輸入ライセンスAPI−Uの改定規定を公布−規制緩和も実効性に疑問−

(インドネシア)

ジャカルタ事務所

2012年10月09日

2012年9月21日付で、商業大臣規定2012年第59号(No.59/M−DAG/PER/9/2012)が公布された。同規定は、5月1日付商業大臣規定2012年第27号(No.27/M−DAG/PER/5/2012)を改定したもの。2012年27号規定では、一般輸入ライセンス(API−U)を有する企業が輸入できる品目の範囲が厳しく限定されていたが、今回の改定により規制内容が緩和された。しかし、依然として新規ライセンスの運用面などで不明瞭な点が多く、現実的に対応は難しいという声が日系企業から上がっている。

<1社複数品目の輸入を認める>
2012年第59号規定は、販売業者、商社などが保有するAPI−Uにかかわる2012年第27号規定を改定したもの。ジェトロ・ジャカルタ事務所は改定規定を仮訳とともに下記URLで公開している。

商業大臣規定2012年第59号(仮訳、PDF)
商業大臣規程2012年第59号(原文、PDF)

今回の改定のポイントは以下のとおり。

(1)改定前の2012年第27号規定では、HSコードベースで分類された21分野の中から、1社につき1分野の輸入のみ認められたが、改定によって規制内容が緩和され、1社で複数分野の輸入が認められる〔第4条(3)〕。1社1分野への制限については、日系企業を含む経済団体、各国商工会議所など各方面から強い反発があり、改善を求める声が上がっていた。ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)は、5月に経済調整大臣府宛てに日本企業側の要望を出していた。

(2)「1社複数分野」の輸入を認めるための条件として、改定前の2012年第27号で定義が示されていなかった輸出者と輸入者の間の「特別な関係」が、今回の改定で定義された〔第4条(6)a−f〕。

a.経済活動における支配分割のための契約上の合意
b.株式保有
c.定款(関係の記載)
d.代理店/販売業者契約
e.融資契約
f.サプライヤー契約

(3)「特別な関係」を証明するための書類として、インドネシア在外公館の認証を受けた証明書が義務付けられた〔第22条(1)k〕。

・海外にある会社と特別な関係を有することを表明したAPI−U保有者の表明書(所定の印紙を貼付)、および
・海外にある特別な関係を有する会社が所在する国の商務担当官、あるいはインドネシア在外公館の官吏が認証した特別な関係の証明書

<運用面で不明な点が残る>
改定規定では、API−Uに関して1社が輸入できる対象品目の制限が緩和され、複数分野の輸入が認められたことが大きなポイントだ。一方で、「特別な関係」の定義の内容が不明確で、関係を証明する書類も具体的に示されていない。改定前の2012年第27号によると、同規定が発布される前に取得したAPI−Uは2012年12月末で無効となる。この期限までに新ライセンスへの移行が求められる中、申請先の投資調整庁(BKPM)の窓口が混乱することが予想され、日系企業からは期限の延長を求める声が出ている。

(藤江秀樹)

(インドネシア)

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