セミナー開催レポートアフリカ・ビジネスセミナー in 北陸・静岡・神戸(2012年12月)
2012年12月
途上国貿易開発部
ジェトロ富山、ジェトロ静岡、ジェトロ神戸
ジェトロは国際協力機構(JICA)と共に、2012年10月~12月に、地方3都市(富山、静岡、神戸)にてアフリカ・ビジネスセミナーを開催した。本セミナーは、2013年6月に開催予定の第5回アフリカ開発会議(TICADⅤ)にむけて日本とアフリカの貿易促進の一助となるべく、アフリカビジネスの可能性や魅力を伝え、日本企業の対アフリカビジネスの関心を高めることをめざし、7月の東京・大阪・名古屋にひきつづき、各地方都市で開催したものである。
本セミナーは、北陸(富山)、静岡、神戸の3会場にて、計230名(北陸:44名、静岡:80名、神戸:106名)の方にご出席いただいた。
- プログラム 北陸(2012年10月16日開催) (436KB)
- プログラム 静岡(2012年10月23日開催) (516KB)
- プログラム 神戸(2012年12月4日開催) (527KB)
※以下掲載資料は、講師の許諾を得て掲載しています。当日配付資料より若干修正・変更を入れていますのでご了承ください。
サブサハラ・アフリカの最新ビジネス事情
ジェトロ中東アフリカ課(前ヨハネスブルク事務所員) 髙崎 早和香
サブサハラ地域は、2000年以降、10年間でGDPが4倍の1兆2千万ドルまで成長を遂げている。資源価格の高騰による外国直接投資の急増、資源・農産品輸出の増加、債務削減による財政の健全化、政情安定による投資環境改善などにより、外貨獲得と経済発展が進み、その結果、中間所得層も拡大している。資源、製造業、インフラ・環境等の分野で進出している日系企業やアフリカでの起業事例紹介、アフリカビジネスにおける自社の強みの生かし方や課題などを説明した。
- 「サブサハラ・アフリカの最新ビジネス事情」資料 (1.4MB)
【北陸会場】「アフリカビジネスの魅力」(アフリカビジネスに取り組む日本企業の事例紹介)
会宝産業株式会社 代表取締役社長 近藤 典彦 氏
自動車リサイクル、中古自動車部品輸出、販売を手がける同社は、石川県金沢市を拠点に、アジア以外にアフリカではナイジェリア、ガーナ、ケニアに合弁会社を置き、取引先は南アフリカ等約70カ国に及ぶ。JICAの協力準備調査(BOPビジネス調査)を活用し、ナイジェリアで中古車自動車解体工場の設立や、現地への技術・ノウハウの移転のみならず、地球環境に配慮した持続可能なビジネス理念を教育する研修を国際リサイクル教育センター(IREC)にて行うなどの取り組みを紹介した。
【静岡会場】「アフリカビジネスの魅力」(アフリカビジネスに取り組む日本企業の事例紹介)
株式会社ルイズビィ 代表取締役 小澤 里恵 氏
ルワンダ伝統工芸品のバスケットとアガセチェの輸入販売を手がける同社は、2008年の「アフリカンフェア」でルワンダ人女性と出会い、バスケットの美しさに魅せられて、輸入販売会社を静岡市に設立。ジェトロの開発輸入企画実証事業(2009年度・2010年度)に採択され、現地の16の生産者組合に何度も足を運び、生産強化のためのワークショップ開催や、日本の基準を解説した教科書を作成するなどの取り組みを行った。現在は国内90店舗で販売、生産者の生活も改善されていることを紹介した。
- 「アフリカビジネスの魅力(ルイズビィ)」 (1.2MB)
【神戸会場】「アフリカビジネスの魅力」(アフリカビジネスに取り組む日本企業の事例紹介)
株式会社 FAR EAST 代表取締役 佐々木 敏行 氏
食品・雑貨の輸入販売を手がける同社は、アフリカ、中東、南米、北米、欧州、アジアなどの約20カ国と貿易を行い、商品の規格・デザイン、営業・販売を一貫して手掛けており、10月には大阪にも直営店をオープンした。現地のモノをそのまま輸入するのではなく、商品や包装デザインなどを開発して市場に投入する「開発輸入」と「ハイエンド市場をターゲット」が同社の特徴。エジプトのデーツ、ウガンダのオーガニックドライフルーツ、ジプチの塩などの商品開発の事例を紹介した。
- 「アフリカビジネスの魅力(FAR EAST)」 (1.8MB)
アフリカで活躍する企業~欧米、韓国、中国、インド、日本企業
ジェトロ 海外調査部 主任調査研究員 大木 博巳
南アフリカ共和国、タンザニア、アンゴラ、ナイジェリア等の写真や企業の進出事例を元に、アフリカ市場に参入する魅力と課題を説明。先行する欧州企業(ネスレ、ハイネケン、グルンドフォス等)をはじめ、中国、韓国、インドによるアフリカ進出事例を紹介。日本の先行事例としては、ヤマハ、味の素、サラヤ、第一三共、パイロット等を紹介し、低所得者層(BOP層)に浸透するブランドの構築や、伝統市場やNGOのネットワークを活用した流通の確保がポイントであることを説明した。
- 「アフリカで活躍する企業~欧米、韓国、中国、インド、日本企業」 (1.3MB)
JICAの民間企業支援・対アフリカ支援制度
JICAアフリカ部 参事役 宍戸 健一 氏(北陸会場)
土居 健市 氏(静岡会場)
児玉 顕彦 氏(神戸会場)
民間投資促進を通じたアフリカ開発の必要性がTICADの主要課題となっている中、JICAは民間連携を重視している。ODAを通じて蓄積された相手国政府との関係やネットワーク、アフリカの34拠点を通じた情報収集、各種委託調査事業、使節団による現地視察、青年海外協力隊制度等の民間企業による活用を提案した。
- 「JICAの民間企業支援・対アフリカ支援制度」 (972KB)
【北陸会場】「アフリカビジネスの可能性」JICAアフリカ使節団参加報告
北陸AJEC理事・調査部長 杉山 正樹 氏
北陸地域と対岸諸国との経済交流を促進する活動を行っている北陸AJEC(北陸環日本海経済交流促進協議会)は、近年中国や韓国の企業が積極的に進出しているアフリカの実態を把握すべく、2012年6月のJICAによるアフリカ使節団に参加。南アフリカのヨハネスブルグ、ダーバン、ケニアのナイロビ、オルカリア地域を訪問し、自動車工場、樹脂メーカー、切花農場等の視察した報告を行った。
【神戸会場】「アフリカビジネスの可能性」JICAアフリカ使節団参加報告
神戸情報大学院大学 副学長 福岡 賢二 氏
IT専門職大学院である同大学院では、ICTの人材育成と「探求実践」による社会の課題解決へのアプローチに取り組んでいるが、近年、アフリカ政府がICT政策に力を入れていることを知り、6月に南アフリカ、ケニアへのJICAアフリカ使節団に参加。2020年までにICTを基軸としたイノベーションによる経済発展をめざしているルワンダの事例や、2012年2~3月にJICAと連携してアフリカ8カ国からICT研修員を受け入れた取り組みなどを紹介した。
ジェトロの途上国向けビジネス支援制度
ジェトロ 途上国貿易開発部 主幹 山田 尚史
ジェトロのアフリカ向け事業として実施しているBOPビジネス支援事業、開発輸入企画実証事業、産業育成支援事業を紹介。現地ニーズ・市場把握のためのBOPビジネスミッション派遣や海外コーディネーター配置、アフリカ産品の開発輸入企画を企業から公募して現地出張費等をサポートする事業や過去の採択事例を紹介した。
- 「ジェトロの途上国向けビジネス支援制度」 (1.8MB)