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  6. 急伸する韓国産食品・農林水産物 ‐ 高品質、低価格で消費者の信頼を獲得
日本産および日系企業現地生産品の小売りでの販売動向

ブランドづくりが重要に ‐ 日本メーカーと香港企業のタイアップでマーケットを狙う

2011年2月
分野:食品・農林水産物

「安全・安心・おいしい」の三拍子そろった日本産食品は、香港で徐々にマーケットを広げてきた。今や「ないものはない」というくらい日本産品は浸透している。しかし最近、品質の向上した割安の他国産品がローカルマーケットに幅広く見られるようになってきている。円高の影響がさらに拍車をかけ、日本のサプライヤーには厳しい状況が続く。

日本産食品・農林水産物を取り扱う香港の地元輸入卸業者に、日本産品で売り上げが伸びている商品と、他国産が伸びている商品について取材し、効果的なPR方法や日本の目指すべき方向などを探った。

安全・安心が売り上げを伸ばす

牛乳の売り上げが伸びている。香港では、LL牛乳が大半を占めており、現在、日本からは北海道、阿蘇など5~6種類程度が販売されている。LL牛乳は3~4年前、一気に市場に広がり、現在では、地元スーパー「パークンショップ」系の高級スーパーでも取り扱うようになった。特に北海道の商品が人気を呼んでいる。

LL牛乳の賞味期限は、2009年末にこれまでの60日から90日間に延長された結果、価格が下がり、2010年から売り上げが急拡大した。また、中国の粉ミルク汚染問題(メラミン混入問題)により、子供には安全なものを飲ませたいと思う家庭が、日本産を購入したことが売り上げ増に貢献した。

牛乳の輸入はライセンスが必要だが、味珍味香港有限公司は、この人気商品に着目し、1年以上前からライセンス取得の準備を始め、ようやく2010年10月に取得した。ライセンス取得のためには「製造工程の明確化」、「サンプルや日本での品質検査の提供」、「その検査結果が香港での検査でも一致するか」などさまざま審査過程があり、日本のメーカーとタイアップしなければ対応不可能なほど多くの書類の提出が求められる。さらに、同じ商品でも、パッケージや内容量が違う場合は新規ライセンス取得が必要である。ライセンス取得のハードルは決して低くはないが、今後も人気は継続するとの見込みもあって、同社はライセンスに取り組んだ。

香港の生乳の輸入検査は厳しい。日本から香港への輸送で約2週間。到着後は香港食物安全センターがサンプルを採取し、それから1週間後に成分検査を行う。生乳の場合は検査時点で賞味期限が切れてしまうため、香港で販売されている生乳はローカル製品がほとんどである。日本では、逆にほとんどが生乳で、LL牛乳を生産しているところは少ない。

牛乳に加えて、日本の卵も順調に売り上げを伸ばしており、同社の売り上げは前年比約13%増である。牛乳ほどにはローカル市場に浸透していないが、安全安心を前面に打ち出し、2010年11月末の鳥インフルエンザ発生前までは順調に売り上げを伸ばしていた。ただ、現在は在庫も底をついた状態であり、他国産にシェアを奪われる可能性がある。卵に限らないが、最近小売店では特に韓国産の棚の広がり方が大きく、一度奪われた棚を取り返すのは非常に難しいため、今後の迅速な対応策が急務である。

その他加工品で安定して売れているのは、飲料とカップめんである。同社の加工品の売り上げは前年比で約10%増加したという。理由として、1.日本のラーメンが徐々に香港市場に広がり、受け入れられるようになってきたこと、2.香港ではもともとインスタントめんにはなじみがあり、香港の家庭では必ず常備していること、3.日本のカップめんのパッケージデザインが人気を博していること、などをあげている。

高級飲食店が並ぶ「ランカイフォン」という地区にあるラーメン店「豚王」では、1日200杯限定で提供しているが、3時間待ちの人気である。また、「飲食男女」という当地の人気飲食専門誌でもラーメン特集が組まれるほど、日本のラーメン文化は浸透している。

しかし、カップ麺は現地製品と比較するとまだ大きな価格差がある。現地製品は約7香港ドル程度に対し、輸入カップ麺は17~25香港ドルとなっており、香港人にとって輸入カップめんは常食できない。例えば、カップルが試しに二人で1つ、時々購入する程度である。大衆化はかなり難しいといえよう。

シェアを広げる韓国産品

日本産いちごは人気商品だが、味珍味香港有限公司の売り上げによると、2009年で約23トン、2010年で約20トンと、円高の影響を受けて、販売量は低下している。一方、最近目立ってシェアを広げているのが韓国産である。品質も向上しており、日本産とそれほど遜色なく、加えて、ウォン安や政府支援も手伝って割安な価格帯で、ローカル小売店でも幅広く浸透している商品である。日本産ほどの糖度はないが、酸味が少なく、香港人に好まれる味である。「韓国産いちごが甘くなった」という評判も聞く。

2年ほど前から、韓国産きのこ類もシェアを拡大している。以前は日本産えのきやしいたけ、まいたけを、地元輸入業者が紹介し浸透させていったが、日本産の売れ行き状況を見た他国が追随し、最近では台湾産、韓国産が高品質、低価格を武器にシェアを奪っている。

日本産品、製品はパイオニア的存在であり、食品に限らず、電化製品もファッションも日本メーカーが市場開拓し、他国が追随するという流れが出来上がっている。巨峰や桃は日本産の品質がまだ著しく高いので安定して売れているが、韓国産は日本産のように安全安心感を与えており、品質もそれなりに高く価格が安いため、競争力が高くなっていると、同社副総経理のデニス・ウー氏は語る。

日本産と誤認される外国産品

菓子類の類似品は多数流通している。日本産と見えるように故意に日本語の表記にされているものが多いが、実際は韓国産や台湾産、中国本土産などである。日本語での表記により、安全安心感を演出する狙いがある。場合によっては、日本語の表記により価格も若干高く売れることもあると聞く。

米についても、中国産コシヒカリなど、パッケージを日本産に似せて日本語で表記されている。価格帯は全く違うが、日本産品を通常買わないような消費者は他国産と気づかず、日本産と思って購入していることもあるという。

その他、食品ではないがシャンプーや化粧品などの日用品についても、日本語表記されているものが多々ある。

ブランドづくりで攻勢を

今後、「マスマーケットを狙うためには、国を挙げてのブランド作りが必要」とデニス・ウー氏は語る。今のところ、日本は国内向け商品の海外販売という体制であるが、輸出向けにブランドを設定し、米国の「サンキスト」やニュージーランド産キウイフルーツの「ゼスプリ」などのように集中してプロモーションを行う必要がある。どうしたら香港市場のシェアを取れるか、価格はどう設定するのか、その中で品質はどう管理するのか。まずは売り込みたい市場を調査し、主力ブランドを1つ作り、その他の日本産食品も売りやすくする、ブランドを守りながら他商品も攻める、という体制を目指すべきだという。

また、効果的なPR方法として、食べ方、調理方法の提案が重要である。香港では日本食が定着しているとはいえ、日々の家庭料理に活用するほど浸透していない。例えば、みそ汁は誰でも知っているが、みそ自体の知識や使い方はよく知らず、購入しても、みそ汁作りだけでは消費しきれない。香港の家庭料理である蒸し魚や野菜炒めのたれ、味つけなど、日本のみその活用方法も説明しながら販売していくことも必要である。

「ないものはない」というほど日本産品が浸透している香港では、今後何が売れるかはわからない。同氏は日本のメーカーと手を結び、協力して香港市場に合った売り方で、その商品の地位を作り上げていきたいと考えている。

(香港センター)

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