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日本産および日系企業現地生産品の小売販売動向

多様化するインドネシアの清涼飲料市場‐商品の差別化が人気のカギ

2010年10月
分野:食品・農林水産物

インドネシアの清涼飲料水市場は地元の茶に始まりミネラルウォーターで拡大したが、人々の健康志向の高まりとともに、健康飲料の登場と、最近の緑茶ブームでさらに大きくなりつつある。大都市のハイパーマーケットから地方のミニマーケットまで、さまざまな種類やブランドの清涼飲料がひしめき合っている現実は、インドネシアの清涼飲料市場で熾烈な競争が展開されていることの表れである。生活水準の向上と消費者の嗜好の多様化が進む中で、各社が商品の差別化を図っている。

インドネシアの清涼飲料市場の歴史

インドネシアでミネラルウォーターの市場が急速に拡大したのは1980年代後半である。それまでは都市部でさえ水道の水を煮沸し、冷ましたものを飲んでいた。以前は高級ホテルなどで湯を沸騰させずに部屋に置いているケースがあり、客が腹痛を起こすことも少なくなかった。

近年の国内ミネラルウォーター販売量は、インドネシアの経済成長率をやや上回るペースで安定的に増加している。ミネラルウォーター製造業者協会によると、2010年の国内販売量は、前年比7%増の145億リットルに達する見込みだ。2011年は6.9%増の155億リットルを超えると予想されている。

現在、ミネラルウォーター市場の半分近くのシェアを占めているのは、フランスのダノン傘下にあるアクア・ゴールデン・ミシシッピ社が生産する「アクア」である。600ミリリットル入りペットボトル入りで1,400ルピア(約13円)で販売されている。地元の会社などを訪問すると、コーヒーや紅茶でなく、小型のペットボトルが接待用として出されることがよくある。一般家庭の結婚式などでも小さなプラスチック入りのアクアが主流の飲み物。蛇口をひねれば水が飲める日本とは大きく事情が異なる。

1970年代初めには、インドネシアにはテーボトル・ソスロというナショナル・ブランドの茶の清涼飲料がすでにあったが、この商品はその後の成長が著しかった。日本人にはやや甘過ぎるが、インドネシア人にとってはむしろ甘味を抑えたのどを潤す飲み物として、消費者から圧倒的な支持を得たのである。その後も輸入品に負けない勢力を保っており、創立者ソスロ氏はインドネシアのプリブミ系(インドネシアの経済界で圧倒的力をもつ華人系ではなく、本来のインドネシア人)大富豪となっている。

一方、インドネシアでも歴史がある米国の炭酸飲料コカ・コーラは、他国ほどの勢いはない。米国の清涼飲料が市場でのシェアを高めた日本の歴史とはまったく違った展開になっている。

コンビニエンスストアなどで大量販売を狙ったコカ・コーラは、小ぶりの缶250ミリリットルで5,200ルピア(約50円)する。一方、前述のテーボトル・ソスロは紙パック入りの250ミリリットルが2,500ルピア(約24円)だ。低所得層が多いインドネシアでこの価格差は大きく、それがコカ・コーラの苦戦につながっている。

それでも、インドネシアでコカ・コーラを生産するコカ・コーラ・ボトリング・インドネシア社は、コカ・コーラ以外にもファンタやスプライトなど他の清涼飲料水の生産・販売も行っており、現在は国内の炭酸飲料市場における同社のシェアは80%程度を維持しているという。

健康を意識したドリンク剤の登場

インドネシア市場で健闘している飲料にタイ産のクラティンデンというドリンク剤がある。150ミリリットルでガラス容器に入っており、「これを飲むと元気が出る」というのがセールスポイント。「眠気が覚める」ということで深夜残業のある運転手らが愛飲している。このドリンク剤は、日本のヘモビタンやリポビタンをしのぐ人気ブランドだ。低価格だから日本の製品に勝ったと思われがちだが、実は日本の製品に比べむしろ価格は高い。これらのドリンク剤が台頭してきたのは1990年前後であり、いずれも男性をターゲットにしている。

一方、日本の製品で人気がある商品にはビタミンレモン(日本名C1000ビタミンレモン)とその姉妹品のビタミンオレンジ、という健康飲料がある。価格は140ミリリットルのガラス容器に入ったもので4,800ルピア(約45円)と、クラティンデン、リポビタン、ヘモビタンよりも割高だ。こちらはビタミン補給をうたい文句にした美容健康飲料で、美容、健康、ファッションに金をかける女性をターゲットにしているため、価格がより高くなっているのは納得できる。また、薬局や病院でも販売されているのが特色だ。日本の東レが、眼鏡拭きトレーシーを、眼鏡が曇りやすい銭湯や眼鏡を外すことが多い理容店に置いていた時期があったが、その市場浸透作戦とよく似ている。

いずれにしても、健康、活力、美容を意識したこれらのドリンク剤が大量にインドネシア市場に出てきたのは、1990年に入ってからのことである。

表1:ドリンク剤のコンビニ店頭価格
商品名 容量 / 価格
クラティンデン 150ml / 3,600ルピア
リポビタン 150ml / 3,400ルピア
ヘモビタン 150ml / 3,100ルピア
ビタミンレモン 140ml / 4,800ルピア
ビタミンオレンジ 140ml / 4,800ルピア

(ジャカルタ・センター調べ 調査日:2010年10月15日)

日本のヤクルトやポカリスエットはどうか。

いち早くインドネシアに進出したヤクルトは、日本の「ヤクルトレディ」の販売システムも取り入れ、堅調な推移をしているようだ。日本でもおなじみのサイズで、5本1組のものが6,100ルピア(一本当たり1,220ルピア、約12円)だ。ヤクルトから支給される小型冷蔵庫に入れてコンビニなどでも売られている。これは、健康飲料としての差別化戦略が功を奏しているといえよう。キャッチフレーズは「健康家庭の飲み物」で、5人家族を対象にしたものと考えられる。

「味の素がインドネシア市場を席巻したのは、低所得者層でも買えるように小袋入り商品を販売し、味を覚えさせてしまったからという話をよく聞くが、同じような現象がヤクルトの場合でも起きているようだ」と、あるマーケティング関係者は分析している。

また、ビタチャームは、パッケージその他を含め、ヤクルトとよく似た類似品として出回っている。 容器には“FOR HEALTHY FAMILY”と書かれていて、ヤクルトの「健康家庭の飲み物」と同じコンセプトで売られている。価格は6,500ルピア(約60円)と、類似品にもかかわらず、ヤクルトより高くなっている。ほかのアジア市場同様に、インドネシアでも類似品対策は欠かせない。

一方のポカリスエットも絶好調だ。販売量は2003年に5,500万本に達した後、2004年に1億本、2005年に1億5,000万本、2006年に2億本を突破、2007年に3億本を突破し、2009年は4億5,000万本に達した。 体内イオンというキャッチフレーズを前面に出し、糖分の多い他の清涼飲料より健康にいい、と思われているのがシェア拡大の理由と考えられる。「他の清涼飲料は甘味が強く、いかにも糖分たっぷりの味であるため、この点でポカリスエットは健康飲料として他の競合品とは差別化されている」と前述のマーケティング関係者は語っている。

価格も330ミリリットル缶が4,800ルピア(約46円)で、同じサイズのコカ・コ−ラ6,200ルピア(同56円)よりも競争力がある。インドネシアでポカリスエットを生産するアメルタインダ大塚社は、2010年には東ジャワ州パスルアンに年産能力が最大1億5千万本に上る新工場を開設した。ポカリスエットは「身体にいい」ということをより積極的に消費者にアピールしていけば、市場シェアのさらなる拡大は時間の問題と考えられる。

表2:主要清涼飲料のコンビニ店頭価格
商品名 容量 / 価格
コカ・コーラ 330ml / 6,200ルピア
ファンタ 330ml / 6,400ルピア
ポカリスエット 330ml / 4,800ルピア

(ジャカルタ・センター調べ 調査日:2010年10月15日)

緑茶・ノンアルコールは注目株

インドネシアの清涼飲料市場における最近の特徴的な動きとして、まず近年の健康志向の高まりに伴い緑茶の人気が高まったことが挙げられる。スーパーに陳列されている商品もティーバッグ型、ペットボトル型と多彩で、売り場面積も増えつつある。

コカ・コーラ・ボトリング・インドネシア社が発売したFRESTEA GREEN(緑茶)は紙パックの250ミリリットルの商品で3,300ルピア(約32円)だ。前述のテーボトル・ソスロの茶飲料より32%も割高である。パッケージやセールスポイントなどを見ても、消費者が32%高い値段を払って先駆けのテーボトル・ソスロからコカ・コーラの緑茶に乗り換える理由が見当たらないように感じた。実際、茶飲料市場におけるコカ・コーラ社の市場シェアは25%程度で、成長率も前年比で3%程度にとどまっており、炭酸飲料ほどの勢いはない。

さらに、FRESTEA GREENは緑茶でありながらかなり甘味があり、同じ甘さのテーボトル・ソスロの二番煎じといった印象がある。ある日本人女性は、「緑茶」というがジャスミンティーのようだといっている。単に色が茶系から緑色に変わっただけの甘い緑茶では、商品の差別化を図るには十分でないかもしれない。

一方、日本の緑茶の苦味、渋味は一般的に外国人には受け入れられにくいかもしれない。ただ中間層以上の外国人は、日本食は健康に良いと信じており、それに伴い日本の緑茶も健康に良いというイメージも持っているため、次第に緑茶の苦味、渋味も日本食通の消費者に好まれるようになってきた。

最近では、日本食専門のスーパーだけでなく、現地系スーパーの一部でも日本から輸入された緑茶を購入できる。また、日本食レストランのデザートなどに使われる抹茶アイスクリームなどを通じて緑茶の苦味に慣れてきたことも、緑茶ファンが増えてきた遠因と考えられる。

このような市場動向、消費者の心理分析から、健康志向の高まりとともに日本の緑茶系飲料がインドネシアの清涼飲料市場に大きく食い込むことも期待できる。

また、もう一つ最近の特徴として、ノンアルコールの缶ビールの登場を挙げることができる。本来、イスラム国家であるインドネシア人はアルコール類をたしなまない。ところが、世界の人々との交流が深まるにつれ、インドネシアでもビール程度は飲むという消費者もひそかに増えている。

しかし、ビールを飲んでみたいがまだ抵抗があるという消費者もいる。こうした人のために、ノンアルコール・ビールがインドネシアの地ビールブランド、ビンタンから発売され、コンビニなどで目立ち始めている。まだこのシェアはさほど大きくないが、イスラム国家という事情に鑑み、今後の伸びに注目したい。

今後に期待の清涼飲料

インドマレット、アルファマート、サークルケイなどのコンビニ店が、地方都市の中心を外れた賑わいのある町にまで伸びている。これらの店に入って気づくことは、清涼飲料の売り場が全体の売り場面積の20~30%を占めていることである。清潔感があり、24時間照明が明るいコンビニで何か買ってみたいと思う一般庶民にとって、価格も安く、手軽に買えるアイテムは清涼飲料ということもあるかもしれない。

ブランドや種類の多さ、量の豊富さで競争が激化しているインドネシアの清涼飲料業界だが、2億を超える人口を抱えるインドネシアでは、ジャワ島以外の地方の生活水準も飛躍的に向上していくのに伴い、この清涼飲料市場がさらに急速に成長していくであろうことは容易に想像できる。今後はエコロジー、自然、環境、健康をキーワードとして、類似の商品とどう差別化を図っていくかが競争激化の中での生き残りのカギであり、また、新規参入組のチャンスともいえる。

どのタイプの清涼飲料が、あるいはどのブランドが、生活水準の向上と人々の嗜好の変化とともに消費者の心をとらえていくかが注目される。

(ジャカルタ・センター)

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