セミナー開催レポートコーヒーからアフリカを考える(2012年11月)
2012年11月
途上国貿易開発部
ジェトロでは2012年11月27日に、セミナー「コーヒーからアフリカを考える」を開催した。コーヒーは、アフリカの多くの国でも栽培されているが、消費国では商品毎の特性ではなく、主に均質性と低価格が重視される、典型的な食品原料(コモディティー)と認識されてきた。本セミナーでは、現地企業と継続的にビジネスや交流を持ち、新たな商品や企業価値を創造することに成功した日米企業の取組事例を紹介した。パネルディスカッションでは、生産地と付き合うことで発生する価値や克服すべき普遍的課題、世界的な潮流について、日々生産者と向き合う3名が議論した。
本セミナーは、東京にて開催し、135名にご出席いただいた。
- プログラム(2012年11月27日開催) (127KB)
※以下掲載資料は、講師の許諾を得て掲載しています。当日配付資料より若干修正・変更を入れていますのでご了承ください。
事例紹介「コーヒーハンターによるアフリカ産コーヒーの商品開発」
株式会社ミカフェート 代表取締役 川島 良彰 氏
アフリカ産コーヒーの商品開発プロセスを紹介。同社は世界各国で生産される最高品質のコーヒーを取り扱うが、アフリカ産コーヒー豆を使った商品は、タンザニア産の起源となったキリマンジャロ山近く、キレマ村の教会裏で栽培されたコーヒーと、ンゴンゴロ地区の修道院で生産されるコーヒーの2種類。アフリカで商品開発を行うにあたっては、現地生産者との品質に対する認識の違い、政府の規制などの課題を、現地パートナーと共に乗り越えなければならないことを説明した。
- 「アフリカ産コーヒーの商品開発」資料 (679KB)
事例紹介「ルワンダにおけるスターバックスの生産者支援活動」
スターバックス ファーマーサポートセンタールワンダ 代表 ジュリアン・カヨンガ 氏
カヨンガ氏は、スターバックスコーヒーは、企業の社会的責任(CSR)として、コロンビア、ルワンダ、タンザニアにおける生産者支援活動を行っており、農家の収穫量と生活を改善させることが、同社の基準に沿った高品質なコーヒーの長期的な確保につながると説明。プログラムは、生産者に対し、品質の理解、最適な栽培技術、持続的な生産方法を普及することが3本柱である。現地政府や生産性向上技術をもったパートナーとの連携も深めることができる。
パネルディスカッション
株式会社ミカフェート 代表取締役 川島 良彰 氏
株式会社珈琲工房HORIGUCHI 取締役 伊藤 亮太 氏
スターバックスFSC 代表 ジュリアン・カヨンガ 氏
ジェトロ 途上国貿易開発部主幹 山田 尚史(モデレーター)
冒頭に、東アフリカ諸国においてコーヒー産業の存在は大きく、総輸出額に占めるコーヒーの割合は、ブルンジ(60%)、エチオピア(30%)、ルワンダ(25%)、ウガンダ(18%)のように高いことが紹介された。川島氏は、生産国と消費国企業の間に存在する品質に対する認識ギャップがあることを指摘。カヨンガ氏は、ルワンダでは、品質向上及び虫害対策として、消費国で行われている試飲(カッピング)による品質確認が普及しつつあると言及。伊藤氏は、アフリカ産コーヒーに関心を持っている日本企業は多く、現地視察を含めた生産地に関する情報収集・発信を積極的に行っている企業は概ね業績がよいことを紹介。アフリカ産コーヒーへの付加価値向上手段として、フェアトレード等の認証取得や、段階における透明性の向上、ロジスティクスの改善等が挙げられた。