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日本食品の輸入動向

日本製めん類・調味料の販売が回復 ‐ 競合品の動向がカギに

2010年12月
分野:食品・農林水産物

2010年6~8月のインドネシアにおける日本産品の輸入は、同年上半期に比べて停滞感が否めない。ただ国家食品医薬品監督庁(BPOM)の取り締まりで店頭から消えた日本製のめん類や調味料が、インドネシア国内の流通に必要な手続きを終えて市場に戻ってきたことは注目に値する。

中国や韓国で製造された商品との競争が強いられるめん類に対し、日本固有の調味料類は他国産では代用が難しい点が強みとなりそうだ。

また、イスラムの断食月と断食明け大祭のあった8、9月は、菓子類やジュース類の輸入も一時的に拡大した。

日本製めん類が店頭に復帰

2008年後半から2009年にかけてBPOMが、流通許可を未取得のまま販売されていた輸入食品等の厳しく取り締まったが、そのため一時店頭から消えた日本製めん類が、正式の手続きを経て日本食品スーパーを中心に再び店頭に並びはじめた。現在は、2、3食分入りの日本製乾式うどんに始まり、そば、そうめん、さらにはきしめんまで豊富な品ぞろえとなっている。

インドネシア中央統計局(BPS)から入手した日本産品の輸入統計によると、未調理めん類の日本からの輸入は2010年に入り1月頃、3~5月頃、さらに8月頃は数量ベースで約8,500キロ、金額では約9,000ドル前後と、各時期とも比較的コンスタントな仕入れとなっている。

インスタントめんの輸入は、7月から減少したものの、6月の輸入量は681キロ、輸入額は2,232ドル、8月の輸入量は530キロ、輸入額は1,533ドルに達した。

うどんとそばは、インドネシア人の消費者の一部でも日本食品スーパーで日本産を買って行く人が増えている。特にそばは、日本の航空会社だけでなくシンガポール航空やインドネシア国営のガルーダ航空などでも以前から機内食として乗客に提供されており、冷やしそばの味を覚えた人もいる、とジャカルタの日本食レストランの営業担当者が語っている。

韓国・中国製めん類の進出

BPOMの取り締まり後、安価な韓国や中国製のめん類が売り場に登場した。日本のうどんやそうめんに似ためん類もあり、輸入が難しかった日本製の代用品として、日本食スーパーの店頭にも並んでいた。それらのなかには日本語で「うどん」と書かれているものもあり、当初は日本人でも日本製と勘違いするような商品もあったが、その後韓国製、あるいは中国製を承知で購入する日本人も出てくるようになった。ある日本人女性が「おいしくて安ければ産地は気にしない」と語っていたのが印象的だ。

また、韓国・中国製のめん類は日本製と比べて安価なものが多い。最近ショッピングセンター内の店舗から路面の独立店舗に移転したバンドン市の日本食スーパーでは、日本製そうめんと同じ陳列棚に中国製そうめんを並べていた。

価格は、日本製そうめんが2万3,000~3万6,000ルピア(約212~332円、2010年12月20日時点、1円=108.5ルピア、以下同じ)であるのに対し、中国製そうめんの価格は1万1,500~1万4,800ルピア(約106~136円)、とほぼ半値となっている。

現在、日本製めん類の仕入れは回復したものの、「留守中」に出現した韓国や中国製の類似品と厳しい価格競争を強いられることになった。

日本産調味料の輸入堅調

一方、ソースや塩、その他調味料の輸入も比較的堅調な動きをしている。

しょうゆ、塩、その他の調味料は、2010年6月の輸入量は2万5,711キロ、7月は2万9,994キロ、8月は1,194キロ、輸入額はそれぞれ4万8,697ドル、3万4,738ドル、5,628ドルであった。

その他のソースも6月の輸入量は3万3,836キロ、7月は3万372キロ、8月は減少したものの1万9,056キロ、輸入額はそれぞれ12万2,705ドル、13万5,204ドル、9万7,733ドルとなっている。

日本産調味料の輸入の動きが堅調な理由の一つは、他国製品では代用しにくいことである。たとえば、みそは今でもアジア諸国の模造品・類似品が少ない。そして日本食品スーパーにおける日本産みその品ぞろえもここ数年、豊富になってきている。

表1:ジャカルタ市内の日本食品スーパーにおけるみそ価格例
日本の即席みそ汁 わかめ入り 12食分パック RP23,500(約217円)
あさり入り 8食分パック RP23,500(約217円)
あぶら揚げ入り 6食分パック RP23,500(約217円)
料亭赤だし 1kg入り RP59,500(約548円)
おかあさん 1kg入り RP49,500(約456円)
信州一みそ み子ちゃん印 500g入り RP36,200(約334円)

出所:ジェトロ・ジャカルタ調べ(価格は2010年12月25日時点)

納豆も種類豊富に

みそと同じく、日本食スーパーでは最近、納豆の種類も増えているようだ。ある日本食品スーパーでは、納豆の売り上げがここ半年間で5割増になったという。購入者のほとんどは日本人だが、韓国人やインドネシア人もみられるようになったそうだ。

納豆の輸入量は統計でつかめないが、みそと同じく他国製品では代替しにくい食品であり、日本食品スーパーの売り上げ増がそのまま輸入量増に連動しているものと思われる。

水産物の輸入動向

水産物の輸入は、2010年6~8月は同年上半期に比べ微減傾向であった。えびやいかの冷凍ものの輸入が8月に増えたが、シーズン的な要因もあると考えられる。

輸入統計では水産物の細かい魚種まで特定できないが、日本食品スーパーでの品ぞろえ例は次の通り。

表2:ジャカルタ市内の日本食品スーパーにおける魚種別価格例
子持ちししゃも(6尾) RP 56,300(約519円)
さばの開き RP 76,000(約700円)
しめさば RP 55,500(約512円)
こんぶしめさば RP 59,400(約547円)
しまほっけ開き RP124,200(約1,145円)
あじ(みりん干し) RP 55,300(約510円)
はたはた(6尾) RP 86,400(約796円)
うなぎ RP105,000(約968円)
しらす干し RP65,380(約603円)
ぎんざけ RP49,000(約452円)
わかめ RP35,400(約326円)
いか明太 RP67,900(約626円)
いか塩辛 RP67,900(約626円)
焼きちくわ RP34,800(約321円)
はんぺん RP39,800(約367円)
かまぼこ RP44,500(約410円)
さつま揚げ RP51,400(約474円)
なると巻き RP39,800(約367円)
のり佃煮 RP39,500(約364円)
ごまこんぶ RP49,500(約456円)

出所:ジェトロ・ジャカルタ調べ(価格は2010年12月10日時点)

これらの製品の主な購入者は、日本人の主婦や単身赴任者が中心だが、一度にたくさんは買えない小規模の和食レストランの業者も含まれる。また、近年は韓国人の購入も目立ってきているようだ。加えて、日本に在住経験のあるインドネシア人や、日本食好きの中国系の消費者も見かけるようになったという。

日本食品スーパーの販売員によると、「中国の積極的な対インドネシア投資に伴い、ジャカルタには上海や北京など中国本土の都市部からきた中国人が増えている。こうした中国人はすでに日本食品に慣れ親しんでいるためか、佃煮のようなものまで買って行く」という。

日本からの水産物輸入のうち、半製品や加工品として輸入されている食品の多くは、みそや納豆のように、代替する他国製品がまだ多くない。

菓子やジュースの輸入、イスラム断食月が押し上げ

日本産食品の動きとして注目されるのは菓子類である。菓子類は6~8月に輸入が大幅に増加した。ケーキは6月に輸入量2万3,047キロ、輸入額3万8,486ドルを記録した。7月の輸入はなかったが、8月に再び2万3,052キロ、4万2,566ドルに達した。チョコレート菓子(中に別の素材が入っていないもの)は7月に741キロ、1万1,109ドルであった。ビスケットは2月を除き、2010年1月からコンスタントな輸入の動きを見せており、7月はココアの含有の有無にかかわらず微増した。

一方、ジュースの輸入は7月に大幅な増加をみた。グレープフルーツジュースは輸入量が9,600キロ、輸入額は9万8,565ドル、トマトジュースは2万2,039キロ、5万197ドル、りんごジュースは4万2,413キロ、9万6,600ドル、その他ジュースは3万6,354キロ、8万2,800ドルに達した。

この大幅増の理由は、2010年は8月の初めから9月の初めまでイスラム断食月であったため、断食明け大祭シーズンの需要があったと考えられる。断食明けの1日の空腹を一時和らげるのに菓子類やジュースは適当であるし、また大祭シーズンの親族や知人が集まる機会にも菓子やジュースが供されることが多い。

また、菓子などにも使われるミックス粉や練り粉の輸入が8月に1万7,093キロ、4万976ドルに、インスタントコーヒーの輸入も7月に8,000キロ、1万8,000ドルに増加したことなども、インドネシアにおいて1年のうちで最も消費が顕著になるイスラム断食月や断食明け大祭と関係があるものと考えられる。

(ジャカルタ・センター)