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中国の「食品安全法」施行後の食品安全体制の構築状況

2010年3月
分野:食品・農林水産物

2009年6月1日より施行された「食品安全法」により、中国政府の食品安全にかかわる組織が改革されつつある。政府の食品安全管理体制がどのように変わりつつあるのか、現在入手し得る情報を整理し、まとめてみた。

食品安全監督管理体制の現状

2009年6月1日より施行された「食品安全法」は、中国の食品安全管理体制を整理統合し、これまでの部門毎のタテ割り管理による相互関係調整が難しい点を改善した。

図1に示すように、新しい食品安全管理体制は、トップに国務院食品安全委員会(以下、食品安全委員会)が設置されている。同委員会は最高議事調整機関として食品安全管理業務を統合・指導すること、各官庁の食品安全管理責任を監督すること、食品安全の情勢を調査分析すること、重要な政策措置を策定することなどを任務としている。

衛生部はこれまでの事務的な管理部門から、施行後は統括調整部門に昇格、他の食品安全に関係する部門を統括・調整すると同時に、各部門の食品安全基準を国家基準に統合する重要な任務を課されることになった。ほかに、食品安全リスク評価、食品安全情報の公開、食品検査機関資格認定、重大な食品安全にかかわる事故処理なども衛生部の任務となっている。

食品安全の事務的管理を担当しているのは農業部、国家品質監督検験検疫総局(以下、質検総局)、工商行政管理総局(以下、工商総局)、国家食品薬品監督管理局(以下、食品薬監局)で、それら官庁の任務はあまり変わらず、従前どおりそれぞれ農産品生産、食品生産、食品流通、飲食サービスの4分野の管理に当たる。最も大きな変化は、衛生部で管理されていた衛生許可証制度が撤廃されて、新たに食品生産許可証、食品流通許可証、飲食サービス許可証という3つの許可証制度が整備されたことで、それらの許可証はそれぞれ質検総局、工商総局、食品薬監局によって管理されることになった。

また、商務部や工業情報化部などの官庁も食品安全リスクの監視・評価、食品安全国家基準計画および実施計画の策定に関与している。

図1:食品安全体制における各官庁の役割

出所:「農産品質量安全法」(2006年11月)、「食品安全法」(2009年6月)、「国務院食品安全委員会の設置に関する通知」(国務院、2010年2月6日)をもとに作成。

新しい食品安全管理体制は、批判の多かった旧体制の「段階毎の管理」方式(即ち農業部、質検総局、工商総局、食品薬監局がそれぞれ農産品生産、食品生産、食品流通、飲食サービスの4つの分野における食品安全を管理)をそのままにして、それらの上に国務院食品安全委員会という最高議事調整機関を設置して、衛生部を事務的管理部門から統括調整部門へと昇格させ、2つの機関によって各官庁の仕事を取り仕切ろうとしている。

ただ現状は、食品安全委員会が2010年2月に設置されたばかりで、衛生部内も各官庁を統括調整する業務体制は未だ整っておらず、2つの機関がどのように分担・協力するかも明白ではない。要するに、新しい食品安全体制はとりあえず枠組が作られたに過ぎず、この体制をいかに運営するのか、結果としてどのような効果を生むのかなど、いまのところ不透明な状態である。

新しい食品安全体制で最も注目される点は、食品安全の国家基準を統合する原則を明確にし、その責務が衛生部に課せられたということである。今後衛生部は従来の食用農産品品質安全基準、食品衛生基準、食品品質基準などの食品安全の国家基準を統合していくことになる。

国務院食品安全委員会

「食品安全法」が施行される以前、食品薬監局も食品安全の関連事業を監督・実施・調整する任務を負っていたが、同局は副部長レベル(副大臣クラス)が、各官庁との連携・調整のために会議を召集するという形式で実施するのみだった。その会議は、「食品安全官庁連席会議制度」と呼ばれるが、国務院による文書規定はなく、各官庁からも重視されていなかった。非常に低いクラスの幹部を会議に出席させていた官庁も少なくない。したがって、その会議制度が発揮する効果は限られていた。このようなことを背景に、「食品安全法」を制定する際に、トップレベルの議事機関である食品安全委員会の設置に関する内容を盛り込んだ。

「食品安全法」(2009年6月1日施行)に伴い、国務院が2010年2月6日付けで「国務院食品安全委員会の設置に関する通知」を出し、それに基づき食品安全委員会が発足した。同委員会は、食品安全管理体制の最高議事調整機関として、そのメンバーは国家トップレベルの責任者から構成されている。主任は国務院副総理李克強氏、副主任が国務院副総理回良玉氏と王岐山氏、15人の委員はそれぞれ15の官庁のトップレベルの責任者から構成されている(表1)。

表1:国務院食品安全委員会メンバー
氏名 所属
主任 李 克強 国務院副総理
副主任 回 良玉 国務院副総理
王 岐山 国務院副総理
委員 尤 権 国務院副秘書長
劉 鉄男 国家発展・改革委員会副主任
張 来武 科学技術部副部長
李 毅中 工業・情報化部長
黄 明 公安部副部長
王 軍 財政部副部長
李 干鄧 環境保護部副部長
韓 長賦 農業部長
姜 増偉 商務部副部長
陳 竺 衛生部長
周 伯華 国家工商総局長
王 勇 国家品質監督検査検疫検総局長
聶 振邦 国家食糧局長
邵 明立 国家食品薬品監督管理局長
張 勇 国務院食品安全委員会弁公室主任

出所:「国務院食品安全委員会の設置に関する通知」(国務院、2010年2月6日)をもとに作成。

実のところ、食品安全委員会の設置は新しい概念ではない。以前にも2007年8月に、製品の品質・食品安全の重大問題の統合調整、重要業務の統一準備、また、製品の品質と食品安全の関連政策の実施を徹底して監査・監督することを主目的とする国務院製品品質・食品安全指導チーム(以下「品質食品安全指導チーム」)を組織したことがあった。当時の国務院副総理呉儀氏がチーム長を、国家品質監督検査検疫検総局長李長江氏と国務院副秘書長項兆倫氏が副チーム長を務め、その他メンバーは今回と同様に各官庁のトップの責任者であった。しかし、今回の改正では同チームはなくなっているようである。

表2に示すように、食品安全委員会と品質食品安全指導チームは対象分野が若干異なるが、その組織形態、主要任務、メンバー構成などは非常に似ている。異なる点は、品質食品安全指導チームは臨時的な機関であり、単一の事件の処理と単発の重要案件の調整業務を行う性質が強い。一方、食品安全委員会は常設機関で、食品安全を日常的に指導する任務がある。

食品安全委員会は品質食品安全指導チームと同様に議事調整機関であり、主任、副主任と委員は各自がそれぞれの本職を持っており、必要なときにだけ会議を開いて議論する。また、過去の経験から、食品安全のような継続的、かつ煩雑な業務では、臨時的な議事調整機関が統合・指導の役割を負うことは難しく、実際にはやはり単一事件の処理や単発の重要案件の指揮を行うだけの機関になってしまう可能性がある。

そのため、食品安全委員会はその下に30人の常任職員を抱える弁公室(事務所)を設けている。主任は張勇氏で、正部長クラス(日本の大臣クラスに相当)である。

食品安全委員会は2010年2月9日に第一回会議を開き、2010年に全国で食品安全管理体制の整理を集中的に議論し、食品添加物、農産品、食品生産加工、食品流通と輸出入、家畜加工、飲食業、健康食品という各分野に散在する重要な具体的問題を重点的に整理することを決定した。同時に、会議開催直前に報道された「メラミン混入粉ミルク」販売事件を徹底的に調査するとともに、「メラミン混入粉ミルク」を全て焼却処分し、不法生産者を厳しく処罰することも明らかにした。

食品安全委員会の業務内容を見ると、現段階では同委員会は依然として単一の事件の処理と単発の重要案件の対応に止まっており、統合・指導の役割はまだ果たしていないように見受けられる。

表2:国務院食品指導機関新旧比較
国務院食品安全委員会
(2010年2月設置)
国務院製品品質・食品安全指導チーム
(2007年8月設置)
分野 食品安全 製品の品質と食品安全
組織の性格 常設機関 臨時機関
形態 議事調整機関 議事調整機関
主要任務
  • 食品安全業務の指導
  • 各官庁の食品安全監督・管理責任を監督
  • 食品安全情勢を調査分析、重要な政策措置を策定
  • 製品品質と食品安全の重大問題の統合・調整
  • 重要案件の統一準備手配
  • 製品品質と食品安全の関連制作の実施を徹底管理・監督
人員構成 国務院副総理および各官庁のトップレベル責任者 国務院副総理および各官庁のトップレベル責任者

出所:各部門のウェブサイト、新聞記事をもとに作成

中央政府から地方組織への食品安全監督管理指揮システム

これまでに公開された政策法規および食品安全委員会の動きから見ると、食品安全委員会は衛生部などの中央官庁を統合・指導するだけで、各地の食品安全業務自体は直接管理しない。各地の食品安全管理は主として各地方政府に任されている。「食品安全法」では、県レベル以上の地方政府に同行政地域の食品安全管理を指導・実施・調整する責任があり、さらに同地方政府の衛生行政、農業行政、品質監督、工商行政管理、食品薬品監督管理など各部門の食品安全管理責任を決定し、かつ実施状況を把握すること、と規定されている。

しかしながら、中国では各行政分野によって、中央から地方への管理体制の権限委譲方法が若干異なっている。図2に示すように、食品安全管理分野と関連している5つの部門のうち、衛生、農業、食品薬品監督管理の3つの部門は地方政府による管理体制を実施しており、その人員と経費は地方政府で定められ、かつ負担される。つまり、これらの部門は地方政府の一部となっており、上級機関からは業務指導だけを受けている。一方、品質監督、工商の2つの部門は各部局ごとのタテ割り行政を行っており、市・県レベルの機関は中央部局の支部であり、人員と経費は各部局によって負担されている。

このような体制の中、市・県レベルの地方政府が地元の衛生局、農業局と食品薬監局を管理することは比較的容易であるが、地方政府によるコントロールを直接受けない質監局と工商局の場合は、地元の各局の直接指導を行うことは困難で、ある程度の調整しかできない。また、食品薬品監督管理部門が2008年末からタテ割り行政制度から地方政府による管理体制に変わったばかりなため、多くの地域では食品薬監局の移行がいまだに完了しておらず、地方政府の食品安全管理を難しくしている。

図2:中央政府と地方政府の食品安全管理部門および対応関係

出所:各部門のウェブサイト、新聞記事をもとに作成

実際には、地方政府、特に省レベル政府は、各管轄内で制定する食品安全管理体制に関して、大きな自主権限を持っている。現在、全国食品安全管理体制の枠組みは確定しているので、地方政府は次の段階として全国食品安全管理体制の各種要求に合わせ、地元の実際の状況も考慮しつつ、各部門の任務を調整し、現地の食品安全管理体制を整備しなければならないことになっている。その調整が難航しているため、改革は省レベルにとどまっており、ほとんどの市・県レベルの行政機関では改革はまだスタートしていない。

中央各官庁の地方現場の指導・検査の状況(2009年9月)

表3に示すように、農業部、工商総局と食品薬監局は2009年9月に集中的に食品安全の現場検査・指導を行った。これらの検査・指導は国慶節、中秋節、全国運動会などの重要なイベントを控えているという背景があるとはいえ、これほど高い行政レベルの、集中した現場検査・指導は前例がなく、これからも、「食品安全法」施行後、各官庁が食品安全を非常に重要視していることが伺われる。

また、全人大常務委員会も食品安全法実施検査チーム(以下、検査チーム)を組織し、2009年9~12月の4カ月にわたって「食品安全法」の実施状況を検査した。個々の検査状況は以下のとおり。

表3:2009年9月の現場検査・指導業務
農業部
9月24日 農業部総経済師・弁公庁主任陳萌山氏が検査チームを率いて、北京市にある国家農産品品質安全センターと緑色食品発展センターに赴き、国慶節前の食品安全・社会安定の状況を視察した。
工商総局
9月17日 工商総局副局長王東峰氏が検査チームを率いて、国慶節・中秋節を前に、北京市の食品市場の管理状況を検査・指導した。
食品薬監局
9月3~4日 国慶節期間中の飲食サービスの安全を確保するために、食品薬監局副局長辺振甲氏が四川省の食品薬品検験所や一部の健康食品・化粧品の生産企業を検査した。
9月14日 食品薬監局長邵明立氏が検査チームを率いて、国慶節を前に、北京市の飲食サービス安全確保の状況を検査した。
9月15日 食品薬監局副局長辺振甲氏が検査チームを率いて、全国運動会を前に、山東省の飲食サービス安全確保の状況を検査・指導した。
全人大常務委員会
9~12月 全国人大常務委員会副委員長路甬祥氏、韓启徳氏、李建国氏、陳昌智氏、桑国衛氏がそれぞれ検査チームを率いて、北京市、河北省、山西省、黑龍江省、浙江省、安徽省、福建省、山東省、広西自治区、重慶市の10地域の「食品安全法」の実施状況を検査した。

出所:各部門のウェブサイト、新聞記事をもとに作成

全人大による「食品安全法」実施状況に関する検査

調査概況

「食品安全法」を円滑に実施し、食品安全の状況を確実に改善させるため、全人大常務会は特別に食品安全法実施検査チーム(以下「全人大検査チーム」)を組織した。2009年9月22日に第一回全体会議を開き、調査をスタートした。2009年9月から12月にかけて、調査チームは5人の全人大常務会副委員長路甬祥氏、韓启徳氏、李建国氏、陳昌智氏、桑国衛氏がそれぞれ5つの検査チームを率い、北京市、河北省、山西省、黑龍江省、浙江省、安徽省、福建省、山東省、広西自治区、重慶市の10地域を対象に実施状況を検査した。現地検査では、野菜類の生産拠点、食肉処理場、食品生産工場、卸売市場、海鮮市場、スーパーマーケット、レストラン、学校の食堂など計87カ所の食品生産・飲食サービス企業(拠点)を回った。また、32回の座談会を開催し、政府と関連部門、業界団体、消費者協会および食品生産経営者、従業員などと交流した。そのほか、その他の省・区・市の人大常務会に、各行政地域内における実施状況の検査を委託した。

検査の結果

2010年2月24日に、検査チームは第11回全人代常務委員会第13次会議にて検査の結果を報告した。検査チームは、「食品安全法」が施行後、食品安全が確実に改善・強化され、法律の実施状況も全般的に順調であると評価しつつも、以下のような問題が存在していると指摘した。

  1. 監督管理機関の改革について
    第一は、各レベルの管理機関の改革進展が遅いこと。現在、省レベルの改革が進んでいるが、各部門の管理業務は未だに確定していない。また、大部分の市・県レベルの改革はまだスタートしていない。それにより、行政の法律執行が困難な状況にある。例えば、飲食サービス分野が食品薬品監督管理部門の管轄に変わったが、各地での管理部門の統合状況はばらばらで、「行政の法律執行委託」のような臨時措置を取っているところもある。

    第二は、総合的な調整システムが整っていないこと。各レベルの政府組織で、衛生行政部門が食品安全を統括調整する体制がまだ確立していない。

    第三は、各管理部門の任務を詳細化する必要があること。食品生産経営活動の業態が複雑で、形式も多様的であるが、現行の「食品安全法」と関連法律は各管理分野の具体的事務を具体的に規定しておらず、監督責任があいまいなどの問題が存在している。例えば、モヤシ生産、豚の買付・運送、スーパーマーケットの惣菜コーナー、食器の集中消毒、食品の貯蔵・運送などにおいて、管理部門の責任が不明確で、互いに責任を取りたがらない傾向がある。

    第四は、管理能力が不足しているにもかかわらず、検査設備を重複配置し、効率が低いという問題があること。一部の管理機関、特に末端の管理機関の検査設備が老朽化し、管理者、技術者も足りないが、しかし一方では、管理部門が各自で技術機関を作り、人材の分散や重複した整備や購入、情報共有ができていないなどの現象が頻繁に見受けられる。

    以上の問題に対処すべく、検査チームは以下の提案を行った。それらは、1.国務院が改革移行期を短縮させ、地方政府に明確な指導を行うことによって、管理体制の正常化を早期実現させること、2.指摘のある管理体制の空白と重複の問題について、管理部門の任務の具体化を急ぎ、対応する問題解決システムを整備させること、3.各部門の検査設備を統一管理下の元で準備するとともに、県レベル以上の政府に対して、食品安全検査機関の統合や、検査ネットワークと情報プラットフォームの整備、設備・人員・情報の共有を促すこと、などである。

  2. 関連法律・法規の整備について
    現時点で、関連法律・法規の制定が遅れており、大きな問題になっている。健康食品の管理や食品生産許可などに関する法律・規則は未だに公布されていないため、監督管理を行うことは実質上難しい状況である。

    例えば、食品表示ラベルに関しては、「食品安全法」に規定があるものの、関連実施細則が整っていないため、実施に際して難しいところがある。メーカーが困惑しているだけでなく、管理体制も若干混乱している。また、「食品安全法」では、省レベルの人大常務会(議会に相当)に域内の小規模食品生産加工場と露天飲食店に関して具体的な管理方法を制定する権限を与えられているが、衛生、品質検査、工商など多くの部門にかかわっているため、地方政府での立法が難しく、現時点では、ほとんどの省ではまだ関連の法規づくりが進んでいない。

    以上の問題に対処して、検査チームは、国務院が食品安全に関する法律法規の制定統合を急ぎ、早急に法規・規則と具体的サンプルになる規定を制定すべきであると提案した。

  3. 食品安全リスク監視、リスク評価と予告
    中国では、食品安全のリスク監視、リスク評価と予告の基盤が脆弱で、食品が原因の疾病、食品汚染および食品の有害物質に対する監視と評価もまだ初期段階にある。また、各地の状況がばらばらで、「食品安全法」が要求するリスク監視と評価制度の整備までにはまだほど遠い状況である。

    この状況に対して、「検査チーム」は、国務院の関連部門が全国的なリスク監督ネットワークの整備を急ぐとともに、国家食品安全リスク評価センターを早急に整備し、比較的能力のある地域にセンター支部を設置するなど、食品安全リスク評価システムを整えるべきであると提案した。

  4. 食品安全の基準
    食品安全基準の統合作業の進展は進んでおらず、乳製品の国家食品安全基準は制定と統合がほぼ完成したが、未だに正式に公布されていない。

    検査チームは次のような提案を行った。1.国務院の関連部門が食品安全基準管理システムの整備を急ぎ、基準制定と統合作業の目標と進捗具合を明確にすべきである。2.国際貿易に適応するために、国際基準の制定と改正に積極的に参加するとともに、タイムリーに食品安全国家基準の内容を調整・補足すべきであること。

  5. 経費の確保
    最近、一部の地域で経費不足の問題が目立っている。「食品安全法実施条例」で、抜取検査のためのサンプル購入費と検査費は同レベル政府の財政予算から支出されることが規定されており、また国務院も県レベル以上の地方政府が域内での「食品安全法」の各制度のための経費を確保することを要求している。しかし、中西部と貧困地ではもともと財政予算が少なく、それによって検査範囲が狭くなり、サンプル数が少なく、検査回数も少ない結果となり、このような行政の法律執行の不十分さが食品安全を脅かすことになりかねない。

    以上の問題に対して、検査チームは次のことを提案した。1.国務院は、県レベル以上の地方政府に対して、食品安全を各地域の国民経済と社会発展計画に取り入れ、食品安全経費を財政予算に盛り込むように促すこと。2.国務院は各レベル地方政府の「食品安全法」実施のために、必要な経費を負担しきれない財政が困難である地域に対し交付金を出すこと、または設備購入に優遇措置をとることを考えるべきであること。3.現時点で、特にリスク監視評価、食品安全基準の制定、食品安全の予告、食品安全事故の応急処理、食品安全情報プラットフォームの整備などに対して各種サポートを提供すべきであること。

  6. その他
    食品安全の「第一責任者」である食品メーカーと関連企業の一部では、法律が規定している食品安全責任、食品安全生産規範、従業員健康管理制度などはまだ徹底できていない。食品業界団体なども、業界の信用向上や食品産業の健全な発展を促進する面においてさらに改善する余地がある。

    それに対処して、調査チームは、1.国務院は食品産業を産業調整と経済発展戦略を重点項目とし、食品産業の発展計画を立て、食品産業の大規模化・基準化・現代化を目指すべきであること、2.消費者の法律知識、法律を活用する意識、法律による自己防衛能力を高め、マスコミを使った食品安全に関する政府広告を奨励すべきであること、などの提案を行った。

検査に関する評価

中国では、高級幹部が現場調査によく行くが、その目的は主として該当分野に対し重視していることをアピールするものであり、その現場調査により問題を発見することはむしろ不可能である。今回の検査チームも同様で、その現場の検査結果も恐らくは地方政府の各関連部門から入手した報告書をまとめたものに過ぎない。

とはいえ、今回の全人大検査は一定の効果があった。検査結果として「食品安全法」施行以降の問題点をまとめて明らかにしたのである。ただし、提案は強制的なものではなく、具体的な要求でもないため、国務院には一定の監督・提案能力しかないものと見られる。

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(北京センター)

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