中国の貿易投資年報

要旨・ポイント

  • 2023年の実質GDP成長率は5.2%、政府目標を上回った。
  • 貿易額は輸出入ともに減少。自動車輸出はロシア向けを筆頭に好調。
  • 対内直接投資は大幅に減少。
  • 日中貿易、日本の対中投資(日本の財務省統計)はいずれも減少した。

公開日:2024年10月11日

マクロ経済 
実質GDP成長率目標を達成

国家統計局によると2023年の名目GDPは126兆582億元、実質GDP成長率は前年比5.2%で、政府目標の「5%前後」を上回った。支出面からみると、民間最終消費支出が4.3%、国内総固定資本形成が1.5%とプラスだった一方、財貨・サービスの純輸出は0.6%のマイナスだった。産業別の成長率は飲食・宿泊業が14.5%、情報通信・ソフトウエア・情報技術サービス業が11.9%、リース・ビジネスサービス業が9.3%、交通運輸・倉庫・郵便が8.0%、建築業が7.1%、金融業が6.8%、卸・小売業が6.2%と高い伸びを示した。一方で工業は4.2%にとどまったほか、不動産業は1.3%のマイナスとなった。不動産業は2年連続でマイナス成長となり、回復の遅れが目立っている。

実質GDP成長率は2019年には6.0%と、前年から0.7ポイント減1)となり減速感が強まっていた。さらに2020年には新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ感染)拡大の影響により2.2%に大きく減速した。2021年には反動増もあり8.4%と高い伸びを示したものの、2022年は新型コロナ感染が再拡大し、上海市をはじめとする多くの地域での都市封鎖(ロックダウン)実施で、厳しい行動制限が課されたことなどもあり、3.0%成長にとどまった。

2023年は新型コロナ感染拡大の収束によるペントアップ需要が期待されたが、消費は十分に回復しなかった。投資はインフラ投資を中心に下支えした。

新型コロナ感染拡大収束後の景気回復に向けて、中国政府は各種の刺激策を実施した。金融面では、2023年6月20日に最優遇貸出金利の指標であるローンプライムレート(以下、LPR)の期間5年以上2)を4.30%から4.20%に、期間1年を3.65%から3.55%に、それぞれ0.10ポイント引き下げた。また、8月21日にはLPRの期間1年を3.55%から3.45%に0.10ポイント引き下げた。さらに、6月13日には7日物リバースレポとSLF3)、6月15日にMLF4)をそれぞれ0.10ポイント引き下げている。

財政面では、小規模納税人5)に対する増値税の減免、社会保険料の納付猶予、新エネルギー車に対する自動車購入税の減免継続などを行った。また、10月には1兆元(約21兆円、1元=約21円)の特別国債発行を決議し、資⾦は2023年、2024年に分けてそれぞれ5,000億元を災害復旧や⽔害防⽌など防災関連プロジェクトに使⽤するとした。

その他、不動産市場の需要喚起に向け、8月に住宅購入にあたっての頭金比率の下限引き下げやローン借り入れ制限の緩和、既存の1軒目向け住宅ローンの現行の金利水準での借り換え推進策を発表した。これを受けて、全国各都市で住宅購入制限(購入資格審査など)の撤廃が進んだ。また、2022年10月に開始した住宅買い替えにかかる個人所得税還付も2025年末まで延長された。

民間企業の発展や外資企業誘致に向けての各種取り組みも行われた。8月13日には国務院が「外商投資環境のさらなる最適化と外商投資誘致の強化に関する意⾒」(国発〔2023〕11号)」を発表し、各省・自治区・直轄市などに対して、外国人投資に関する環境改善や誘致強化を促した。9月4日には国家発展改革委員会は同委員会内に「民間経済発展局」を設立すると発表。民間経済の発展に向けて各政府部門の協調を強化するとした。

1)
減速幅は2012年の前年比1.7ポイント減以来の大きさとなった。
2)
期間5年以上のLPRは住宅ローンなど中長期融資の基準になる。
3)
常設貸出ファシリティー(SLF)を指す。中国人民銀行(以下、中銀)が資金供給を行うための金融政策手段の1つ。6月13日の引き下げにより、翌日物が2.75%、7日物が2.90%、1カ月物が3.25%となった。
4)
中期貸出ファシリティー(MLF)を指す。中銀が資金供給を行うための金融政策手段の1つ。MLFはLPRを算出する指針となる。6月15日の引き下げにより2.65%となった。
5)
増値税(付加価値税)の対象となる年間売上額が500万元以下などの条件を満たす納税主体。
表1 中国の需要項目別実質GDP成長率(単位:%)(△はマイナス値)
項目 2021年 2022年 2023年 2024年
Q1
実質GDP成長率 8.4 3.0 5.2 5.3
階層レベル2の項目民間最終消費支出 4.9 1.2 4.3
階層レベル2の項目国内総固定資本形成 1.7 1.4 1.5
階層レベル2の項目財貨・サービスの純輸出 1.9 0.4 △ 0.6

〔注〕四半期の伸び率は前年同期比。
〔出所〕「中国統計摘要2024」および中国国家統計局発表から作成。

インフラ投資が下支え、不動産は不調が続く

2023年の経済指標を項目別にみると、固定資産投資(農家による投資は含まず)は前年比3.0%増(前年は5.1%増)の50兆3,036億元だった。民間投資は0.4%減(0.9%増)の25兆3,544億元と、伸び率が確認できる2013年以降6)で初めて前年比減となった。インフラ投資は5.9%増(9.4%増)と減速したものの比較的高い伸びを維持した。不動産開発投資は9.6%減(10.0%減)の11兆913億元と、2年連続でマイナスだった。

消費(社会消費品小売総額)は名目で前年比7.2%増の47兆1,495億元と、前年(0.2%減)のマイナスから転じてプラスとなった。業種別にみると、都市ロックダウンをはじめとする行動規制が解除された効果もあり、飲食業収入が20.4%と大幅に増加(6.3%減)した。商品小売額は5.8%増と前年(0.5%増)に続き増加を維持した。インターネット小売額(実物商品)は8.4%増となり、消費の27.6%を占めた。

営業収入が500万元以上の企業の商品小売額をみると、全体の約1割強を占める自動車関連が前年比5.9%増と堅調だった。2023年の中国の自動車販売台数は前年比12.0%増の3,009万4,000台と、初めて3,000万台を超えた。新エネルギー車(NEV)の販売台数は、37.9%増の949万5,000台と、前年(93.4%増)から減速したものの高い伸びを維持し、販売台数全体の31.6%を占めた。NEVのうち、バッテリー式電気自動車(BEV)が24.6%増の668万5,000台、プラグインハイブリッド車(PHEV)が84.7%増の280万4,000台だった。

その他、石油・石油製品が前年比6.6%増、食料・油・食品が5.2%増、アパレル・靴・帽子・紡織品が12.9%増と堅調だった。一方で、不動産業と関連性の強い建築・装飾材料が7.8%減、オフィスに関係する文化・事務用品が6.1%減だった。

住宅(商品住宅)販売面積は前年比8.2%減(前年26.8%減)、同販売額は6.0%減(28.3%減)、同在庫面積は22.2%増(18.4%増)と、前述の支援策にもかかわらず引き続き停滞した。

生産活動は、工業生産増加額(付加価値ベース)は前年比4.2%増(前年は3.4%増)の39兆9,103億元となった。製品別の生産量では、太陽光発電用ウルトラクリアガラスが58.6%増、充電スタンドが36.9%増、鋼材が5.2%増、非鉄金属が7.1%増、集積回路が6.9%増、移動通信機器が6.9%増となった。一方で、工業用ロボットは2.2%減、小型計算機設備は17.4%減だった。工業企業の12月末時点の赤字率は21.6%と前年末と比べ1.4ポイント増加した。利益総額は2.3%減となり、前年(4.0%減)に続き減少した。物価は通年の消費者物価指数(CPI)が0.2%上昇、生産者物価指数(PPI)が3.0%下落となった。CPIは2009年(0.7%下落)以来の低い伸びとなった。PPIは2015年(5.2%下落)以来の弱さだった。

2023年の雇用は全体としては持ち直した。都市部新規就業者数は1,244万人増(政府目標は1,200万人以上)と前年から38万人増加し、年末の都市調査失業率は5.1%(前年末から0.4ポイント減)と改善した。一方、16~24歳人口の失業率は6月に21.3%と過去最高を更新したのち、発表が中断された。その後、12月に在校生を除く16~24歳の失業率として新たな定義で発表が再開され、14.9%と大幅に低下した数字が示された。

2023年末時点の人口は14億967万人で、前年から208万人減少した。人口は2年連続で減少し、高齢化率(65歳以上の占める割合)は15.4%となった。

6)
国家統計局の統計データベースによる。

2024年の実質GDP成長率目標は5%前後と変わらず

2024年3月に開催された第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議において、同年の実質GDP成長率目標は前年に続き5%前後に設定された。李強(リー・チャン)首相は「政府活動報告」において、2024年の重点として

  1. 現代化産業体系の構築を大いに推し進め、新たな質の生産力7)の発展を加速させる
  2. 科学教育興国戦略を踏み込んで実施し、質の高い発展を支える基盤を固める
  3. 内需拡大に力を入れ、経済の好循環の実現を推進する
  4. 改革を揺るぎなく深化させ、発展の内生的原動力を強化する
  5. ハイレベルの対外開放を拡大し、互恵ウィンウィンを促進する
  6. 発展と安全保障をよりよく両立させ、重点分野のリスクを効果的に防止・解消する
  7. 弛(ゆる)むことなく「三農」活動に取り組み、農村の全面的振興を着実に推進する
  8. 都市・農村の融合発展と地域間の調和発展を促し、経済立地の適正化に力を注ぐ
  9. 生態文明建設を強化し、グリーン・低炭素化を推進する
  10. 民生を確実に守り改善し、ソーシャル・ガバナンスを強化・刷新する

という10項目を挙げた。外資誘致については、5で製造業の外資参入制限を撤廃し、電信、医療などのサービス業での参入規制を緩和するとしている。また、外資系企業の内国民待遇の徹底や、法律に基づいた政府調達、入札、標準作成への平等な参加を保証するとした。

2024年の四半期別の成長率をみると第1四半期は前年同期比5.3%(前期比1.6%)となった。業種別の成長率は、工業が6.0%、卸・小売業が6.0%と堅調だった一方、金融業は5.2%と平均を下回った。また、不動産業は5.4%のマイナスとなった。

7)
中国中央電視台(CCTV)の解説では、技術の革命的なブレイクスルー、生産要素のイノベーティブな配置、産業の深い転換・レベルアップにより生み出される先進生産力とされる。2023年9月11日の人民網日本語版では「従来型の生産力とは異なり、新たな分野に及び、技術水準が高いものであり、イノベーション主導であることがそのカギとなる」とされている。

貿易 
輸出入ともに減少

2023年の貿易総額は前年比5.0%減の5兆9,368億ドルとなり、4年ぶりに減少した。うち、輸出が4.6%減の3兆3,800億ドル、輸入が5.5%減の2兆5,568億ドルといずれも前年比減となった。

国・地域別の金額上位をみると、輸出は(1)ASEAN(構成比15.5%)、(2)EU27(14.8%)、(3)米国(14.8%)、(4)香港(8.1%)、(5)日本(4.7%)、輸入は(1)ASEAN(15.2%)、(2)EU27(11.0%)、(3)台湾(7.8%)、(4)米国(6.4%)、(5)韓国(6.3%)だった。

品目別にみると、輸出は金額全体の4割強を占める機械類および電気機器が前年比5.6%減となったほか、紡織用繊維およびその製品が7.8%減、卑金属およびその製品が8.7%減、化学工業品が19.8%減、プラスチックおよびゴム製品が3.8%減となるなど幅広い品目で減少した。一方で、自動車輸出の増加を背景に、車両、航空機、船舶は22.4%増となった。輸入は約3割を占める鉱物性生産品が0.2%減となったほか、3割弱を占める機械類および電気機器が11.4%減と前年に続き減少した。

製品別の輸出では、金額で携帯電話は2.7%減、自動データ処理設備は22.2%減(うちノートPCは21.8%減、タブレット端末は24.2%減)となった。集積回路は数量では1.8%減にとどまったが、金額は10.1%減となった。輸出価格の高騰を受けてリチウムイオンバッテリーは27.8%増となった。フラットパネルディスプレイモジュールは数量で5.9%増、金額で4.4%増といずれも増加した。同製品は輸出入ともにベトナムとの貿易額が急増しており、サプライチェーンの分散や中国からの生産移転の影響が考えられる。

自動車(シャーシ含む)は数量で前年比57.4%増、金額で69.0%増となった。輸出台数は522万台で世界一となった。自動車はロシア向けが急増し全体を押し上げた。NEV需要の増加を受けて、BEVも64.1%増の154万5,832台と高い伸びを示した。

輸入金額では、集積回路は前年比15.4%減、自動データ処理設備およびその部品が10.7%減、フラットパネルディスプレイモジュールが5.7%減、一般機械設備が4.5%減だった。中国での非新エネルギー車販売の伸び悩みや在中外資系自動車メーカーの販売不振もあってか、自動車部品が12.1%減少した。半導体製造設備は数量では24.9%減だったが、金額では21.5%増だった。

中国は2023年8月24日から日本産水産物の輸入を停止したが、水産品は数量で前年比10.6%増、金額は0.3%減だった。天然ガスは数量で9.9%増、原油は11.0%増となったが、国際価格の下落などもあり、いずれも金額は減少している。

また、数量で食糧が前年比11.7%増、食用油が43.3%増と大きく増加した。中国は2023年12月に食糧安全保障法を公布(2024年6月1日施行)し、食糧備蓄制度を整えるとともに、「適度」な輸入を行うとしている。

表2-1 中国の主要国・地域別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2022年 2023年 2022 年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
アジア・大洋州 1,488,465 1,372,589 40.6 △ 7.8 1,213,707 1,110,700 43.4 △ 8.5
階層レベル2の項目日本 172,927 157,524 4.7 △ 8.4 184,497 160,475 6.3 △ 12.9
階層レベル2の項目韓国 162,621 148,987 4.4 △ 7.2 199,667 161,750 6.3 △ 18.7
階層レベル2の項目香港 297,538 274,554 8.1 △ 6.3 7,846 13,671 0.5 76.4
階層レベル2の項目台湾 81,587 68,486 2.0 △ 16.0 238,092 199,350 7.8 △ 15.4
階層レベル2の項目ASEAN 567,287 523,674 15.5 △ 5.0 408,054 388,044 15.2 △ 4.8
階層レベル3の項目ベトナム 146,960 137,612 4.1 △ 3.7 87,961 92,182 3.6 4.8
階層レベル3の項目マレーシア 93,711 87,383 2.6 △ 3.9 109,879 102,861 4.0 △ 6.3
階層レベル3の項目インドネシア 71,318 65,200 1.9 △ 7.3 77,770 74,215 2.9 △ 4.7
階層レベル3の項目タイ 78,480 75,736 2.2 △ 0.9 56,518 50,544 2.0 △ 10.6
階層レベル3の項目シンガポール 81,168 76,964 2.3 △ 1.1 33,958 31,430 1.2 △ 6.0
階層レベル3の項目フィリピン 64,679 52,413 1.6 △ 16.3 23,046 19,496 0.8 △ 15.3
階層レベル2の項目インド 118,502 117,681 3.5 0.8 17,483 18,537 0.7 6.0
階層レベル2の項目オーストラリア 78,827 73,811 2.2 △ 5.3 142,091 155,385 6.1 9.3
ロシア 76,123 110,972 3.3 46.9 144,149 129,139 5.1 12.7
欧州 744,904 712,266 21.1 △ 3.3 488,999 498,333 19.5 2.4
階層レベル2の項目EU27 561,970 501,233 14.8 △ 10.2 285,355 281,753 11.0 △ 0.9
階層レベル3の項目ドイツ 116,227 100,570 3.0 △ 13.0 111,399 106,212 4.2 △ 4.2
階層レベル2の項目英国 81,545 77,916 2.3 △ 3.4 21,822 20,060 0.8 △ 7.9
北米 635,577 545,454 16.1 △ 13.2 220,395 208,451 8.2 △ 4.7
階層レベル2の項目米国 581,783 500,291 14.8 △ 13.1 177,644 164,160 6.4 △ 6.8
アフリカ 164,491 172,782 5.1 7.5 117,510 109,312 4.3 △ 6.7
中南米 252,975 245,066 7.3 △ 2.4 232,815 243,982 9.5 4.9
階層レベル2の項目ブラジル 61,970 59,108 1.7 △ 4.3 109,522 122,421 4.8 11.9
合計(その他含む) 3,593,601 3,380,024 100.0 △ 4.6 2,715,999 2,556,802 100.0 △ 5.5

〔注1〕アジア・大洋州は、ASEAN+5(日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
〔注2〕「アジア・大洋洲」の伸び率はジェトロ算出。その以外の伸び率は手入力で海関総署発表と一致している。
〔出所〕2022年は「中国海関統計」(2022年12月号)、2023年は「中国海関統計」(2023年12月号)

表2-2 中国の主要品目別輸出入[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 輸出(FOB) 輸入(CIF)
2022年 2023年 2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率 金額 金額 構成比 伸び率
動物(生きているもの)および動物性生産品 16,482 14,416 0.4 △ 12.5 61,459 55,333 2.2 △ 9.9
植物性生産品 28,372 29,046 0.9 2.7 113,628 116,490 4.6 3.5
動物性・植物性の油脂およびその分解生産物 3,604 3,497 0.1 △ 2.8 15,349 15,195 0.6 △ 1.0
調製食料品、飲料、酒 47,326 49,796 1.5 5.5 33,596 36,147 1.4 7.8
鉱物性生産品 72,598 68,343 2.0 △ 5.4 776,692 774,939 30.3 △ 0.2
化学工業品 246,639 196,851 5.8 △ 19.8 198,606 184,256 7.2 △ 7.2
階層レベル2の項目有機化学品 101,887 77,933 2.3 △ 23.3 58,074 48,596 1.9 △ 16.3
階層レベル2の項目薬品 14,005 11,293 0.3 △ 19.2 39,909 43,097 1.7 8.1
プラスチックおよびゴム製品 175,002 165,285 4.9 △ 3.8 93,742 78,542 3.1 △ 16.2
皮革および毛皮製品、ハンドバッグ 41,740 40,695 1.2 0.5 9,738 10,225 0.4 5.1
木材およびその製品 20,219 17,321 0.5 △ 13.3 22,252 18,100 0.7 △ 18.7
木材パルプ、紙パルプ製品 36,400 33,409 1.0 △ 5.7 31,731 32,829 1.3 3.5
紡織用繊維およびその製品 319,696 291,257 8.6 △ 7.8 31,448 29,875 1.2 △ 5.0
靴、帽子、傘、つえ 84,971 72,796 2.2 △ 12.4 7,495 7,824 0.3 4.5
石、陶磁、ガラス製品 74,704 64,543 1.9 △ 10.0 11,062 9,478 0.4 △ 14.3
真珠、貴石、貴金属製品 30,097 31,328 0.9 5.4 103,701 114,006 4.5 10.2
卑金属およびその製品 302,151 268,267 7.9 △ 8.7 160,421 142,958 5.6 △ 10.8
階層レベル2の項目鉄鋼製品 110,313 97,252 2.9 △ 8.9 9,477 8,809 0.3 △ 7.0
機械類および電気機器 1,506,735 1,407,464 41.6 △ 5.6 846,838 745,972 29.2 △ 11.4
階層レベル2の項目電気機器およびその部品 954,784 896,677 26.5 △ 4.8 644,692 548,760 21.5 △ 14.3
車両、航空機、船舶 200,649 242,949 7.2 22.4 93,997 83,059 3.2 △ 10.3
階層レベル2の項目車両およびその部品 150,235 192,525 5.7 29.1 80,816 70,679 2.8 △ 12.4
階層レベル2の項目航空機およびその部品 5,565 6,811 0.2 46.2 10,953 11,277 0.4 10.6
精密機器、医療用機器、時計および楽器 77,268 76,450 2.3 0.7 86,982 82,732 3.2 △ 4.0
武器および銃砲弾ならびにこれらの部分品 271 208 0.0 △ 23.2 4 14 0.0 251.7
雑品 261,058 237,518 7.0 △ 6.2 7,246 6,327 0.2 △ 12.5
美術品、収集品および骨董、その他 1,694 1,160 0.0 21.3 2,233 1,613 0.1 △ 9.2
特殊貿易品目 45,927 67,426 2.0 35.3 7,779 10,888 0.4 40.0
合計 3,593,601 3,380,024 100.0 △ 4.6 2,715,999 2,556,802 100.0 △ 5.5

〔注〕HSコードの大分類「部(Section)」による分類
〔出所〕2022年は「中国海関統計」(2022年12月号)、2023年は「中国海関統計」(2023年12月号)

通商政策 
RCEP協定の活用企業が増加

中国は2023年5月にエクアドルと、同年10月にはセルビアとの自由貿易協定(FTA)に署名。FTA発効(予定を含む)対象国・地域は33となった(2024年5月時点)。

2022年1月1日に発効した「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」は、2023年1月にはインドネシア、同年6月にはフィリピンについても発効し、利用が進んだ。商務部によれば、同年のRCEP加盟国への輸出額は前年比16.6%増(人民元ベース)と大きく増加した。中国企業について、輸入ではプラスチック製品、機械器具およびその部品、有機化学品などを中心にRCEPの枠組みのもと23億6,000万元が減税された。

ジェトロの「2023年度海外進出日系企業実態調査(中国編)」(以下、「日系企業実態調査」)では、FTA・EPA・一般特恵関税制度(GSP)の利用対象となる企業のうち、RCEPを「利用している」と回答した企業は36.3%だった。うち、製造業の大企業は46.6%が利用していると回答した。利用していると回答した企業のうち、約7割が輸入で、約5割が輸出で利用している。

2023年の日本における第一種特定原産地証明書の発給件数をみると、RCEPは前年比52.5%増の13万7,199件で、対象となる協定で1位となり、2位の日本・タイ経済連携協定の8万7,202件を大幅に上回った。2024年1~3月も前年同月比21.5%増の3万6,099件となっており、引き続き活発な利用が期待できる。

表3 中国のFTA進捗状況(2024年5月時点)
FTA 対象国・地域
発効(含む予定) 香港
マカオ
台湾
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定 〔注1〕
ASEAN(グレードアップ) 〔注2〕
パキスタン(第2段階)
チリ(グレードアップ)
ニュージーランド(グレードアップ)
ペルー
シンガポール(グレードアップ)
コスタリカ
アイスランド
スイス
韓国
オーストラリア
ジョージア
モルディブ
モーリシャス
カンボジア
APTA〔注3〕
エクアドル
ニカラグア
セルビア
合計(33カ国・地域)
交渉中 湾岸協力会議(GCC)〔注4〕
日本、韓国
スリランカ
ノルウェー
イスラエル
モルドバ
パナマ
韓国(第2段階)
パレスチナ
ペルー(グレードアップ)
ホンジュラス
共同研究 コロンビア
ネパール
フィジー
パプアニューギニア
カナダ
バングラデシュ
スイス(グレードアップ)
モンゴル

〔注1〕加盟国は、中国、ASEAN、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの15カ国。
〔注2〕原加盟国は、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ブルネイ、フィリピンの6カ国。
新規加盟国は、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの4カ国。
〔注3〕加盟国は、中国、韓国、バングラデシュ、インド、ラオス、スリランカ、モンゴルの7カ国。
〔注4〕加盟国は、サウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーンの6カ国。
〔出所〕商務部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなど

対内直接投資 
対内直接投資は2桁減

2023年の対内直接投資額(実際使用外商直接投資金額)は、前年比13.6%減の1,632億5,000万ドルで、過去最高となった前年から大きく減少した。業種別(元建て)8)では製造業が1.8%減の3,179億元、リース・ビジネスサービス業が15.4%減の1,819億元、情報通信・ソフトウエア・情報技術サービス業が26.7%減の1,134億元、不動産業が11.4%減の810億元、卸売・小売業が28.2%減の690億元と幅広く減少した。

投資元の国・地域別にみると、投資金額の約7割を占める香港が前年比19.0%減となったほか、シンガポールが7.6%減、韓国が47.0%減、日本が15.2%減、ドイツが26.9%減と大きく減少した。一方で、米国は54.6%増、英国は約2.1倍、フランスが62.5%増となった。

なお、国際収支統計における対内直接投資額(直接投資負債額、フロー)は前年比77.5%減の427億ドル9)と大幅に減少した。2021年に過去最高の3,441億ドルを記録したものの、2022年から2年連続で大幅に減少し、2000年(384億ドル)以来の低水準となった。

こうした中、外資に対する参入規制緩和が進んでいる。2023年1月18日に中国商務部と科学技術部は「外資による研究開発センター設立をさらに奨励する若干の措置」を発表した。外資系の研究開発センターを中国の科学技術イノベーションシステムを構成する重要な一部と位置付けた上で(1)科学技術イノベーションの支援、(2)研究開発の利便性の向上、(3)海外人材誘致の奨励、(4)知的財産権保護水準の引き上げについて中央・地方政府各部門が行うべき16項目の取り組みと分担を示した。

2023年6月29日に国務院は「条件を満たす自由貿易試験区や自由貿易港の試験地域で国際的な高水準と接続し、制度型の開放を推進する若干の措置」を公布した。上海市、広東省、天津市、福建省、北京市の5つの自由貿易試験区と海南自由貿易港において、物品貿易、サービス貿易、ビジネス関係者の入境、デジタル貿易、ビジネス環境、リスクの防止管理の6分野で、国際的に高水準な試験的措置を実施する。

2023年8月13日に国務院は「外商投資環境のさらなる最適化と外商投資誘致の強化に関する意見(国発〔2023〕第11号)」を発表した。(1)外資誘致の質の向上、(2)外資系企業への内国民待遇の保障、(3)外国人投資保護の継続的強化、(4)投資運営円滑化レベルの向上、(5)財政・税制支援の強化、(6)外国人投資促進方法の改善の6分野について、24項目の措置が盛り込まれた。

2023年8月29日、中国財政部と国家税務総局は「外国籍個人の補助・手当の個人所得税政策の延長実施に関する公告(財政部・税務総局公告〔2023年〕第29号)」を公布した。2019年1月1日の個人所得税法の改正以来、2回目の延長となった。外国籍個人が居住者の条件を満たせば、個人所得税の特定付加控除を適用するか、または関連規定に基づく住宅手当、言語訓練費、子女教育費などの手当に対する免税を享受するかを選択できる。

8)
業種別は元建てのみ発表。元建ての対内直接投資額は前年比8.0%減の1兆1,339億元。
9)
2024年6月28日発表データ。
表4-1 中国への国・地域別対内直接投資[実行ベース](単位:億ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 対内直接投資
2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
香港 1,372 1,112 68.1 △ 19.0
シンガポール 106 98 6.0 △ 7.6
英領バージン諸島 66 69 4.2 4.6
日本 46 39 2.4 △ 15.2
韓国 66 35 2.1 △ 47.0
英領ケイマン諸島 24 35 2.1 45.8
英国 16 34 2.1 112.5
米国 22 34 2.1 54.6
ドイツ 26 19 1.2 △ 26.9
フランス 8 13 0.8 62.5
台湾 7 7 0.4 0.0
合計(その他含む) 1,891 1,633 100.0 △ 13.6

〔出所〕国家統計局「2024年中国統計摘要」

表4-2 中国の業種別対内直接投資[実行ベース](単位:億元、%)(△はマイナス値)
業種 対内直接投資
2022年 2023年
金額 金額 構成比 伸び率
製造業 3,237 3,179 28.0 △ 1.8
リース・ビジネスサービス業 2,148 1,819 16.0 △ 15.4
情報通信・ソフトウエア・情報技術サービス業 1,548 1,134 10.0 △ 26.7
不動産 914 810 7.1 △ 11.4
卸売・小売業 961 690 6.1 △ 28.2
エネルギー・水生産・供給業 276 319 2.8 15.6
交通運輸・倉庫・郵政業 347 149 1.3 △ 57.2
農林畜水産業 80 51 0.4 △ 36.8
住民サービス・修理業・その他サービス業 19 34 0.3 77.7
合計(その他含む) 12,327 11,339 100.0 △ 8.0

〔出所〕国家統計局「国民経済と社会発展統計公報」(2022年および2023年)

表4-3 外資系企業の主な対中直接投資案件(2023年)
業種 企業名 国籍 時期 投資額 概要
自動車関連 ロバート・ボッシュ(Robert Bosch) ドイツ 2023年1月 約10億ドル 自動車部品大手のロバート・ボッシュは2023年1月、江蘇省蘇州市に研究開発・製造拠点を新設すると発表した。主に、商用車の電動化に必要な新世代炭化ケイ素(SiC)パワーモジュールユニットを搭載した電気駆動製品、新世代のインテリジェント統合ブレーキシステムIPB2.0、ハイレベルなインテリジェント・ドライビング・ソリューションを含む自動運転のコア技術の研究開発と生産に注力する。
ニデック 日本 2023年2月 n.a. ニデックは遼寧省大連市金普新区の「中日生態示範新城(中日エコシティ)」に同社子会社のニデックモータ(大連)(NIDEC MOTOR(大連))の工場を新設したと発表した。新工場では電子機械ブレーキ用モータ、電子ポンプ等を中心とした車載用モータを製造するほか、将来的にはトラクションモータシステム「E-Axle」を量産する予定。また、同拠点にはR&Dセンターも開設しており、今後1,000人規模に拡大する予定。
テスラ(Tesla) 米国 2023年4月 14億5,000万元 電気自動車(EV)大手のテスラ(Tesla)は2023年4月、上海自由貿易試験区の臨港新エリア管理委員会と大型蓄電システム「メガパック」の生産拠点を新設する契約を締結した。「メガパック」の初期段階の生産目標は年間1万台で約40ギガワット時(GWh)の電力を蓄電できる。テスラは同システムを中国をはじめ世界中に販売する予定。新工場は2023年第3四半期(7~9月)に着工し、2024年第2四半期(4~6月)に操業を開始する計画。
フォルクスワーゲン(VW) ドイツ 2023年4月 約10億ユーロ 自動車大手のフォルクスワーゲンは2023年4月、安徽省合肥市に、インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)関連会社「100%TechCo」を新設すると発表した。新会社は、車体および自動車部品の研究開発、調達機能を担う。研究開発と調達機能を連携させ、早期開発段階で現地ハイテク企業との協働により、新商品および関連技術の開発期間を従来から約3割短縮することを目指している。
日産自動車 日本 2023年12月 n.a. 日産自動車は2023年12月、同社子会社の日産(中国)投資が清華大学と共同研究センターを設立し、2024年から新たな共同研究を開始すると発表。研究テーマは、中国のZ世代に対する効果的なコミュニケーション方法、充電インフラの整備やバッテリーの回収・再利用、エネルギー管理を含むEVエコシステムにおける自動車メーカーの役割と社会的責任について。
医薬 モデルナ(Moderna) 米国 2023年11月 36億元 製薬大手のモデルナは上海市で研究開発生産本部プロジェクトの建設に着工した。同社にとって初の中国工場となる。同社は2023年7月、上海市経済情報化委員会、同市閔行区政府と戦略的協力協定を締結している。
金融サービス スタンダード・チャータード銀行(Standard Chartered Bank) 英国 2023年5月 10億5,000万元 英スタンダード・チャータード銀行が出資するスタンダード・チャータード銀行(香港)は、スタンダード・チャータード証券 (Standard Chartered Securities 、中国)を北京市に設立した。中国初となる外資100%出資の証券会社となる。2023年5月に会社設立の登記を完了し、12月に中国証券監督管理委員会から営業許可証を取得、2024年3月22日に北京市で正式に業務を開始した。同社には仲介、自己勘定取引、引受、資産運用管理(資産担保証券に限定)の4種類の証券業務の取り扱いが許可された。
電子 ジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey) 英国 2023年7月 約10億元 化学・環境分野などの触媒を開発・製造するジョンソン・マッセイは、上海市嘉定区に燃料電池用電極膜(CCM)を生産する工場を設けると発表した。第1期の生産能力は5ギガワット(GW)で、2025年に稼働する予定。中国では燃料電池車の保有台数が2030年に100万台に達すると見込まれており、拡大する燃料電池用電極膜の需要を取り込む。
不動産 DFSグループ 香港 2023年10月 n.a. フランスを拠点とするコングロマリット・LVMH傘下のDFSグループは、上海申亜投資控股(申亜集団)と海南省三亜市に高級品小売り・レジャー・エンターテイメント施設「DFS亜龍湾」プロジェクトを共同開発すると発表した。同プロジェクトは、約12万8,000平方メートルの敷地面積を占め、1,000以上の国際ブランドが入居し、ショッピング、ホテル、レストラン、エンターテイメントの融合を図り、観光客にハイレベルな消費体験を提供することを目指す。2026年までに完成する予定。
イオンモール 日本 2023年10月 n.a. イオンモールは湖北省武漢市における4号店として「イオンモール武漢江夏」を2023年11月1日にグランドオープンすると発表した。延床面積28万8,000平方メートルと、中国に22店舗を構えるイオンモールで最大級の店舗となる。武漢市初出店の15店舗を含む、約260店舗の専門店が出店する。
物流・運輸 DSV デンマーク 2023年4月 5,000万ドル 物流大手のDSVは2023年4月、浙江省嘉興市百歩経済開発区で物流センターの建設に着工したと発表した。通関、倉庫保管、加工、流通物流、配送などのワンストップサービスと、再包装、電子商取引のラベル貼り、印刷、ギフトボックス包装などの付加価値サービスを提供する。稼働開始後の年間売上高は3億5,000万元に達する見込み。
アマゾン 米国 2023年11月 n.a. 電子商取引大手のアマゾンは注文に合わせて倉庫から商品を発送する「前置き型保税倉庫」を浙江省寧波市に設置したと発表した。倉庫の設置に伴い、海外商品の配送時間が海外からの直接輸送と比べて平均10日間短縮される。倉庫面積は5,000平方メートルで、1日の平均注文件数は5,000件を予定している。設備や生産ラインなどのハード面で500万元の投資が見込まれている。
医療機器 HOYA 日本 2023年8月 1,000万ドル 光学機器大手HOYAは、江蘇省蘇州市に白内障用眼内レンズを製造、販売する子会社を設立すると発表した。Hoya Holdings (Asia)が100%出資する。今後も成長が見込まれる中国市場における製造体制を構築するとしている。
ボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific) 米国 2023年10月 n.a. 医療機器メーカー大手のボストン・サイエンティフィックは2023年10月、上海自由貿易試験区の臨港新エリアに同社として中国初となる製造拠点を設立すると発表した。製造センター、研究開発センター、トレーニングセンター、臨床センターを含む工場を建設し、主に経皮的冠動脈形成術(PTCA)に必要な医療機材、植込み型除細動器(ICD)、ペースメーカーなど、心血管系疾患のインターベンション治療やリズム管理のための医療機器を製造する。
航空宇宙 エアバス(Airbus) フランス 2023年4月 n.a. 欧州航空機大手のエアバスは同社の天津工場に2本目の「A320」シリーズ最終組立ラインを設置することで中国航空工業集団と合意した。2025年第3四半期に稼働する見通し。主にA320、A321を生産する。エアバスは天津市に2本のナローボディ機生産ラインと1本のワイドボディ機生産ラインを持つことになり、世界における生産能力が拡大する。
アウトドア用品 スノーピーク 日本 2023年12月 n.a. アウトドア用品大手のスノーピークは中国初となるマネジメントコントラクト方式によるSnow Peak China運営旗艦店「スノーピーク中関村旗艦店」を北京市にオープンすると発表した。テントやタープなどのキャンプギアやアパレルなどのプロダクトだけでなく、キャンプイベントやレストラン・カフェなどのサービスを通して、スノーピークが提案する自然指向のライフバリューを伝える拠点となる。

〔注〕投資額は各社プレスリリース、中国当局発表、報道などで金額が発表されていない場合は未記入。
〔出所〕 各社プレスリリース、中国当局発表および報道などから作成

対外直接投資 
対外直接投資は2年連続増加

2023 年の金融分野を含む中国の対外直接投資額(フロー)は前年比0.9%増の1,478億5,000万ドルとなった。うち、「一帯一路」関係国に対する非金融分野の投資は22.6%増の318億ドルだった。

表5 中国企業の主な対外直接投資案件(2023年4月~2024年4月)
業種 企業名 投資国・地域 時期 投資額 概要
自動車関連 浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group ジーリー) マレーシア 2023年4月 100億ドル 浙江吉利控股集団は、マレーシアの複合企業・DRBハイコムとベラ州タンジュンマリムで自動車産業クラスター「オートモーティブ・ハイテク・バレー(AHTV)」の開発で協力することに合意した。AHTVをASEANの新エネルギー車分野の研究開発・製造拠点に発展させ、マレーシアの自動車産業のグレードアップを促進する。
山東昊華輪胎(Shandong Haohua Tire) ベトナム 2023年9月 5億ドル タイヤメーカーの山東昊華輪胎は、ベトナム東南部ビンフオック省に工場を建設するプロジェクトの投資証明書を取得した。2025年第3四半期から稼働する予定。主にセミスチール製ラジアルタイヤとオールスチール製ラジアルタイヤを生産し、年間生産量は1,440万本、年間生産額は7億7,000万ドルとなる。
資源・エネルギー 紫金鉱業集団(Zijin Mining Group) セルビア 2023年9月 38億1,100万ドル 資源大手の紫金鉱業集団は2023年9月、セルビア政府とセルビア東部のチュカル・ペキ銅金鉱山の開発への投資に関する覚書を締結した。同社は2018年と2019年の2度の買収によりチュカル・ペキ銅金鉱山の全株式を取得し、同鉱山は2021年10月から正式に操業を開始している。同鉱山の2023年の銅生産量は14万トン、金生産量は5トンだった。
中国南方電網(China Southern Power GridChina Southern Power Grid :) ウズベキスタン 2023年10月 n.a. 中国南方電網は、ウズベクギドロエネルゴ(Uzbekhydroenergo)とウズベキスタンのタシケント州ボスタンリク地区における「ユコリ・プスケム(Yukori Pskem)」揚水発電所の共同建設に関する合意書に調印した。
新素材 国軒高科(Gotion High-tech) 米国 2023年9月 20億ドル リチウムイオン電池メーカーの国軒高科の米国子会社ゴーション(Gotion)は、イリノイ州カンカキー郡マンテノ市に電気自動車(EV)用バッテリーの新工場を建設すると発表した。同工場は、リチウムイオンのバッテリーセルとバッテリーパックの製造、およびエネルギー貯蔵システムの統合に注力する。2024年の稼働が予定されており、10ギガワット時(GWh)のリチウムイオンバッテリーパック、40GWhのリチウムイオンバッテリーセルの製造能力を持つ。
化学 中国石油化工集団(China Petrochemicalシノペック) カザフスタン 2024年4月 n.a. 国有エネルギー大手の中国石油化工集団(シノペック)は、カザフスタンの国営石油・天然ガス企業カズムナイガス(KazMunayGas)から、同社が運営するポリエチレンプロジェクトの持分譲渡を受け、同プロジェクトの権益30%を取得した。同プロジェクトでは年産125万トンのポリエチレンプラントを建設し、包装、自動車部品、建築材料等に使用される約22種類のポリエチレン製品を生産予定。
四川和邦生物科技(Sichuan Hebang Biotechnology) インドネシア 2023年8月 8億ドル 化学工業製品や農薬の製造・販売などを手がける四川和邦生物科技は、インドネシア企業のBKMS、AKRとインドネシア・東ジャワ州のジーペ(Jiipe)工業団地に化学品生産工場を建設するプロジェクトの調印式を行った。同工場では炭酸ナトリウム、塩化アンモニウム、グリホサート(除草剤)を生産する予定で、完成後は年間60万トンの炭酸ナトリウム、60万トンの塩化アンモニウム、20万トンのグリホサートの生産能力を持つことになる。
電子 歌尓(Goertek) ベトナム 2024年1月 最大2億8,000万ドル 米アップルのサプライヤーである歌尓は、香港の子会社を通じてベトナムでイヤホンやスマートウォッチ、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)デバイスなどを製造する子会社を設立すると発表した。
物流 菜鳥網絡科技(Cainiao Smart Logistics Network) インドネシア 2023年7月 n.a. 電子商取引大手アリババクループ傘下の物流企業である菜鳥はインドネシア・ジャカルタで物流センター・cHubを稼働させた。同社にとって東南アジア最大の物流拠点となる。敷地面積は約32万平方メートル。アリババ傘下の東南アジア電子商取引大手ラザダや、中国家電大手のハイアールなどが入居している。

〔注〕投資額は各社プレスリリース、報道などで金額が発表されていない場合は未記入。
〔出所〕 各社プレスリリースおよび報道などから作成

対日関係 
日中貿易は2年連続で減少

2023年の日中貿易を日本の財務省「貿易統計」と中国の税関統計を基に「双方輸入ベース」10)でみると、貿易総額は前年比10.4%減の3,347億974万ドルだった。過去最高を記録した2021年から2年連続で減少したほか、減少幅も拡大した。

日本の輸出(中国の対日輸入、以下同じ)は前年比13.0%減の1,608億2,283万ドル、輸入(日本の対中輸入、以下同じ)は7.9%減の1,738億8,691万ドルだった。日本の中国に対する貿易収支は、130億6,408万ドルの赤字だった。

日本からの輸出を品目別にみると、HSコード2桁ベースで構成比1.0%以上の品目では、電気機器およびその部分品(第85類、27.4%)、機械類(第84類、21.2%)をはじめ、多くの品目が前年比で減少した。HSコード4桁を見ると、乗用車(8703)は前年比18.1%減、自動車部品(8708)は31.2%減となった。一方、集積回路(8542)は3.3%増、半導体製造機械(8486)は6.6%増となった。

輸入を品目別にみると、HSコード2桁で構成比1.0%以上の上位品目は、電気機器およびその部分品(第85類、29.3%)、機械類(第84類、17.5%)など、輸出同様に多くの品目で減少した。HSコード4桁では、スマートフォンなどを含む電話機(8517)が前年比1.8%減、タブレット端末やノートパソコンなどを含む自動データ処理機械(8471)が16.0%減、モニターやプロジェクターおよび受像機器(8528)が12.2%減、集積回路(8542)が33.4%減となった。一方で、蓄電池(8507)が53.8%増と急増した。

財務省「貿易統計」によると、2023年の日本の輸出額に占める中国の構成比は17.6%と、前年より1.8ポイント低下した。輸入額に占める構成比は22.1%となり、1.1ポイント上昇した。その結果、貿易総額に占める構成比は20.0%と前年より0.3ポイント低下した。日本の対世界貿易において、対中貿易総額は2007年以降17年連続、対中輸入額は2002年以降22年連続で1位を維持した。一方、対中輸出額は米国(20.1%)を下回り、2019年以来4年ぶりの2位となった。

10)
貿易統計は輸出を仕向地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向地を香港としている財)が、日本の統計では対中輸出に計上されない。他方、中国の輸入統計には日本を原産地とする財が全て計上されることから、両国間の貿易は双方の輸入統計のデータがより実態に近いと考えられる。
表6-1 2023年の日本の対中輸出[中国の対日輸入、通関ベース]中国の対日輸入)(単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 160,822,831 △ 13.0 100.0 △ 13.0
第85類 電気機器およびその部分品 44,002,384 △ 12.4 27.4 △ 3.4
8542 集積回路 20,777,044 3.3 12.9 0.4
8541 ダイオード、トランジスターその他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 3,340,804 △ 25.4 2.1 △ 0.6
8532 コンデンサー 3,292,238 △ 19.3 2.0 △ 0.4
8536 電気回路の開閉用、保護用または接続用の機器 2,778,399 △ 24.8 1.7 △ 0.5
8504 トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 1,924,444 △ 15.0 1.2 △ 0.2
8534 印刷回路 1,578,020 △ 18.4 1.0 △ 0.2
第84類 原子炉、ボイラーおよび機械類 34,028,035 △ 7.8 21.2 △ 1.6
8486 半導体、集積回路またはフラットパネルディスプレーの製造用機器 11,442,307 6.6 7.1 0.4
8479 機械類(固有の機能を有するものに限る) 3,740,618 △ 15.0 2.3 △ 0.4
8443 印刷機とその部分品および付属品 1,735,979 △ 7.0 1.1 △ 0.1
8481 コック、弁 1,545,020 △ 18.5 1.0 △ 0.2
第87類 鉄道用および軌道用以外の車両 12,119,979 △ 22.3 7.5 △ 1.9
8703 乗用自動車その他の自動車 7,945,966 △ 18.1 4.9 △ 0.9
8708 自動車の部分品および附属品 3,866,253 △ 31.2 2.4 △ 0.9
第90類 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器および医療用機器 12,106,616 △ 12.9 7.5 △ 1.0
9031 測定用・検査用の機器および輪郭投影機 2,169,013 △ 10.3 1.3 △ 0.1
9001 光ファイバー、光ファイバーケーブル、偏光材料製のシートおよび板ならびにレンズ 1,910,404 △ 25.6 1.2 △ 0.4
第39類 プラスチックおよびその製品 9,328,838 △ 11.4 5.8 △ 0.7
3920 プラスチック製のその他の板、シート、フィルム、箔(はく)およびストリップ 2,765,066 △ 2.8 1.7 △ 0.0
第29類 有機化学品 5,206,028 △ 7.3 3.2 △ 0.2
2902 環式炭化水素 2,273,414 △ 2.5 1.4 △ 0.0
第74類 銅およびその製品 5,128,041 △ 7.4 3.2 △ 0.2
7404 銅のくず 2,179,203 11.9 1.4 0.1
7403 精製銅または銅合金の塊 1,745,926 △ 13.2 1.1 △ 0.1
第33類 精油、レジノイド、調製香料および化粧品類 3,961,625 △ 22.1 2.5 △ 0.6
3304 化粧品類(美容用、メーキャップ用調整品等) 3,503,080 △ 22.3 2.2 △ 0.5
第38類 各種の化学工業生産品 3,899,457 △ 15.4 2.4 △ 0.4
3824 鋳物用の鋳型、中子の調製粘結剤、化学工業において生産される化学品および調製品 1,716,868 △ 17.4 1.1 △ 0.2
第72類 鉄鋼 3,660,497 △ 33.3 2.3 △ 1.0
第71類 真珠、貴石、半貴石、貴金属およびこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣 3,243,848 △ 7.6 2.0 △ 0.1
7108 金 1,712,353 △ 2.3 1.1 △ 0.0
第73類 鉄鋼製品 2,032,948 △ 14.1 1.3 △ 0.2
第30類 医療用品 1,633,211 6.6 1.0 0.1
第37類 写真用または映画用の材料 1,616,249 0.4 1.0 0.0
第34類 せっけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤 1,590,837 △ 20.5 1.0 △ 0.2

〔注1〕輸出額は中国の通関統計による対日輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
〔注2〕HSコード2桁、4桁分類で構成比1.0%以上の品目を抽出し、金額降順。
〔注3〕太字は、HS上2桁(類)の金額ベースで上位5位
〔出所〕Global Trade Atlasよりジェトロ作成

表6-2 2023年の日本の対中輸入[通関ベース](単位:1,000ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
HSコード品目 金額 伸び率 構成比 寄与度
総額 173,886,912 △ 7.9 100.0
第85類 電気機器およびその部分品 50,877,639 △ 4.7 29.3 △ 1.3
8517 電話機およびその他の機器 19,875,471 △ 1.8 11.4 △ 0.2
8504 トランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター 2,623,862 △ 2.8 1.5 △ 0.0
8507 蓄電池 2,607,677 53.8 1.5 0.5
8528 モニター、プロジェクターおよび受像機器 2,352,996 △ 12.2 1.4 △ 0.2
8544 電気絶縁をした線、ケーブルおよび光ファイバーケーブル 2,299,466 △ 3.7 1.3 △ 0.0
8541 ダイオード、トランジスターその他これらに類する半導体デバイス、光電性半導体デバイス(光電池を含む) 2,121,994 △ 21.9 1.2 △ 0.3
8542 集積回路 1,752,948 △ 33.4 1.0 △ 0.5
第84類 原子炉、ボイラーおよび機械類 30,457,390 △ 10.0 17.5 △ 1.8
8471 自動データ処理機械 11,396,861 △ 16.0 6.6 △ 1.2
8415 エアコンディショナー 1,945,163 △ 12.5 1.1 △ 0.1
8443 印刷機、その他のプリンター、複写機およびファクシミリ 1,813,769 △ 10.5 1.0 △ 0.1
8431 建設機械および荷役機械の部分品 1,690,765 △ 11.3 1.0 △ 0.1
第61類 衣類および衣類附属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものに限る) 6,572,745 △ 12.1 3.8 △ 0.5
6110 ジャージー、プルオーバー、カーディガン、ベストその他これらに類する製品 2,457,489 △ 8.3 1.4 △ 0.1
第95類 玩具、遊戯用具および運動用具 5,809,145 1.7 3.3 0.1
9504 ビデオゲーム用のコンソールおよび機器等 2,540,676 27.0 1.5 0.3
9503 三輪車、その他車輪付き玩具、人形、縮尺模型およびパズル等 2,164,536 △ 2.4 1.2 △ 0.0
第87類 鉄道用および軌道用以外の車両 5,700,945 12.1 3.3 0.3
8708 自動車の部分品および付属品 3,771,733 17.0 2.2 0.3
第62類 衣類および衣類附属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く) 5,582,667 △ 11.7 3.2 △ 0.4
第39類 プラスチックおよびその製品 5,234,801 △ 10.1 3.0 △ 0.3
3926 その他のプラスチック製品およびHSコード3901~3914の材料から成る製品 1,966,098 △ 9.9 1.1 △ 0.1
第94類 家具、寝具 5,186,909 △ 6.1 3.0 △ 0.2
9401 腰掛けおよびその部分品 1,884,065 1.0 1.1 0.0
第90類 光学機器精密機器および医療用機器 5,174,728 △ 6.2 3.0 △ 0.2
第73類 鉄鋼製品 4,274,263 △ 7.1 2.5 △ 0.2
第28類 無機化学品および貴金属、希土類金属 4,180,080 △ 23.5 2.4 △ 0.7
第29類 有機化学品 4,114,073 △ 17.1 2.4 △ 0.5
第63類 紡織用繊維のその他の製品 2,892,635 △ 19.7 1.7 △ 0.4
第42類 革製品、ハンドバッグ 2,200,527 △ 0.3 1.3 △ 0.0
4202 バッグ、財布、ケース等 2,063,701 1.2 1.2 0.0
第16類 肉、魚または甲殻類、軟体動物もしくはその他の水棲無脊椎動物の調製品 2,197,493 △ 10.8 1.3 △ 0.1
第64類 履物およびゲートル 2,181,909 △ 9.3 1.3 △ 0.1
第76類 アルミニウムおよびその製品 1,834,073 △ 16.8 1.1 △ 0.2

〔注1〕輸入額は日本の財務省貿易統計による対中輸入額。貿易データベースGlobal Trade Atlas(ドルベース)を基に作成。
〔注2〕HSコード2桁、4桁分類で構成比1.0%以上の品目を抽出し、金額降順。
〔注3〕太字は、HS上2桁(類)の金額ベースで上位5位
〔出所〕Global Trade Atlasよりジェトロ作成

日本からの投資は大幅減

2023年の日本の対中直接投資額(フロー、ネット)を日本の国際収支統計11)でみると、前年比25.8%減の5,373億円だった。なお、実行額は7.9%減の1兆3,098億円、引揚額は10.6%増の7,725億円だった。

業種別12)にみると、製造業は2,005億円(前年比2,416億円減)、非製造業は1,926億円(397億円減)となった。製造業の減少幅が大きかったことから、投資全体に占める非製造業のシェアは前年の34.4%から49.0%に拡大した。

製造業では全業種で最大の金額を占める輸送機械器具が1,443億円(前年比736億円減)と減少、一般機械器具も405億円(856億円減)となった。また、化学・医薬は2022年の1,473億円から22億円の引揚超過に転じた。一方で、電気機械器具が1,280億円の引揚超過から516億円となったほか、繊維が158億円(145億円増)となった。非製造業では不動産業が450億円の引揚超過から173億円となった。金融・保険業が892億円(224億円減)、卸売・小売業が830億円(433億円減)、サービス業が234億円から4億円の引揚超過となった。

ジェトロの「2023年度海外進出日系企業実態調査(中国編)」によると、今後1~2年の事業展開の方向性を「拡大」と回答した割合は27.7%だった。2022年の33.4%から5.7ポイント低下し、調査として比較可能な2007年度以降で初めて30%を下回った。企業規模別にみると大企業は製造業で32.2%、非製造業は30.5%が「拡大」と回答した一方で、中小企業はそれぞれ21.7%、23.7%となった。

また、ジェトロが海外ビジネスに関心が高い日本企業(本社)を対象に実施している「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(以下、「海外事業展開調査」)の2023年度の結果でも、「今後海外で事業拡大を図る国・地域」(複数回答)は、1位が米国で28.1%、2位がベトナムで24.9%となり、中国は22.6%で3年連続の3位にとどまった13)。また、「最も重視する輸出先」について、「中国」と回答した企業は18.4%(前年比4.7ポイント減)となり、米国の20.9%に次いで2位となった。中国は、調査として比較可能な2016年以降で初めて首位を譲った。

一方で、「日系企業実態調査」で事業を「縮小」すると回答した割合は9.3%、「第三国(地域)へ移転・撤退」と回答した割合は0.7%にとどまり、62.3%が「現状維持」を選択している。また、「海外事業展開調査」でも「中国ビジネスは縮小して、他国への移管を検討する」は7.5%、「中国ビジネスから撤退して、他国での展開を検討する」は1.3%にとどまった。投資拡大には慎重な姿勢が強まっているものの、多くの企業が引き続き中国でビジネスを行う方針に変わりはない様子だ。

11)
財務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表されている「対外直接投資(地域別)」に基づく。データは2024年4月次改訂版。
12)
日本銀行ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表されている「業種別・地域別直接投資」に基づく。データは2024年4月8日、5月10日改訂版。関連会社から親会社への投資を、親会社による投資の回収として計上している(親子関係原則)。そのため、合計金額は「対外直接投資の総括表」の金額とは異なる。
13)
2021年度は質問の仕方が異なるため、厳密な連続性はない点に留意が必要。

基礎的経済指標

(△はマイナス値)
項目 単位 2021年 2022年 2023年
実質GDP成長率 (%) 8.4 3.0 5.2
1人当たりGDP (米ドル) 12,572 12,643 12,514
消費者物価上昇率 (%) 0.9 2.0 0.2
失業率 (%) 5.1 5.5 5.1
貿易収支 (100万米ドル) 636,610 837,928 823,223
経常収支 (100万米ドル) 352,886 443,374 252,987
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 3,313,920 3,189,689 3,301,320
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 2,746,559 2,452,765 2,447,537
為替レート (1米ドルにつき、中国・人民元、期中平均) 6.4490 6.7372 7.0840

注:
1人当たりGDP:推計値
失業率:都市部の調査失業率(年末)
出所
実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率:中国統計摘要2024
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
貿易収支:中国海関統計(2023年12月号)
経常収支、対外債務残高(グロス):国家外貨管理局