ビジネス関連法

外商投資商業分野管理弁法について

2004年4月30日作成

中国での外資による小売・卸売等の商業分野への現法設立解放は多くの外国企業から待ち望まれていましたが、このたび、2004年4月16日付で商務部令2004−8号「外商投資商業分野管理弁法」が公布されました。内容は、一部の業種に未だ規制があるものの概ね以下のようです。

  1. 登録資本金は公司法の規定に基づく(注:公司法に規定されている最低資本金は小売業が30万元、卸売業が50万元)
  2. 営業範囲
    1. 小売業:商品小売、自社取扱商品の輸出入、その他関連業務
    2. 卸売業:商品卸売、コミッション代理、自社取扱商品の輸出入、その他関連業務
  3. 設立地域の制限
    1. 小売業:2004年12月11日以前は省・自治区の省都、直轄市、計画単列市、経済特区に限定。2004年12月11日以降は地域制限なし。
    2. 卸売業:2004年6月1日より地域制限なし。
  4. 2004年12月11日以降、外資独資企業の設立を許可
  5. 当該弁法は2004年6月1日より施行

外商投資商業分野管理弁法 中華人民共和国商務部令 「2004」第8号

「外商投資商業分野管理弁法」が中華人民共和国商務部第6回部会の審議を経て採択されたことを受け、ここに公布する。2004年6月1日より施行する。

部長 薄煕来
2004年4月16日

第1条 対外開放を更に拡大し、市場流通体系の建設を完全なものにするため、「中華人民共和国中外合資経営企業法」、「中華人民共和国中外合作経営企業法」、「中華人民共和国外資企業法」及び「公司法」等の法律、行政法規に基づき本弁法を制定する。

第2条 外国会社、企業及びその他の経済組織又は個人(以下「外国投資者」と略す。)が、中国国内に外商投資商業企業を設立し、経営活動に従事するときは、本弁法を遵守する。

第3条 外商投資商業企業とは、以下の経営活動に従事する外商投資企業を指す。

  1. コミッション代理:貨物の販売代理業者、仲買人又は競売人若しくはその他の卸売業者が契約に基づき他人の貨物の販売及びその関連付随サービス業務を行い費用を徴収する。
  2. 卸売:小売商及び工業、商業、機構等の利用者又はその他の卸売商に対する貨物の販売及びその関連付随サービス業務。
  3. 小売:固定の場所又はテレビ、電話、郵便、インターネット、自動販売機を通じた個人又は団体が消費使用する貨物の販売及びその関連付帯サービス業務。
  4. フランチャイズ:報酬又はフランチャイズ料を得るために契約締結を通じて他人にその商標、商号、経営モデル等を授与すること。
    外国会社、企業及びその他の経済組織又は個人は、中国国内に設立する外商投資企業を通じて前項(1)(2)(3)(4)に規定する経営活動に従事しなければならない。

第4条 外商投資商業企業は、中華人民共和国の法律、行政法規及び関連規則を遵守しなければならず、その正当な経営活動及び合法的な権益は中国の法律の保護を受ける。

第5条 国家商務主管部門は、法に依り外国企業の商業分野への投資及び外商投資商業企業の経営活動に対して監督管理を行う。

第6条 外商投資商業企業の外国投資者は、良好な信用を有し、中国の法律・行政法規及び関連規則に違反する行為があってはならない。比較的強い経済的実力、先進的商業経営管理の経験及び営業・販売技術、広範な国際販売網を持つ外国投資者の外商投資商業企業の設立を奨励する。

第7条 外商投資商業企業は、以下に列挙する条件に合致しなければならない。

  1. 最低登録資本は「公司法」の関連規定に合致すること。
  2. 外商投資企業の登録資本と総投資額の関連規定に合致すること。
  3. 外商投資商業企業の経営期限は一般に30年を超えず、中西部地区に設立する外商投資商 業企業の経営期限は一般に40年を超えないこと。

第8条 外商投資商業企業の店舗開設は、以下の条件に合致しなければならない。

  1. 商業企業の設立申請において同時に店舗開設を申請する場合は、都市発展及び都市 商業発展の関連規定に合致すること。
  2. 既に批准設立している外商投資商業企業が店舗の増設を申請する場合は、前項の要求に合致するほか、以下の条件に合致しなければならない。
    1. 外商投資企業の連合年検を規定どおり受け、かつ年検に合格していること。
    2. 企業の登録資本が全て払い込まれていること。

第9条 批准を経て、外商投資企業は以下に掲げる業務を経営することができる。

  1. 小売業務に従事する外商投資商業企業:
    1. 商品の小売
    2. 自営の商品輸入
    3. 国内産品の購入輸出
    4. その他の関連付帯業務
  2. 卸売業務に従事する外商投資商業企業:
    1. 商品の卸売
    2. コミッション代理(競売除く)
    3. 商品の輸出入
    4. その他の関連付帯業務

外商投資商業企業は、他人にフランチャイズ方式により店舗を開設させることができる。
外商投資商業企業は、許可を経て上記の一種類又は数種類の販売業務に従事することができ、その経営する商品の種類は契約、定款の関連経営範囲に明記しなければならない。

第10条 外商投資商業企業の設立と店舗開設は、以下に列挙する手続きにもとづいて処理する。

  1. 外商投資商業企業のプロジェクト立案、フィージビリティ・スタディ報告及び企業設立は同時に申請批准する。
  2. 本条第一項第3号、第4号に別定するものを除き、外商投資商業企業を設立する予定の投資者、店舗を開設する予定の外商投資商業企業は、外商投資商業企業の登記地の省級商務主管部門に対し第十二条及び第十三条に規定する申請文書をそれぞれ提出しなければならない。省級商務主管部門は、提出された文書を一次的に審査し、全必要申請文書を受理した日から1ヶ月以内に商務部に申請する。商務部は、全申請文書を受理した日から3ヵ月以内に批准の可否の決定を行い、設立を批准したものに対しては「外商投資企業批准証書」を発行し、不批准のものに対してはその原因を説明しなければならない。商務部は、本弁法にもとづいて省級商務主管部門に上記申請の審査・批准を授権させることができる。
  3. 小売業務に従事する外商投資商業企業が、その所在地の省級行政区域内に店舗を開設するとき、以下の条件に合致し、かつ経営範囲がテレビ・電話・郵便・インターネット・自動販売機による販売及び本弁法第17条、18条に列挙する商品に関わらない場合、当該省級商務主管部門がその権限内で審査・批准し、かつ商務部に報告する。
    1. 単一店舗の営業面積が3000平米を超えず、店舗数が3店を超えず、かつ、その外国投資者が設立する外商投資商業企業を通じて、中国に開設する店舗総数が30店を超えないこと。
    2. 単一店舗の営業面積が300平米を超えず、店舗数が30店を超えず、かつ、その外国投資者が設立する外商投資商業企業を通じて、中国に開設する店舗総数が300店を超えないこと。
  4. 中外合資・合作商業企業の商標・商号の所有者が内資企業、中国自然人であり、かつ、中国の投資者が外商投資企業でマジョリティを持ち、当該外商投資商業企業の経営範囲が本弁法第17条、18条に列挙する商品に関わらない場合、その設立及び店舗開設の申請は、企業所在地の省級商務主管部門がその権限内で審査・批准を行う。開設する店舗が省を跨ぐ場合は、開設予定の所在地の省級商務主管部門の意見を求めなければならない。 商務部の授権を経ていないときは、省級商務主管部門は自ら本条第1項第3号、第4号に規定する審査・批准権を行使してはならない。

第11条 投資者は、批准証書を受け取った日から1ヶ月以内に、「外商投資企業批准証書」により工商行政管理機関で登記手続を行わなければならない。

第12条 外商投資商業企業の設立申請には、以下に列挙する文書を提出しなければならない。

  1. 申請書
  2. 投資者各方が共同署名したフィーザビリティ・スタディ報告書
  3. 契約、定款(外資商業企業は定款のみ)及びその付属文書
  4. 投資者各方の銀行資本信用証明、登記登録証明(コピー)、法定代表者証明(コピー)、外国投資者が個人の場合は身分証明書を提出しなければならない。
  5. 投資者各方の会計事務所監査済み最近1年の会計監査報告
  6. 中国投資者の中外合資・合作商業企業に投入する予定の国有資産の評価報告書
  7. 設立予定の外商投資商業企業の輸出入商品目録
  8. 設立予定の外商投資商業企業の董事会構成員リスト及び投資者各方の董事委任状
  9. 工商行政管理部門が発行した企業名称事前批准通知書
  10. 開設予定の店舗が使用する土地使用権証明文書(コピー)および(或いは)建物賃貸借契約書(コピー)、但し開設する営業面積が3000平米以下の店舗を除く
  11. 開設予定店舗の所在地の政府商務主管部門が発行した都市発展及び都市商業発展の要求に合致する説明文書非法定代表者が文書に署名する場合は、法定代表者の委託授権書が必要。

第13条 既に設立している外商投資商業企業の店舗開設申請は、下記の書類を提出しなければならない。

  1. 申請書
  2. 契約書・定款を改定する場合は、改訂後の契約・定款
  3. 店舗開設に関するフィーザビリティ・スタディ報告書
  4. 店舗開設に関する董事会決議書
  5. 企業の最近1年の会計監査報告書
  6. 企業の出資検査報告書(コピー)
  7. 投資者各方の登記登録証明書(コピー)、法定代表者の証明書(コピー)
  8. 開設予定店舗の使用する土地の使用権証明文書(コピー)および(或いは)建物賃貸借契約書(コピー)、ただし、開設営業面積が3000平米以下の店舗を除く
  9. 開設予定店舗の所在地の政府商務主管部門が発行した都市発展及び都市商業発展の要求に合致する説明文書非法定代表者が文書に署名する場合は、法定代表者の委託授権書が必要。

第14条 外商投資商業企業が締結する商標・商号使用許諾契約、技術譲渡契約、管理契約、サービス契約等の法律文書は、契約書の添付書類(外資商業企業は定款添付書類)として契約書と共に提出しなければならない。

第15条 外商投資商業企業が店舗開設に使用する土地は、国家の土地管理関連の法律、行政法規の規定にもとづき、公開入札、競売、価格表示付公開取引等の方式で商業用地を取得しなければならない。

第16条 外商投資商業企業が国家の特殊規定商品及び割当、許可管理に関わる商品の輸出入取扱いは、国家の関連規定に基づいて手続きを行わなければならない。

第17条 外商投資商業企業の以下に列挙する商品の取り扱いは、本弁法の規定に合致するほか、以下に掲げる規定に合致しなければならない。

  1. 外商投資企業が図書・新聞・定期刊行物を取扱うときは「外商投資図書・新聞・定期刊行物流通企業管理弁法」に合致しなければならない。
  2. 外商投資商業企業がガソリンスタンドを経営し、石油製品の小売に従事するときは、安定した石油製品供給源を持ち、当地のガソリンスタンド建設計画に合致し、経営する施設は現行の国家標準と計量検定規格の規定に合致し、消防、環境保護等の要求に合致しなければならない。具体実施弁法は商務部が別途定める。
  3. 外商投資商業企業が薬品を取扱うときは、国家の薬品販売関連の管理規定に合致しなければならない。具体実施弁法は商務部が別途定める。
  4. 外商投資商業企業が自動車の経営をするときは、許可された経営範囲内で経営しなければならない。具体実施弁法は商務部が別に定める。
  5. 本弁法第十八条及び本条に別に定めるものを除き、外商投資が設立する農業副産品・農業生産資材商業企業は、地域、持分比率、投資金額の制限を受けない。
  6. 卸売に従事する外商投資商業企業は、2004年12月11日以前は薬品、農薬、農業用フィルムを取扱ってはならない。2006年12月11日以前は化学肥料、石油製品、原油の経営をしてはならない。
  7. 小売に従事する外商投資商業企業は、2004年12月11日以前は薬品、農薬、農業用フィルム、石油製品を取扱ってはならない。2006年12月11日以前は化学肥料を経営してはならない。
  8. 卸売に従事する外商投資商業企業は塩、タバコを経営してはならず、小売に従事する外商投資商業企業はタバコを経営してはならない。

第18条 同一の外国投資者より国内で開設した店舗が合計30店を超え、取扱商品が図書、新聞、雑誌、自動車(2006年12月11日から本制限を取消す)、薬品、農薬、農業用フィルム、石油製品、食糧、植物油、食用砂糖、綿花等の商品を含み、かつ上記の商品が異なる銘柄で、異なる供給業者からのものである場合、外国投資者の出資比率は49%を超えてはならない。

第19条 外商投資商業企業が他人にフランチャイズ経営方式で店舗を開設する権利を授与する場合は、本弁法の規定を遵守するほか、国家のフランチャイズ活動に対する別途規定があれば、その規定を遵守しなければならない。

第20条 外商投資商業企業が競売業務を経営するときは、「競売法」、「文物法」等の関連法律に合致しなければならず、商務部が審査・批准を行う。具体実施弁法は別途定める。

第21条 2004年12月11日から、外資商業企業を設立することを許可する。

第22条 小売に従事する外商投資商業企業及びその店舗設立地域は、2004年12月11日までは省・自治区の省都、直轄市、計画単列市及び経済特区に限定する。2004年12月11日以後は地域制限を取消す。卸売に従事する外商投資商業企業は、本弁法の実施の日から地域制限を取消す。

第23条 外商投資企業が国内で商業分野に投資するときは、「外商投資企業国内投資に関する暫定規定」に合致し、かつ本弁法を参照して処理しなければならない。

第24条 外商投資商業企業以外のその他の外商投資企業が本弁法第3条に列挙する経営活動に従事するときは、本弁法の規定に合致しなければならず、かつ、法により相応の経営範囲を変更しなければならない。

第25条 香港特別行政区、マカオ特別行政区の投資者、台湾地区の投資者は中国のその他の省、自治区、直轄市での商業企業を設立する場合、下記の規定を除き、本弁法に照らして執行する。

  1. 2004年1月1日から、香港、マカオの商業サービス提供者は、内地に外資商業企業を設立することができる。
  2. 香港、マカオの商業サービス提供者が内地に設立する小売企業の地域範囲は、地級市まで拡大し、広東省では県級市まで拡大する。
  3. 2004年1月1日から、香港・マカオの商業サービス提供者は、本弁法の関連条項により地に自動車小売業務に従事する商業企業の設立を申請することができる。ただし、申請前3年間の年平均売上高が1億米ドルを下回ってはならず、申請前1年の資産額が1000万米ドルを下回ってはならない。内地に設立する自動車小売企業の登録資本金の最低限度額は1000万人民元とし、中西部地区に設立する自動車小売企業の登録資本金の最低限度額は600万人民元とする。
  4. 香港・マカオの永住性住民としての中国公民は、内地の関連法律、法規及び規則により個体工商戸を設立し、商業小売活動(フランチャイズを除く)に従事することを許可する。その営業面積は300平米を超えてはならない。
  5. 本条に規定する香港、マカオの商業サービス提供者は、それぞれ[中国本土と香港の経済貿易関係緊密化協定]と[中国本土とマカオの経済貿易関係緊密化協定]の「サービス提供者」の定義及び関連規定の要求に合致しなければならない。

第26条 外商投資商業企業が関連業種の協会に加入し、企業の自律を強化することを奨励する。

第27条 本弁法は商務部が解釈の責任を負う。

第28条 本弁法は2004年6月1日から施行する。

第29条 前国家経済貿易委員会と対外貿易経済合作部が共同で発布した「外商投資商業企業試点弁法」は、本弁法の施行の日をもって廃止する。

以上

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