清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する清涼飲料水のHSコード
- 2009:
- 果実または野菜のジュース(ぶどう搾汁およびココナツウオーターを含み、発酵しておらず、かつ、アルコールを加えてないものに限るものとし、砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない)
- 2201.10.10:
- 鉱水
- 2201.10.20:
- 炭酸水
- 2202:
- 水(鉱水および炭酸水を含むものとし、砂糖その他の甘味料または香味料を加えたものに限る)およびその他のアルコールを含有しない飲料(HSコード2009項の果実または野菜のジュースを除く)
- 2853.90.10:
- 脱塩水
ただし、HSコード2202項のうち2202.99.10のUHTミルクを基礎原料とするフレーバー飲料は、家畜に由来しないものに限ります。家畜に由来するものは、牛乳・乳製品を参照してください。
インドネシアの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2024年12月
東京電力福島第一原子力発電所事故発生時からインドネシアにより日本産農産物について課されていた放射性物質の検査報告書の提出義務は2022年7月26日付けで解除され、インドネシアにおける放射性物質輸入規制は撤廃されています。
詳しくは、関連リンクの農林水産省「インドネシアによる日本産食品の輸入規制の撤廃について」を参照してください。
また、商業大臣規則2024年第8号により、インドネシアでの搬入地は次に限られています。
- 陸上港:
- チカラン・ドライポート(西ジャワ州ブカシ)
- 海洋港:
- ブラワン港(北スマトラ州メダン)、タンジュンプリオク港、ニュープリオク港(以上、ジャカルタ)、タンジュンマス港(中部ジャワ州スマラン)、タンジュンペラック港(東ジャワ州スラバヤ)、スカルノハッタ港(南スラウェシ州マカッサル)、ビトゥン港(北スラウェシ)、メラックマス港(バンテン州チレゴン)、ドゥマイ港(リアウ州)、ジャヤプラ港(パプア州)、クルングク港(北アチェ)、クアラランサ港(アチェ州ランサ)、タラカン港(北カリマンタン)、トゥノンタカ港(北カリマンタン州ヌヌカン、(北カリマンタン州ヌヌカン、ただし二国間協定で定められた物品に限られ、基本食糧保税ロジスティックセンターに搬入)
- 空港:
- クアラナム空港(北スマトラ州メダン)、スカルノハッタ空港(ジャカルタ)、アフマッドヤニ空港(中部ジャワ州スマラン)、ジュアンダ空港(東ジャワ州スラバヤ)、ハサヌディン空港(南スラウェシ州マカッサル)
関連リンク
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2024年12月
清涼飲料水の輸入者は、輸入する清涼飲料水をインドネシア国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録し、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する必要があります。BPOM規則2023年第23号によると、この商品登録のためには、輸出者側から次の書類の提出が必要です。
- 原産国の企業からの契約書の形での指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)
- 公認/認定機関が発行したGMP(適正製造規範)/HACCP(危害分析および重要管理点)証明書または同様の証明書、あるいは原産国政府の監査結果
- 衛生証明(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)
また、必要に応じて次の書類も求められます。
- 有機食品認証
- 遺伝子組換え食品に関する説明
- 放射線照射に関する証明書
このほか、商業大臣規則2024年第8号により、清涼飲料水の輸入には原産国における船積み前の検査が義務付けられています。検査は政府指定のPT Surveyor IndonesiaとPT Superintending Company of Indonesia(SUCOFINDO)が共同運営するKerja Sama Operasi Sucofindo-Surveyor Indonesia(KSO SCISI)がサブ・コントラクターとして指定した検査機関によって行われ、検査内容は次のとおりです。
- 原産国と船積み港
- 船積み時期
- 船卸港
- HSコードと品目説明
- インドネシア国家規格(SNI)認証番号(SNI強制適品の場合)
- 商品登録番号
- 加工食品流通許可(Izin Edar)
検査結果をまとめたサーベイヤーレポート(LS)を、通関義務履行時に船卸港の税関に提出しなければなりません。
なお、清涼飲料水の輸入者はポストボーダー輸入証明書を取得しますが、この時、輸出者が製造業者と異なるような場合には、製造業者からのレファレンスレターも必要になります。
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2024年12月
なし
インドネシアの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2024年12月
清涼飲料水のうち容器入り水には、工業大臣規則2024年第62号により、インドネシア国家規格(SNI)の適用が義務付けられています。対象は次のとおりです。
鉱水(HS ex.2201.10.10) :SNI No.3553:2023
脱塩水(HS ex.2853.90.10) :SNI No.6241:2023と修正6241:2023/Ralat 1:2024
天然鉱水(HS 2201.10.10) :SNI No.6242:2023と修正6242:2023/Ralat 1:2024
炭酸水(HS ex.2201.90.90) :SNI No.7812:2021
高pH水(HS ex.2201.90.90) :SNI No.8982:2021
関連リンク
2. 残留農薬および動物性薬品
調査時点:2024年12月
残留農薬規制については原則、食品の国際規格であるCODEX(コーデックス委員会)の規格が採用されています。
残留農薬の監督を行うインドネシアの保健省と農業省は、1996年に保健・農業大臣合同決定No.881/Menkes/SKB/VIII/1996,No.711/Kpts/TP.270/8/96において218種類の農薬について独自の残留/汚染上限を設けました。この基準を超える食品の輸入および国内販売は禁止されており、これらに規定されていない農薬の残留は認められていません。
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2024年12月
規制されている細菌は、一般生菌、大腸菌群、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、乳酸菌、緑膿菌で、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第13号にて許容混入値が定められています。
規制されている化学物質は、マイコトキシン、ダイオキシン、3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)、多環芳香族炭化水素(PAH)で、BPOM規則2018年第8号に残留濃度上限値が定められています。
規制されている重金属は、ヒ素(As)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウムで、BPOM規則2018年第5号に定められた許容限度基準値(mg/kg)は種類により次の範囲で制限されています。詳細は、BPOM規則2018年第5号を参照してください。
- ヒ素(As) 0.01~1.0 mg/kg
- 鉛(Pb) 0.005~2.0 mg/kg
- 水銀(Hg) 0.001~0.03 mg/kg
- カドミウム(Cd) 0.003~0.2 mg/kg
缶入りの飲料については、スズの許容限度量が100 mg/kgとされています。
4. 食品添加物
調査時点:2024年12月
保健大臣規則2012年第33号には、清涼飲料水を含む食品に使用が禁止される食品添加物として次の19の物質が挙がっています。
- ホウ酸
- サリチル酸とその塩
- ジエチルピロカーボネート
- ズルチン
- ホルムアルデヒド
- 臭素酸カリウム
- 塩素酸カリウム
- クロラムフェニコール
- 臭化物食用油
- ニトロフラゾン
- ズルカマラ
- コカイン
- ニトロベンゼン
- アントラニル酸シンナミル
- ジヒドロサフロール
- トンカ豆
- ショウブの根茎からとれる精油(Calamus oil)
- ヨモギギクの精油(Tansy oil)
- サッサフラスの精油(Sasafras oil)
また、使用が認められる食品添加物は保健大臣規則2012年第33号に、使用量の制限については国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第11号に、それぞれ定められています。
さらに、BPOM規則2023年第22号には、食品添加物として使用が禁止される45の物質が挙げられています。詳細はBPOM規則2023年第22号を参照してください。
5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)
調査時点:2024年12月
食品用の容器包装は、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第20号に、食品包装として使用が禁止されている食品接触物質と、使用が許可されている食品接触物質のリストが掲載されています。これらのうち食品包装に使用が許可されている食品接触物質は、食品への移行量が制限されているものと、特に規制のないものとに分かれます。
食品包装として使用が認められる食品接触物質としては、プラスチック(モノ/マルチレイヤー)、ゴム/エラストマー、紙とカートン、レジン/ポリマーレイヤー、陶器、ガラス、金属があり、これらは食品への移行量の制限つきでリストが定められています。また、ふた/ガスケット/封印も食品接触材の対象となります。リストにない要素や原料は、その安全性が検査された後、BPOM長官より承認を得た後に使用が可能となります。
なお、工業大臣規則No.24/M-IND/PER/2/2010によって、食品包装には食品に適した安全な容器を使用していることを示すロゴの表示が義務付けられています。またプラスチック容器については、リサイクルのコードと使用しているプラスチックの種類を表記することが定められています。
6. ラベル表示
調査時点:2024年12月
清涼飲料水のラベルは、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2018年第31号(BPOM規則2021年第20号、BPOM規則2024年第6号で変更)の加工食品のラベル表示規定に従い、インドネシア語、アラビア数字、アルファベット表記での表示が義務付けられています。表示が義務付けられている項目は次のとおりです。
- 商品名:食品カテゴリーに基づく種類、製品名
- 使用原料一覧:原材料、食品添加物、加工助剤。加工食品自体を示す原料、ラベルにおいて言葉または図により強調される原料、食品の種類の名称である、または食品の種類名において述べられる原料の場合は、その含有率の表示も義務付けられています。
- 正味重量または正味容量(許容誤差に係わる規定なし)
- 製造者・輸入者の名称と住所
- ハラール証明
- 製造日と製造コード
- 賞味期限の説明:品質が保証される年月日を記載します。保存期間が3カ月以上の商品については、年月だけでもよいとされています。
- 加工食品流通許可番号:「BPOM RI ML xxxxx(取得番号)」
- 特定の食品原料成分の説明:動植物由来の原料、遺伝子組換え原料、放射線照射原料など。原料名と原料成分の由来を使用原料一覧に記載することが義務付けられています。ただし、遺伝子組換え原料の使用量が5%以下の場合は遺伝子組換え原料の表示が免除されています。
- 保存方法:1回で消費し切れない食品の場合は、開封後の保存方法も記載します。特に容器入り水の保存方法については、「清潔かつ涼しい場所で保存、太陽光に直接当たるのを避け、鋭い異臭のするもののそばに置かないこと」と記載することが義務付けられています。
- 警告:ポリカーボネート樹脂使用の容器に入った飲料水は、「特定の場合、ポリカーボネート梱包は容器内の飲料水にBPA(ビスフェノールA)を溶出することがある」と記載するよう義務付けられています。
このほか、製品によっては次の項目の表示も必要になります。
- 栄養表示:エネルギー総量、脂肪総量、タンパク質、炭水化物、ナトリウムの表示が必要です。
- 注意文:塩や砂糖、脂質を含む食品で、大量に消費すると健康リスクが発生する可能性がある場合などに表示します。
- 用途についての説明:乳幼児向け、授乳中の女性向け、特定の疾病を有する者向け、など。
- 使用方法:温めるなど、消費に際し必要な準備方法を表示します。
- アレルゲン原料一覧:使用原料一覧の近くに太字で表示。所定の警告文あり。グルテンを含有するシリアル、卵、水産物、大豆、牛乳、ナッツ類、など。
- 有機食品についての説明
- 2Dバーコード
特に豚に由来する原料を含む食品は、下図のように“mengandung babi”(豚含有の意)を赤文字で記載し、その横に豚の絵を配し、これらをさらに赤線の四角で囲みます。文字のサイズは最低1.5mmで、ラベルの面積に比して適当な大きさで示す必要があります。

食品自体に豚由来の成分が含まれない場合でも、同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している場合は、下図のように“Pada proses pembuatannya bersinggungan dan/atau menggunakan fasilitas bersama dengan bahan bersumber babi”(同じ製造ラインや同じ施設内で豚を含む食品を製造している意味)を赤文字で記載し、赤線の四角で囲った表示が必要です。

商品名および注意文は、2mmのArialフォントによる小文字の「o」と同じか、それより大きいサイズで記載しなければなりません。その他は原則、1mmのArialフォントによる小文字の「o」と同じか、それより大きいサイズで記載します。ラベルの表面面積が10cm²以下の場合は、最小でも0.75mmのサイズの文字で記載することが義務付けられています。
ラベルは加工食品流通許可の取得時に承認されている必要があり、承認済みのラベルと同一のものが、インドネシア国内に搬入される際に表示されている必要があります。
7. その他
調査時点:2024年12月
- 食品安全・衛生規制
- 政令2019年第86号にて、食品の衛生、食品添加物、遺伝子組換え食品、食品の放射線照射、食品の包装基準、食品の安全品質保証、汚染食品に分けて規定されています。
関連リンク
- 関係省庁
-
保健省(インドネシア語)
- 根拠法等
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政令2019年第86号(インドネシア語)
(3.92MB)
その他
調査時点:2019年8月
- 有機認証
- BPOM規則2017年第1号により、有機加工食品を国内で流通させるには、国家認定委員会(KAN)に認定された有機認証機関発行の有機認証で証明されている必要があります。有機認証を受けた加工食品は、そのラベルと公告において、食品の種類の後に“Organik”(有機の意)と記載し、法令で定められたインドネシア有機ロゴを表示する義務があります。
- ハラール認証
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宗教大臣規則2019年第26号により、国内で流通する加工食品には2024年10月17日以降、イスラーム法で許されていることを意味するハラール認証を受けていることが義務付けられています。ハラール認証は、ハラール製品保証実施庁(BPJPH)に認定された国内外の認証機関が審査のうえ、発行します。ハラール認証を受けた加工食品は、所定のハラール・ラベルの表示が必要です。逆にハラールでない食品は、ハラールでない旨を製品に表示することが義務付けられています。
ただし、政令2024年第42号により、海外から輸入される加工食品に対するハラール認証の義務は、最大で2026年10月17日まで猶予されました。 - 遺伝子組換え食品
- 国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2024年第19号により、遺伝子組換え食品は国内流通に際してBPOMからの安全性認証の取得が義務付けられています。認証を取得するには、遺伝子組換え食品安全委員会(KKH-PRG)の分析を受けて推薦状を取得する必要があります。遺伝子組換え食品安全認証に基づいて安全であることが表明された遺伝子組換え食品で、遺伝子組換えDNAの含有率が5%以上の遺伝子組換え食品については、通常の食品ラベルの表示のほか、“PRODUK REKAYASA GENETIK”(「遺伝子組換え製品」の意)と記載することとされています。
- 放射線照射食品
- BPOM規則2018年第3号により、輸入の放射線照射食品には、原産国の政府が発行した放射線照射証明の添付が義務付けられています。ラベルには通常の食品ラベルの表示のほか、食品の種類の後に“PANGAN IRADIASI”(放射線照射食品の意)と記載し、法令で定められた専用ロゴを付します。