日本からの輸出に関する制度

青果物の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する青果物のHSコード

本ページで定義する青果物のHSコードは、農業大臣決定No.3633/KPTS/KR.040/K/06/2022で、日本からインドネシアへ輸出できるとされている次の青果物に限ります。

0703.10.11、0703.10.19:たまねぎ
0704.90:チンゲンサイ、はくさい
0705.11.00、0705.19.00:レタス
0706.10.20、0706.90.00:ラディッシュ、だいこん
0709.51.00、0709.52.00、0709.53.00、0709.54.00、0709.55.00、0709.56.00:きのこ
0709.60.10:とうがらし
0802.11.00、0802.12.10、0802.12.90:アーモンド
0806.10.00:ぶどう
0808.10.00:りんご
0808.30.00:なし
0809.30.00:もも(ネクタリンを含む)

日本から輸出できる青果物として、ぶどう、りんご、たまねぎ、とうがらし、きのこ、アーモンド、チンゲンサイ、はくさい、ラディッシュ、だいこん、ネクタリン、もも、なし、レタスが認められています。米、乾燥とうがらし、緑茶/紅茶も輸入可能ですが、本サイトでは割愛します。

インドネシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年12月

2022年7月22日付農業大臣規則2022年第12号により、核や放射能の危険ステータスにある国や地域からの動植物の生鮮食品の輸入には、原産国の当局などが食品の放射能汚染が定められた基準値内である旨表明した食品放射能証明を添付することとされています。生鮮野菜と果物の基準値は、ヨウ素131(I-131)が1,000Bq/kg、セシウム137(Cs-137)が500Bq/kgです。
この証明を添付した輸入は検疫と食品安全検査に進みますが、証明の添付がない輸入は放射能汚染試験へ回されます。この試験で陽性となった場合、輸入が拒否された原産国からの次回以降の輸入時に、自動的に放射能汚染試験へ回されることになっています。

ただし、東京電力福島第一原子力発電所事故発生時から、インドネシアより日本産農産物について課されていた放射性物質の検査報告書の提出義務は、2022年7月26日付けで解除され、インドネシアにおける放射性物質輸入規制は撤廃されています。
詳しくは、関連リンクの、農林水産省「インドネシアによる日本産食品の輸入規制の撤廃について」を参照してください。

青果物の輸入については、植物由来生鮮食品の輸入に関する農業大臣規則No.55/Permentan/KR.040/11/2016により、残留農薬、重金属、微生物、細菌の残留が基準値以下であることが求められており、この条件をクリアするため、次の(1)または(2)のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  1. インドネシア政府に登録された日本国内検査機関によるロットごとの検査結果の提出
  2. 輸出国での安全性確保システムが品目ごとにインドネシア政府から認定されること(生産国認定)

日本は、農業大臣決定No.3633/KPTS/KR.040/K/06/2022において、日本国内の11の検査機関が前述(1)の検査機関として認定されており、検査結果として分析証明書(Certificate of Analysis)を発行しています。この認定は、2025年6月30日まで有効です。

りんごについては、2016年に前述(2)の生産国認定を取得しています。直近では2024年5月には3年間の認定延長が認められ、この期間は(1)の検査結果の提出は不要となっています。
詳しくは、農林水産省「日本からインドネシア向けに植物由来の生鮮食品を輸出する際の残留農薬等に係る食品安全確保措置について」を参照してください。

また、輸入港が制限されている品目があります。農業大臣規則No.42/Permentan/OT.140/6/2012および同No.43/Permentan/OT.140/6/2012により、たまねぎ、とうがらし、ぶどう、りんご、なし、ももの輸入港は、タンジュンペラック港(スラバヤ)、 ベラワン港(メダン)、スカルノハッタ空港(ジャカルタ)、スカルノハッタ港(マカッサル)に限定されています。ただし、生産国認定を受けた品種のりんごはジャカルタ至近のタンジュンプリオク港を通じて輸入することが可能です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年12月

「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」で記載のとおり、青果物の輸出者には、残留農薬、重金属、微生物、細菌の混入について、インドネシア政府に登録された日本国内の検査機関によるロットごとの試験結果としての分析証明書(Certificate of Analysis)の提出が求められています。ただし、生産国認定を受けた日本産のりんごは不要です。

このほか、輸出国の植物防疫所が発行する植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)、輸出国の青果物の安全性を認証する機関が発行する販売消費適切書(Sale & Fit for Human Consumption)の準備も輸出者に求められています。
そして、青果物の輸出者には、インドネシア検疫庁のポータルサイトPRIOR NOTICEを通じて、事前通知(Prior Notice)を提出することが求められています。インドネシア検疫庁規則2024年第9号によると、事前通知には、輸出入両者のデータ、輸出する青果物のHSコードと数量、植物検疫証明書と分析証明書の番号ならびにその検査機関名、輸出の目的、輸送手段と便名、船積港と船積日、目的港と到着予定日、コンテナ番号などを記載します。

一方、HSコード0703.10.19のたまねぎ、0709.60.10のとうがらし、0806.10.00のぶどう、0808.10.00のりんごの輸入には、商業大臣から作物製品の輸入承認(PI)の取得が課されていますが、商業大臣規則2024年第8号によると、このPIの申請のため、輸出者から農業生産工程管理認証(GAP)とステートメント・レターを入手することになっています。PIの有効期間は1~12月の範囲で最長1年間であるため、GAPとステートメント・レターは毎年必要になります。
桃やなしなどのその他の青果物はPIの取得が求められていないため、GAPは不要です。

また、HSコード0703.10.19のたまねぎ、0709.60.10のとうがらし、0806.10.00のぶどう、0808.10.00のりんごの輸入には、原産国における船積み前検査も義務付けられています。検査はインドネシアの商業大臣が指名する検査機関によって行われ、検査内容は次のとおりです。これらの青果物の輸出者は、前述の分析証明書、植物検疫証明書、原産地証明書(Certificate of Origin)のほか、食品包装の試験結果証明書の準備も必要になります。

  • 輸入承認の記載内容
  • 梱包材に記載された食品ロゴとリサイクルコード
  • 分析証明書
  • 植物検疫証明書
  • 原産地証明書
  • 食品包装の試験結果証明書
  • 食品ロゴとリサイクルコードの記載証書、あるいは法規定に従って梱包が行われていることを記した輸入業者による表明書
輸出者側で準備する書類
品目 食品放射能証明 ロットごとの検査結果(分析証明書) 植物検疫証明書 原産地証明書 販売消費適切書 GAPとステートメントレター 船積み前検査結果(サーベイヤーレポート) 食品包装の試験結果証明書 食品ロゴとリサイクルコードに関する証書/表明書
たまねぎ(HS 0703.10.19)
とうがらし
ぶどう
りんご ×
たまねぎ(HS 0703.10.11) × × × ×
チンゲンサイ、はくさい × × × ×
レタス × × × ×
ラディッシュ、だいこん × × × ×
きのこ × × × ×
アーモンド × × × ×
なし × × × ×
桃(ネクタリンを含む) × × × ×

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年12月

日本から青果物を輸出する場合、インドネシアの植物検疫の条件に適合しているかの確認のため、植物防疫所による輸出検査が行われます。この輸出検査に合格したものについて、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificateまたは合格証明書ともいう)が発給されます。詳細は植物防疫所の「輸出検査について」を参照してください。
また、青果物の輸出者には、インドネシア検疫庁のポータルサイトPRIOR NOTICEを通じて事前通知(Prior Notice)を提出することも求められています。

青果物を含む植物のインドネシアへの輸入は、農業大臣規則No.09/Permentan/OT.140/2/2009により、衛生証明書を添付して定められた港から搬入し、その搬入港の検疫官へ申告、引き渡されることが義務付けられるとされています。防疫の対象となる病害虫の種類は、農業大臣規則2020年第25号の添付資料に一覧で掲載されています。詳細は農業大臣規則2020年第25号を参照してください。
また、植物検疫では、食品安全性などの検査証明書の確認もあわせて行われます。

インドネシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年12月

国家標準化庁(BSN)のウェブサイトでインドネシア国家規格(SNI)を確認できますが、調査時点では強制適用の対象になっている青果物はありません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024年12月

使用される農薬について、農業大臣規則No.55/Permentan/KR.040/11/2016は、植物由来の生鮮品の残留農薬の許容値を定めています(ネガティブリスト方式)。詳しくは、農林水産省の「日本からインドネシア向けに植物由来の生鮮食品を輸出する際の残留農薬等に係る食品安全確保措置について」の「品目毎の検査項目及び基準値」で確認することができます。
インドネシア向け植物由来の生鮮食品の輸出に関して、残留農薬などの検査を行うことができるインドネシア政府に登録された日本国内の検査機関についても、農林水産省の「日本からインドネシア向けに植物由来の生鮮食品を輸出する際の残留農薬等に係る食品安全確保措置について」で確認することができます。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年12月

農業大臣規則No.55/Permentan/KR.040/11/2016により、植物由来の生鮮品に混入する重金属および細菌や微生物の許容値が品目ごとに定められています。詳しくは、農林水産省の「日本からインドネシア向けに植物由来の生鮮食品を輸出する際の残留農薬等に係る食品安全確保措置について」の「品目毎の検査項目及び基準値」で確認することができます。

また、国家食糧庁規則2024年第10号は、青果物の重金属混入許容値を次のように定めています。

青果物の重金属混入許容値
カドミウム(Cd) 鉛(Pb)
野菜 0.2 0.2
果物 0.1 0.1
アーモンド 0.2 0.2 

一方、細菌混入許容値は次のとおりです。

青果物の細菌混入許容値
サルモネラ リステリア STEC
カットフルーツ 陰性/25g 102コロニー/g
レタス 陰性/25g 102コロニー/g 陰性/25g  *

また、アーモンドのアフラトキシンB1の混入許容値は10µg/kg、総アフラトキシンは15µg/kg、オクラトキシンAは5µg/kgと定められています。

インドネシア向け植物由来の生鮮食品の輸出に関して、混入重金属などの検査を行うことができる、インドネシア政府に登録された日本国内の検査機関についても、農林水産省の「日本からインドネシア向けに植物由来の生鮮食品を輸出する際の残留農薬等に係る食品安全確保措置について」の「インドネシア当局により登録されている検査機関」で確認することができます。

4. 食品添加物

調査時点:2024年12月

保健大臣規則2012年第33号では、使用が禁止される食品添加物として次の19の物質を挙げています。

  • ホウ酸
  • サリチル酸とその塩
  • ジエチルピロカーボネート
  • ズルチン
  • ホルムアルデヒド
  • 臭素酸カリウム
  • 塩素酸カリウム
  • クロラムフェニコール
  • 臭化物食用油
  • ニトロフラゾン
  • ズルカマラ
  • コカイン
  • ニトロベンゼン
  • アントラニル酸シンナミル
  • ジヒドロサフロール
  • トンカ豆
  • ショウブの根茎からとれる精油(Calamus oil)
  • ヨモギギクの精油(Tansy oil)
  • サッサフラスの精油(Sasafras oil)

また、使用が認められる食品添加物は保健大臣規則2012年第33号に、使用量の制限については国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第11号に、それぞれ定められています。インドネシアの食品分類(生鮮の果物は4.1.1.2、生鮮の野菜は4.2.1.2)に基づき、基準値が定められています。
さらに、BPOM規則2023年第22号には、食品添加物として使用が禁止される45の物質が挙げられています。詳細はBPOM規則2023年第22号を参照してください。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年12月

食品包装は、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第20号に、食品包装として使用が禁止されている食品接触物質と、使用が許可されている食品接触物質のリストが掲載されています。これらのうち食品包装に使用が許可されている食品接触物質は、食品への移行量の規制があるものと、特に規制のないものとに分かれます。
食品接触材として使用が認められる原料としては、プラスチック(モノ/マルチレイヤー)、ゴム/エラストマー、紙とカートン、レジン/ポリマーレイヤー、陶器、ガラス、金属があるとし、食品への移行量の規制つきでリストが定められています。また、ふた/ガスケット/封印についても、食品接触材の対象となります。リストにない要素や原料は、その安全性が検査された後、BPOM長官より承認を得た後に使用が可能となります。

なお、インドネシア国内で販売される食品の包装には、食品に適した安全な容器を使用していることを示すロゴの表示が義務付けられています。またプラスチック容器については、リサイクルのコードと使用しているプラスチックの種類を表記することが定められています。
また、木製品を包装に使う場合は農業大臣規則No.12/Permentan/OT.140/2/2009において、よく乾燥させること、および植物防疫所の輸出用木材梱包材の表示を義務付けています。

6. ラベル表示

調査時点:2024年12月

国家食糧庁規則2023年第1号で、インドネシア国内での取引の目的で輸入される青果物は、インドネシア国内搬入時にラベル表示されることが義務付けられています。ラベル表示は原則インドネシア語で、流通のための包装の内または外の見やすい部分に、はがれたりしないようにしっかりと行います。

最低限の表示項目は次のとおりです。

  • 登録番号:「PSAT PL xxxxxxxxxxxxxxx」「Kementan RI PL xxxxxxxxxxx」
  • 品名:青果物の種類の名称と商品名
  • 使用原料一覧:複数の種類が混合している場合または食品添加物が使用されている場合。アーモンドは“mengandung alergen, lihat daftar bahan/komposisi yang dicetak tebal.”(“アレルゲンを含む、原料一覧の太字参照”の意)というアレルゲン表示が必要です。
  • 正味重量または正味容量(許容誤差に係わる規定なし)
  • 生産者・輸入者の名称と住所
  • 生産日と生産コードおよび/あるいは賞味期限の年月日
  • 青果物の由来:遺伝子組換え食品、有機食品など

さらに、必要に応じて、保存方法や加工方法、摂取案、栄養価情報(栄養や健康といった強調表示がある場合)、安全品質認証、地理的表示、強調表示、なども表示します。 文字の大きさは原則、フォントのarialの“o”が1mmあるいは6ポイント以上。品名のみ同2mm以上と定められています。

なお、購入者の前で包装される青果物にはラベル表示の義務はありません。代わりに、看板や垂れ幕、広告、ステッカー、チラシなどに、商品名をはじめとした情報を記載することが推奨されています。

7. その他

調査時点:2024年12月

食品安全・衛生規制
政令2019年第86号において、食品の衛生、食品添加物、遺伝子組換え食品、食品の放射線照射、食品の包装、食品の安全品質保証、汚染食品に分けて規定されています。

インドネシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2024年12月

青果物流通許可

農業大臣規則No.53/PERMENTAN/KR.040/12/2018により、輸入青果物は国家食糧庁へ登録して流通許可(Izin Edar PSAT PL)を取得することと定められています。国家食糧庁のポータルサイトを通じて申請し、流通許可の発行を受けます。申請に必要なデータや書類は次のとおりです。

  • 申請者の住民証(KTP)
  • 納税者番号(NPWP)
  • 会社設立証書とその後の定款変更証書
  • 事業者基本番号(NIB、輸入業者事業者番号(API)として有効なもの)
  • 事業地許可書
  • 輸入承認(PI、輸入規制品の場合)
  • 商標認証の写し(trade markおよび/あるいはregisteredと表示する場合)
  • 製品証明書
  • 標準作業手順書(SOP)
  • クレーム証明または証明書の写し(ラベルに強調表示をする場合)
  • 分析証明書(Certificate of Analysis)
  • 植物検疫安全認証/青果物安全性認証
  • ライセンス書(ライセンス製品の場合)
  • 契約書の写し(再包装される青果物の場合あるいは契約に基づき海外で生産された青果物の場合)
  • 製品サンプルと製品包装案、および食品ラベルの条件に従ったラベル
  • サプライヤーと原産国の輸出業者のリスト
  • ディストリビューターのリスト
  • 青果物供給施設の衛生検査結果証明書
  • 衛生訓練参加の認証あるいは証明証
  • 認定された試験機関によって直近6カ月以内に発効された製品試験結果報告

登録された輸入青果物には、「PSAT PL XXXXXXX(16桁の数字)」「Kementan RI PL XXXXXXX(16桁の数字)」のような登録番号が交付されます。この登録番号は、ラベルに表示することが定められています。
流通許可の有効期間は5年間で、有効期限の3カ月前までに更新しないとなりません。

輸入承認とサーベイヤーレポート

商業大臣規則2024年第8号によると、HSコード0703.10.19のたまねぎ、0709.60.10のとうがらし、0806.10.00のぶどう、0808.10.00のりんごの輸入には、商業大臣から作物製品の輸入承認(PI)の取得が課されています。PIについて、政府が収集、決定する消費と生産の状況に関するデータや情報である商品バランスが決定されている場合は商品バランスに従って発行されますが、これら青果物は2024年12月現在で商品バランスが決定されていない品目のため次に基づいて発行されます。(有効期間は、1~12月の範囲で最長1年間です。)

  • それぞれの青果物の特徴に合った適切な蔵置場を有することについての証明書
  • コールドストアレージの占有証明(賃貸の場合は公証人の面前で作成された賃貸契約書、PIの期間に合わせて1~12月の範囲で最低1年の残存賃貸期間があるもの)
  • 輸入しようとする青果物に関する情報についてのその他の書類
    • 農業生産工程管理認証(GAP)とステートメント・レター
    • 販売計画(輸入者が一般輸入業者事業者番号(API-U)として有効な事業者基本番号(NIB)を有する事業者の場合)
    • 生産計画(製造輸入業者事業者番号(API-P)として有効なNIBを有する事業者の場合)

PIの申請は統合通関ポータルのナショナル・シングル・ウインドウ・システム(INSW)を通じて行い、PIの発行は商業省の許認可ポータルのINATRADEを通じて受けます。PIで、輸入割当量が定められます。
また、これらの青果物の輸入には船積み前検査が課されています。検査結果をまとめたサーベイヤーレポート(LS)を、輸入申告書に添付します。

検疫証明

このほか、インドネシア検疫庁規則2024年第1号によると、青果物の輸入には植物検疫が課されており、検疫により問題がないことが証明された旨の証明書(文書コードK-9.2)を取得した後に国内の関税地域へ搬出できます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2024年12月

青果物を輸入する際の手順は次のとおりです。

  1. インドネシアの輸入者は、商業省から輸入承認(PI)を取得する(HSコード0703.10.19のたまねぎ、0709.60.10のとうがらし、0806.10.00のぶどう、0808.10.00のりんごの輸入の場合)。
  2. インドネシアの輸入者は、国家食糧庁に輸入予定の青果物を登録し、登録番号の交付を受ける。
  3. 輸出国において商業大臣が指名した検査会社による船積み前検査を受けて、サーベイヤーレポート(LS)を取得する(HSコード0703.10.19のたまねぎ、0709.60.10のとうがらし、0806.10.00のぶどう、0808.10.00のりんごの輸入の場合)。
  4. 出荷国の輸出者は、植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)と分析証明書(Certificate of Analysis)を用意する。
  5. 出荷国の輸出者は、積載船舶の出航までに、インドネシア検疫庁のポータルサイトPRIOR NOTICEを通じて、安全性検査のための事前通知(Prior Notice)提出する。
  6. 船卸港で輸入者は、貨物の到着2日前までに、オンラインで検疫検査申請を行い、貨物の到着を申告のうえ、船卸港の検疫官に青果物の引き渡しを行う。船卸港の検疫官は、提出された申請書類が正しく、不備がないか、審査する。
  7. 輸入者は、船卸港の検疫所へ植物検疫証明書を提出し、到着した貨物を引き渡す。検疫所では、安全性検査書類の確認と、検疫手続きとして書類の審査と病害虫の有無(生産国認定の安全性検査で証明される)、青果物の状態について検査が行われる。
  8. 検疫所から検疫により問題がないことが証明された旨の証明書(文書コードK-9.2)が出たら、貨物を検疫所から搬出することができる。
  9. 輸入関税および租税を納付
    輸入品のHSコードを特定して関税率表でその関税率を確認し、必要な租税と一緒に金額を計算した後、関税総局の通関サービス利用者オンラインでe‐ビリングを取得して、銀行などで納付し輸入関税・租税納付書(SSPCP)を取得する。
  10. 輸入申告
    輸入申告書(PIB)に次の添付書類を添付し、船卸港の税関に提出し申告書登録番号を受ける。
    • 輸入関税・租税納付書(SSPCP)
    • インボイス
    • パッキングリスト
    • 船荷証券
    • 輸入承認
    • 輸出国当局からの検査証明書(衛生証明書、輸入承認番号を記載)
    • 検査会社によるサーベイヤーレポート(LS)
    • 原産地証明書(日本インドネシア経済連携協定(JIEPA)などにおける輸入の場合)
  11. 書類審査
    船卸港の税関が申告内容や添付書類、輸入関税の計算などを審査。
  12. 搬出許可(SPP)を取得

これらの検査を経て船卸港の税関からの搬出許可が出た後、貨物を引き取ることができます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2024年12月

青果物の輸入時に次のような手順で検疫検査が行われます。

  1. 輸入予定の青果物の到着2日前までに、搬入地の検疫官に、必要書類を添付して、青果物の到着予定を届ける。
  2. 輸入予定の青果物が到着後、検疫官による書類検査が実施される。
  3. 書類検査で問題なしとされた場合、衛生検査に進む。
  4. 衛生検査の結果、問題ないとされた場合、安全確認書が発行される。

詳細は、「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」を参照してください。

HSコード0703.10.19のたまねぎ、0709.60.10のとうがらし、0806.10.00のぶどう、0808.10.00のりんごは輸入時の通関検査がありませんが、税関エリアを通過後に輸入要件を満たしているかどうかの検査を行うポストボーダー検査の対象です。この場合の輸入要件は、日本における船積み前検査の報告書であるサーベイヤーレポート(LS)と、インドネシア商業省が発行する輸入承認(PI)を指します。ポストボーダー検査のため輸入業者は、サーベイヤーレポートと輸入承認、および輸入申告書(PIB)を少なくとも5年間保管しなければなりません。
輸入業者は当該輸入品を使用、販売、譲渡する前に、輸入要件を満たしていることを表明した宣言書(Self Declaration)を作成し、PIBの番号を記載のうえ、商業省の許認可ポータルサイトINATRADE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通して提出します。

4. 販売許可手続き

調査時点:2024年12月

輸入された青果物は、一般輸入業者事業者番号(API-U)を有する会社が国内のディストリビューターに卸して、国内販売向けに供給されていきます。輸入者が、消費者へ直接販売したり、小売業者へ販売したりすることは禁止されています。
農業大臣規則No.53/PERMENTAN/KR.040/12/2018によると、インドネシア国内で事業者によって再包装された輸入青果物、国産青果物と混合された輸入青果物で、インドネシア国内において小売包装で流通される青果物および/あるいはラベルが貼付された青果物は、国家食糧庁へ登録して流通許可を取得し、「PSAT PD XXXXXXXX」「Kementan RI PD XXXXXXX」のような登録番号の交付を受けることが定められています。包装された青果物にはラベル表示が義務付けられており、そのラベルの中でこの登録番号を表示します。

青果物の登録は国家食糧庁のポータルサイトを通じて申請します。申請に必要なデータや書類は次のとおりです。

  • 申請者の住民証(KTP)
  • 納税者番号(NPWP)
  • 会社設立証書とその後の定款変更証書
  • 事業者基本番号(NIB)
  • 事業地許可書の写し
  • 商標認証の写し(trade markおよび/あるいはregisteredと表示する場合)
  • 生産関連スペース配置図
  • 製品証明書
  • サプライヤーと顧客のリスト
  • 標準作業手順書(SOP)
  • クレーム証明または証明書の写し(ラベルに強調表示をする場合)
  • ラインセス書の写し(ライセンス製品の場合)
  • 再包装証明書(再包装製品の場合)
  • 製品サンプルと製品包装案、および食品ラベルの条件に従ったラベル
  • 青果物の生産施設および供給施設の衛生検査結果証明書
  • 衛生訓練参加の認証あるいは証明証
  • 認定された試験機関によって直近6カ月以内に発効された製品試験結果報告
  • 青果物安全性・品質保証認証の写し(あれば)

一方、製造輸入業者事業者番号(API-P)を有する会社は、自社製品の原料または補助材としてのみ使用が認められ、第三者への販売は原則的に禁じられています。

5. その他

調査時点:2024年12月

なし

インドネシアの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年12月

輸入関税は、CIFから計算して輸入申告前に納付します。財務大臣規則No.26/PMK.010/2022によると、青果物の輸入関税率は、0%に設定されている0703.10.11のたまねぎ以外は5%です。
ただし、日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA)において、青果物の輸入関税率は0%に引き下げられています。(財務大臣規則No.50/PMK.010/2022)。日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)が利用できる品目の場合も0%(財務大臣規則No.48/PMK.010/2022)。一方、地域的な包括的経済連携(RCEP)における日本からの輸入では、HSコードにより、2024年は0%、3%または3.6%、25年は0%、2.5%または3.3%と、輸入関税率はたまねぎを除くその他の青果物の一般税率よりは低く設定されています(財務大臣規則No.225/PMK.010/2022)。適用のためには、特定原産地証明書および運送要件証明書(通し船荷証券の写しなど)の提出が必要です。

2. その他の税

調査時点:2024年12月

(1)前払い所得税

財務大臣規則2024年第81号により、青果物の輸入には、輸入前払い所得税(PPh-22)が輸入申告前に徴収されます。税率は、輸入業者事業者番号(API)を有している企業でCIFの2.5%に定められています。PPh-22は、法人税の年次申告時に法人税と相殺します。

(2) 付加価値税

青果物の輸入および国内取引には付加価値税(VAT)がかかりますが、HSコード0802番台のアーモンド以外は0%に設定されています。アーモンドには11%のVATがかかり、この税率は2021年第7号国税規則調和法により、2025年に12%に引き上げられる予定です。いずれも、商品購入時に事業者が負担した仕入れのVAT額は、販売時に取引先から徴収する売り上げのVAT額と、月次単位で相殺されます。会社は事業開始前に、税務署にVAT課税業者(PKP)として登録しておく必要があります。

3. その他

調査時点:2024年12月

なし