外にテーブルを置いてカフェのようなスペースを併設したりしている。来店者は、店で購入した弁当やサンドイッチ、飲料やお茶類を、自宅や会社に持って帰らずに、店内のカウンターや外のカフェスペースで飲食することができるようになっている(写真8、9)。内食(ないしょく/うちしょく、自宅で素材から調理したものを食べること)、中食(なかしょく、惣菜や弁当などを購入して帰り自宅で食べること)、外食(がいしょく)という三つの概念に照らすと、中食と外食の中間をいく販売業態といえよう。

セブンイレブンは2010年末までにジャカルタ内に19店舗オープンしたが、どこも店内カウンターや併設カフェスペースは利用者でいっぱいである。その客層は若く、下は中高校生まで見られる。また、複数客が多い。仲間で立ち寄り、低価格で手軽な食品、飲料を購入し、それを仲間と歓談しながら食するというスタイルである。この新しい試みは、インドネシアの若者の心をつかんだようだ。それまでは街角にある手ごろな食堂や大きめの屋台などで集まっていた若者らが、清潔でグレード感も感じられるセブンイレブンに移動した。

日本風弁当の価格はホカホカ・ベントーと同じくらいの価格帯である(写真10)。サンドイッチのようなものは1万ルピア(約92円)以下のものもある。少し背伸びをすれば、若者でも購買可能な価格帯である。

モデルン・インターナショナルの発表によると「2010年1~9月の売上は379億5,400万ルピア(約3億4,820万1,835円)、初年度にしてモデルン・インターナショナル売上全体の7.3%に達し、通年では同10%に達するとみている。ただし、品揃えが「広く浅く」というより、まだ「狭く浅く」なっており、品目別の種類が少なく、物足りない印象が残る。その弱点をこの新しい店舗展開の方法で補っている。セブンイレブンに追随して、今後、店内にカウンターなどを設置するコンビニ店が増えることが予想される。

(ジャカルタ・センター)

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