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市場・トレンド情報

外食産業の動向 ‐ 活気あふれる香港の飲食街

2011年2月
分野:食品・農林水産物

2011年1月初旬、香港の繁華街の一つ、旺角(モンコック)の飲食街「家楽坊」がリニューアル・オープンした。ここには香港で人気のある6軒の日本食を中心とした飲食店が集積している。香港の不動産価格は高騰を続け店舗家賃も上昇しているが、消費者の購買意欲と食に対する消費意欲はますます高まりを見せている。ここでは、元気な香港飲食街事情をお伝えする。

香港人から見た日本食レストランとは

香港版ぐるなびと呼ばれるインターネットのレストラン情報サイト「オープンライス(Open Rice)」では、他国の料理に先駆けて「日本食特集」を常時組んでいる(※1)。この特集では、日本食が1.ラーメン・うどん、2.食べ放題、3.焼き物、4.寿司・刺身、5.居酒屋、6.その他、の6つのグループに分かれている。

香港外食産業の2010年総売上高は839億6,000万香港ドル(約8,815億円、2011年2月時点、1香港ドル10.5円で換算)で、前年比5.1%の伸びであった。香港には約1万1,000店舗(2011年1月時点、インベスト香港調べ)の飲食店があり、その約6割が中華レストランであり、日本食レストランは700店舗(2011年1月時点、ジェトロ香港調べ)に満たない。

全体の6%ほどしかない日本食レストランだが、香港人の食生活への影響力はかなり強いと言える。例えば、香港の民放テレビのドラマで香港人のすし職人が日本と香港で活躍するストーリーが放映されたり、そのメインスポンサーが香港の日本食レストランであったり、香港人が海外からの顧客を接待するのに日本食レストランを使うことも日常的に行われている。

最近では、特にラーメンが人気で、もはや街角のラーメン専門店に行列ができるのが珍しくなくなっている。

また、香港唯一の公立料理専門学校「中華中芸学院」とジェトロ香港が2月に行った共催セミナーで、日本料理の調理師の卵である学生達から「ラーメンに関するセミナーを行って欲しい」という声が最も大きく上がっていたほどである。

※1, 「 日本食特集 」(オープンライス(Open Rice))

日本食レストラン集積エリアの不動産事情

香港の日本食レストランは、商業地区でもあり繁華街でもある香港島の銅羅湾(コーズウエイベイ)や尖沙咀(チムサーチョイ)に店舗を設けることが多い。しかし、ここ数年は、店舗家賃の高騰やオフィスの新興地への移転等の影響もあり、これまで日本食レストランが少なかったエリアに商圏を広げる動きが見られる。

例えば、チムサーチョイの西側にある九龍駅(カオルーンステーション)付近や香港島のコーズウェイベイの隣り街で住宅地や学校の多い天后(ティンハウ)等に飲食店がシフトする動きである。また、一人当たりの平均消費単価の比較的高い日本食レストランが、オフィス街になり若者も集まるようになった観塘(クントン)や旺角(モンコック)などに広がっている動きが見える。

一方、ニューヨークや東京と並んで不動産価格が高い香港では、人通りが多く来客数が多く望める路面店に店舗を構えることは家賃も高く経営が圧迫される可能性が高いので、飲食店の集まるビルやショッピングモール内に飲食店を構える機会が比較的多い。

そうしたビルやショッピングモールのオーナーのほとんどは、サンフォンカイプロパティーズやヘンダーソンランド、スワイヤー、ニューワールドなどの不動産ディベロッパーである。これらの不動産ディベロッパーの中には香港だけではなくアジアで展開している企業もあれば、中国大陸内で展開している企業もある。従って香港に飲食店として進出する際、上記のどの不動産ディベロッパーと手を組み、いかに上手く付き合っていくかが飲食店経営の方向を左右すると言っても過言ではない。

繁盛店が集まる飲食街

現在の不動産価格のトレンドは上昇傾向である。香港では目安として2004年の数字を基礎にすることが多いが、2004年の不動産価格の指数を100とすると2010年第3四半期の小売り向け不動産価格指数は250を超えている。


出所:香港評価局

そのような環境の中、旺盛な消費意欲を持つ消費者が集まる街、旺角(モンコック)に2011年1月、新しいテーマの飲食店街「家楽坊」がオープンした。

6つの店舗から構成されている小さな飲食店街であるが、ここには香港で活躍できるヒントが凝縮されている。

とんかつ専門店の「豚組」では、従来のとんかつだけではなく、わさびの入ったチーズとんかつなどフュージョン系の揚げ物や、香港人に人気のあるとんこつラーメン同様、白豚を長時間煮込んで、うどんのスープベースにしている。

すでに4店舗香港内で展開している「大阪王将」は看板商品で最も人気のある焼き餃子だけではなく、かき揚げ丼やあぶりサーモン丼など日本風中華料理店とは異なる香港の人気商品で、既存店にないメニューを打ち出している。

ラーメン専門店「味吉(みきち)」では12時間以上煮込んだクリーミーなとんこつスープをベースにしたラーメンと、自家製のチャーシューや豚の角煮、手羽先のグリル等の肉料理をメインに展開している。

大阪から進出し、現在香港内で5店舗を展開しているしゃぶしゃぶ食べ放題の「モーモークラブ」では、「日本産和牛も食べ放題:10香港ドルプラスすればデザートのアイスクリームも食べ放題」を売りものに人気を得ている。

地場の低脂肪牛乳と米国の無脂肪ヨーグルトで作られたアイスクリーム専門店「Tutti Frutti」、18グラムのコーヒー豆で作られたエスプレッソの品質にもこだわる「18g」などいずれも香港人が支持する繁盛店が軒を連ねている。

こうした飲食店に共通しているのは、焼き物から煮物、すし、てんぷらと何でも揃う従来の和食の店ではなく、特化した専門店である点だ。どんな料理を打ち出しているかが、消費者にもはっきりと分かるのである。

なかでも「味吉」は従来の常識を覆している。顧客の中でも若者の層が多く一人当たりの平均単価が低めである旺角エリアであるにも関わらず、当店のラーメンの価格帯は一般的な香港のラーメンの価格帯より10~20香港ドル前後高い。価格の安さを追求するよりも、使われている商材の質の高さが消費者に安心感を与え多くの消費者に支持されるのであろう。

この飲食街は、多くの人々でにぎわい、店舗の前で座席の順番を待つ人々が行列を成す、活発で食欲旺盛な香港人の飲食の今を垣間見ることができる。そして、これらの飲食店が切磋琢磨し、ますますその味やオペレーションや技術を磨き、ワンランク上の飲食店に変貌していこうとするのがここ香港である。

(香港センター)