1. サイトトップ
  2. 国・地域別に見る
  3. アジア
  4. インドネシア
  5. マーケティング情報
  6. 輸入うなぎ・ジャポニカ米の消費が堅調 ‐ インドネシア産で低価格化を目指す
日本産および日系企業現地生産品の小売での販売動向

輸入うなぎ・ジャポニカ米の消費が堅調 ‐ インドネシア産で低価格化を目指す

2010年12月
分野:食品・農林水産物

インドネシアでは、中所得者層以上の消費者の間で健康志向と食の安全への関心が高まりつつあり、好景気を背景に、割高でも信頼のおける食品を買いたいという消費者層が増えてきている。こうした流れに沿って、うなぎやジャポニカ米の人気が広がりつつある。うなぎもジャポニカ米も日本産のものではなく、日本以外の外国から輸入され、市場を占有しているが、高価格であることから、インドネシア国内での生産の模索が続いている。

うなぎ人気が高まるローカル市場

近年、首都ジャカルタを中心に、一部の消費者の間でうなぎの人気が高まっている。日本食レストランでは、うな重やうなぎの蒲焼は他のメニューに比べて2~3倍の値段となっているが、ある高級和食レストランのシェフによると、インドネシア人の富裕層はこれらのうなぎ料理を躊躇せずに注文するという。

また、別の日本食レストランの営業担当者は、「最初からうなぎ目的で来店する客が増えた」と述べ、インドネシア人消費者へのうなぎ料理の浸透ぶりをうかがわせる。うなぎの蒲焼の甘いたれはインドネシア人の味覚に合うようである。この営業担当者は「うなぎの蒲焼をおやつ感覚で食べているようにみえる。親と一緒に来店したインドネシア人の子供が自らうなぎを注文していたのには驚いた」とも語った。

インドネシアで売られているうなぎの多くは中国を原産地とするものである。主要な輸入業者は、「リブラ」や「ますや」、「国屋」などで、調理済みの真空パックの形で輸入されている。うなぎ市場に詳しいPT.SHINKO ANEKA SAKTI SEJATI の安藤信二氏によると、インドネシアの月間輸入量は約10トンで、うなぎ1尾を200グラムとすると5万尾に達する計算になる。

日本のうなぎ料理を地元の一部消費者に広めているのは、富裕層をターゲットにしたすし亭グループ(インドネシア国内で16店舗を運営)や滝川(同25店舗)などの和食チェーンレストランのようだ。これらのチェーン店をすべて合わせると、国内で100店舗近くになる。すし亭グループでは、月間350キロ(0.35トン)も消費する店も出てきているようで、うなぎずしのほか、蒲焼、うな重というメニューがよく売れているそうだ。うなぎ消費の多くはレストランだが、日系の日本食専門スーパーだけでなく高級食料品スーパーなどでもうなぎを扱うところが出てきている。

首都の高級ショッピングセンター、グランド・インドネシアの地下にある食料品売場「ランチマーケット」に日本の業者経由で仕入れた中国製うなぎのパックが販売されていた(写真1)。価格は200グラムのもので6万9,500ルピア(約641円、2010年12月20日時点、1円=RP 108.5、以下同じ)であった。

また、隣りに建つ高級ショッピングセンター、プラザ・インドネシアの地下食料品売場「フードホール」にうなぎはあるかと店員に尋ねたところ、「売り切れた。次の入荷はいつになるか分からない」との回答だった。こちらの販売価格は200グラムで7万2,000ルピア(約664円)だ。店員の話によると、同店は日本人客が相対的に少なく、うなぎを購入していくのはインドネシア人が多いとのことであった。

一方、日本人が200~300人ほどしか居住していないバンドン市では、日本食スーパー「パパイヤ」の顧客は90%がインドネシア人あるいは日本人以外の外国人であるそうだが、1尾200グラムのうなぎが継続的に売れているとのことであった。同店では、惣菜コーナーにもうなぎの蒲焼が置いてあり、こちらは一切れ3万5,000ルピア(約323円)であった。

ちなみに、輸入された調理済みうなぎの真空パックには「中国製」と表示されているが、日本のメーカーが生産管理をしているため、中国製を避けたいと思う消費者も安心して受け入れているようだ。

インドネシア産うなぎの課題は味と香り

うなぎ人気が続くと、「一度はうなぎを食べてみたい」と興味を持つ、流行に敏感な消費者が出てくる。実際、カジュアルな日本食レストランも、うなぎはあるかと聞く来店者が増えてきたそうだ。ただ、現在の価格帯では中間層でさえ持続的なうなぎ消費につなげるのは容易ではない。そこで出てきたのが、インドネシア産うなぎの養殖だ。

インドネシアでは以前から、うなぎ養殖の研究が行われてきた。ある日本食専門スーパーのインドネシア人オーナーは、日本の国立大学農学部での留学経験を生かしてその可能性を模索した一人でもあるが、日本のうなぎとインドネシアのうなぎは種類が異なり、脂の乗り方や香りが日本人好みにならず、商品化するのは難しいと感じたそうである。

2010年7月にNHKのニュースで、インドネシア産うなぎの日本への輸出が取り上げられたことがある。日本への輸出ということは、日本の消費者にテスト段階で受け入れられたということであろうし、日本市場に出回っている中国産や台湾産のうなぎと味や香りの面でも遜色ない品質にまで達するようになったのだろうと推察される。実際、インドネシアで水産物の養殖に関わる日本人の間でも、インドネシア産うなぎの評価は上昇しているようである。

えびの養殖を研究しているある日本人男性は、「スラバヤ市でインドネシア産のうなぎを食べたことがあるが、味の面でかなり質が上がってきており、商品化される日は近いと感じる」と語っている。

インドネシアうなぎ専門家の安藤氏も「インドネシア産のうなぎでも味付けなどの研究を重ねれば、日本産にこだわらないインドネシア人消費者がレストランで口にし、スーパーで気軽に買うような時代がまもなく到来するのではなかろうか」と述べている。

インドネシアで食されているうなぎが日本産から中国産へ、そして次はインドネシア産へと移行していけるか、そしてこれを誰が手がけるのか、今後注目したいところである。

ジャポニカ米が徐々に浸透

日本食ブーム、すしブームの高まりと共に、日本米を求めるインドネシア人消費者が増えてきている。

現在、日系商社経由でインドネシア市場に輸入される米のほとんどは、米国産のジャポニカ米である。日本人を相手にした和食レストランやインドネシア在住の日本人がこれらの米の主要購入者であるが、ある小売店の担当者によると、最近では、裕福なインドネシア人の大所帯の家庭でも米国産ジャポニカ米を買っていく動きが見られるという。

大型スーパーなどに行くと、インドネシアの一般の米にもかかわらず日本語を併記したパッケージのものが売られている。将来のジャポニカ米のローカル市場への浸透を当て込んだ戦略と思われる。

グランド・インドネシア内ランチマーケット輸入米売り場

一方、日本産の米も少量ながら輸入販売されている。たとえば、秋田県JAが出している「秋田こまち」は、最近になって日本食スーパーを中心に取り扱われるようになった。

2010年8月14日付け「日本農業新聞』によると、この「秋田こまち」の 2008年産の輸出は49トンだったが、2009年産は6倍の274トンに増加、2010年産は780トン分の売り先がすでに決定しており、さらに5年以内に2,500トンの輸出を目指しているという。インドネシアへ出荷される「秋田こまち」は今後も増えていくことが予想される。

ジャポニカ米の栽培始まる

現在、米国産のジャポニカ米および日本産米の一般スーパーでの売り場シェアはまだ限られているが、中間層のインドネシア人消費者の間ではジャポニカ米がインドネシア産米に比べておいしいと評価されていると聞く。インドネシアの経済発展とともに米国産ジャポニカ米も日本産の米も、その需要が今後さらに伸びていく余地は十分あると考えられる。ただ、そうなるためには供給側でも、これらの米をより安価にインドネシア市場に提供できるようにする努力が必要である。米国産のジャポニカ米や日本産米の価格の高さに二の足を踏むインドネシア人消費者も少なくない。

表1:輸入米と国産米の価格比較(価格は100グラム当たり、2010年12月25日時点)
インドネシア国産米
ブラス クラワン RP 910(約8.4円)
ブラス ロジョレレ RP 1,140(約10.5円)
ブラス ワンギ RP 1,470(約13.5円)
ブラス ロジョレレオーガニック RP 1,500(約17.1円)
アヤムジャゴ RP 1,850(約17.1円)
輸入米
コクホウ(米国産) RP 3,030(約27.9円)
ニシキ(米国産) RP 4,600(約42.4円)
ボタン(米国産) RP 3,880(約35.8円)
玉錦(日本産) RP 6,600(約6.08円)
秋田こまち(日本産) RP 10,688(約98.5円)

出所:ジェトロ・ジャカルタ調べ

ここ数年の間に、日本の品種の米の種子をインドネシアのジャワ島に持ち込んで栽培する業者が出現した。ある日本食レストラン関係者の話によると、米の炊き方を工夫すれば米国産カリフォルニア米と味などに遜色がないため、首都ジャカルタにはこの米を使っているすし店があるそうである。

ただ、価格面ではまだ課題が残るようだ。ジャワ産ジャポニカ米の代表格に「輝き」という商標で販売されているものがあるが、日本食スーパーにおける販売価格は100グラム当たり3,860ルピア(約35.6円)と、米国産ジャポニカ米と同水準にある。

日本製スナック菓子は高級菓子

2010年に入り、食品・飲料輸入の急増がしばしばメディアに取り上げられた。

2010年12月8日付け地元経済紙「ビジネス・インドネシア」が調べたところ、2010年11月の輸入額は、2,040万ドルと、前月比で12.5%増加した。原産国はマレーシアが金額でトップ、中国とタイが後を追う形となっている。

一方、2010年8月30日付け「ビジネス・ニュース」誌によると、伸び率が高いのはキャンディーやビスケットなどの菓子類であるということである。スナック菓子については安価な国産品も大量生産されており、輸入品との競争が激しくなっている。

こうした中、高価な日本製のスナック菓子は高級品と位置付けられている。ジャカルタの高級ショッピングセンター、スナヤン・シティ地下の食品売り場「フードコート」では、入口近くの目立つ場所に、クリスマス・プロモーションとして日本から輸入されたスナック菓子をデコレーションしていた。並べられていたのは日本食品スーパーではおなじみのブランドや商品ばかりであるが、インドネシアではクリスマスという特別な日に購入するもの、と考えられている。

他国製品から国産へ

日本製の菓子が「特別な」菓子から脱却し、日常的に食される「普通の」菓子になるには、やはり低価格化が課題となるだろう。明治製菓のようにインドネシア法人を通じてライセンス生産を行っているメーカーがある一方、江崎グリコのようにマレーシアやタイのグループ会社が製造した商品を輸入しているメーカーも少なくない。

たとえば、最近、日本食スーパーでよく目にするようになったおかきは、他国で日系メーカーが製造しているものである。日本製とその他アジアからの小売価格比を見ると、おおよそ以下のようになる。

表2:日本製おかきとタイ・マレーシア製おかきの小売価格比較
サイズ 日本製おかき タイ、マレーシア製おかき
RP 45,000(約414円) RP 28,000(約257円)
RP 38,000(約350円) RP 19,000(約175円)
RP 25,000(約230円) RP 12,000(約110円)

出所:ジェトロ・ジャカルタ調べ(2010年11月時点)

日本製は、他のアジア諸国で作られたおかきに比べて約2倍の小売価格になっている。これら他のアジア諸国から入ってきたおかきはパッケージも日本製に近く、味も日本製と大差ない。こうした場合、低価格の商品の方に手を伸ばす消費者が多くなることは否めない。

これは産地移転が起こっているととらえることができる。産地移転は他の消費物資の分野でも過去に起こったが、重要なのはこの産地移転に日本人または日系企業が関与できるかどうかである。

以前、日本の技術ノウハウを取り入れてインドネシアでおかきを作ったメーカーがあったが、売り先も売り方も分からず、また味をインドネシア人好みに合わせ過ぎて結局撤退したと、同メーカーで営業を担当していたある日本人は述べている。

この失敗を教訓に、マーケティングの方針さえ間違えなければ、インドネシア国内で作られたおかきが市場に受け入れられる可能性は十分にあるといえよう。

(ジャカルタ・センター)

ご相談・お問い合わせ

現地日系企業の皆様

最寄りのジェトロ事務所にご連絡ください。