外資に関する奨励
最終更新日:2024年09月01日
- 最近の制度変更
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2023年9月22日
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2022年11月4日
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2022年1月21日
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2019年11月29日
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2019年2月25日
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奨励業種
オフショアリング、電子産業、自動車産業、航空産業、農水産物加工業、繊維・皮革産業、製薬、化学、エネルギー・再生可能エネルギー、観光、鉱業、金属・機械、建材など。
産業振興プログラム「エマージェンス計画(Plan Emergence)」(2005年)およびそれに続く「産業振興のための国家プログラム 2009~2015年(Pacte National pour l’Emergence Industrielle 2009-2015:PNEI)」と「産業加速計画 2014~2020年(Plan d’accélération industrielle 2014-2020)」では、オフショアリング、電子産業、自動車産業、航空産業、農水産物加工業、繊維・皮革産業が6大重点産業に指定され、その後、製薬、化学、機械・鉄鋼産業、プラスチック、建設が重点産業に加えられた。産業プラットフォームの設置やエコシステムの形成等を通じて投資が促進されている。
また、エネルギー・再生可能エネルギー分野、鉱業、観光業、文化産業、農業、養殖、廃棄物加工・再利用、運輸・ロジスティクスへの投資も奨励されている。
各種優遇措置
税制上の優遇制度や補助金制度は、国内外問わず、すべての投資家が対象となる。税制優遇ゾーンには、製造業向け産業加速ゾーンやサービス業向けカサブランカ・ファイナンス・シティがある。2022年制定の新投資憲章によって新たな投資奨励金制度が導入された。
税制優遇制度
国内外問わずすべての投資家を対象として、各種税制優遇制度が設けられている。また、5,000万ディルハム以上の投資事業に関しては、モロッコ政府との協定締結により、輸入関税と輸入付加価値税が36カ月間免除となる。
- 事業税の免除/法人税の減免・免除
- 全事業共通で、操業開始後5年間は事業税が免除される。
- 製造業は、操業開始後5年間は法人税を免除される。
- オフショアリング企業については、専門フリーゾーンにおける拠点の有無にかかわらず、国内および輸出による売上利益に対し、法人税を操業開始後5年間は免除し、6年目以降は20%の税率が適用される(2020年まで10%の税率を適用されていた売上利益30万ディルハム以下の企業の場合、6年目以降の税率は2023年から2026年にかけて段階的に20%に引き上げられる)。財・サービスの輸出企業の輸出による売上利益に対して、操業開始後5年間は法人税を免除する規定は、2020年1月より廃止された(優遇税率は維持)。なお、ホテル業等については、「税制」の項を参照。
- 2023年1月1日以降に設立され、モロッコ政府との協定締結により5年間で15億ディルハム以上の投資を約束した企業には、年間純利益が1億ディルハムを超えた場合でも35%ではなく20%の法人税率が適用される。
- 輸入関税の減免・免除/輸入付加価値税の免除
- 5,000万ディルハム以上の投資事業については、モロッコ政府との協定締結により、最初の輸入日から36カ月間(24カ月の延長可能)は、設備・機器・工具の輸入関税および輸入付加価値税が免除される(設備財と同時に輸入される部品・付属品も免除対象となる)。
- 自動車・バイク・自転車の製造に必要な部品・製品・材料・付属品は、輸入関税および輸入付加価値税が免除される。
- 産業加速ゾーンにおいて生産され、国内での消費に供される商品については、年間輸出売上利益の30%を上限に、2.5%の軽減輸入関税率が適用される。
- 付加価値税の免除
国との協約を結んだ投資プロジェクトの枠内で購入された投資財は、国内での購入に関しては協約締結あるいは建設許可の発行から36カ月間、輸入に関しては協約締結あるいは輸入開始から36カ月間、付加価値税を免除される。
投資奨励金
1995年制定の投資憲章に代わる新投資憲章が2022年に制定され、新たな投資奨励金制度が導入された。新制度には、対象となる全ての投資プロジェクトに共通の補助金と地域別およびセクター別の補助金からなる主要奨励金制度と並んで、戦略的投資プロジェクトに対する奨励金、中小企業に対する奨励金、輸出企業に対する奨励金の特別制度がある。中小企業に対する奨励金と輸出企業に対する奨励金に関しては、今後詳細が定められる予定。これらの奨励金を享受するためには国との間で協約を結ぶ必要があり、投資額が2億5,000万ディルハム以上の投資プロジェクトに関しては、国家投資委員会の承認を得なければならない。
投資憲章の定める主要補助金
- 対象分野
業種による制限はない。 - 補助対象経費・補助率
- 新規常勤雇用率(投資総額100万ディルハム当たりの新規常勤雇用数)に応じて補助対象となる投資額の5~10%
- 女性雇用率が30%以上の場合、補助対象となる投資額の3%
- 政府の定める特定業種(将来性のある業種およびグレードアップの予想される業種)における投資の場合、補助対象となる投資総の3%
- 政府の定める特定の持続可能な投資プロジェクトの場合、補助対象となる投資額の3%
- 現地調達率が農業・食品加工、製薬、医療機器の部門における投資プロジェクトで20%以上、それ以外の製造業における投資プロジェクトで40%以上の場合、補助対象となる投資額の3%
さらに、政府の定める特定の県(province)および府(préfecture)における投資プロジェクトは、プロジェクトの実施される県あるいは府に応じて補助対象となる投資額の10%あるいは15%、政府の定める以下のセクターにおける投資プロジェクトは補助対象となる投資額の5%に相当する追加補助を受けられる。追加補助の対象となるのは、工業、観光・レジャー、文化産業、デジタル、再生可能エネルギー、廃棄物加工・再利用、運輸・ロジスティクス、アウトソーシング、養殖における投資プロジェクト。
以上の補助金は併せて取得することが可能。補助対象となる投資額には、国・地方自治体・国有企業・公共機関が所有する用地の取得・賃貸費用は含まれない。それ以外の用地の取得・賃貸費用は20%を上限に補助対象となる投資額に算入できる。
- 補助限度額
補助対象となる投資額の30%。
風力・太陽エネルギー・水力発電の分野における投資プロジェクトに関しては、補助限度額は3,000万ディルハム。 - 申請要件
次に該当する事業。- 投資規模が5,000万ディルハム以上で、新規常勤雇用が50人以上149人未満
- 新規常勤雇用が150人以上
戦略的投資プロジェクトに対する補助金
- 対象分野
業種による制限はない。 - 補助対象経費・補助率
補助金額は当該投資プロジェクトに応じて決められる。 - 補助限度額
補助対象となる投資額の30%以内。 - 申請要件
投資総額が20億ディルハム以上で、以下の要件のいずれかを満たす投資プロジェクト。- 水・エネルギー・食料・衛生のいずれかの安全保障に実際に貢献する事業
- 直接・間接雇用の創出に大きな影響を与える事業
- 地域あるいは大陸、国際レベルでのモロッコの経済的発揚と戦略的位置付け著しい影響を与える事業
- 産業エコシステムあるいは産業活動の発展に向けた波及効果のある事業
- 先進技術の開発と獲得に著しく貢献する事業
あるいは、防衛部門における投資プロジェクト
産業加速ゾーン(旧称:フリーゾーン)
1995年法律19-94号で輸出フリーゾーンの創設が規定された。その後2020年予算法によって「産業加速ゾーン」と改称され、それに伴って税制優遇制度も変更された。2021年1月以降の入居者から、新措置の対象となる。
- 産業加速ゾーン
主要産業加速ゾーンは、次のとおり。- タンジェ輸出フリーゾーン(Tanger Free Zone):自動車部品、電子、航空、農水産・食品、繊維等の各産業がある。
- タンジェ・メルーサⅠおよびⅡ工業フリーゾーン(ルノー工場やTanger Automotive City)
- タンジェ・テック(Tanger Tech)
- ケニトラ輸出フリーゾーン(アトランティック・フリーゾーン:Atlantic Free Zone):グループPSAや自動車部品の工場がある。
- テクノポリス(ラバト):Technopolis):オフショアリング、IT、エンジニアリング部門の産学協力プラットフォームでもある。
- ヌアサー航空産業フリーゾーン(Midparc、カサブランカ郊外)
- スース=マサ・フリーゾーン(Souss Massa Free Zone)
- ウジダ・テクノポール(Oujda Technopole)
- ブクナデル産業加速ゾーン(ZAI de Bouknadel)
この他、ケブダナとナドールには炭化水素エネルギー貯蔵フリーゾーン、ダフラやラーユーンには農水産加工フリーゾーンなどもある。
- 主な優遇制度
- 法人税は最初の5年間は免除、その後は国内・輸出売上のいかんに関わりなく、20%の税率が適用される(税率は2023年から2026年にかけて段階的に20%に引き上げ)。金融機関および保険会社は除く。
- 入居者によって国内外の居住者に支払われた配当金は、源泉税を免除される(標準税率は10%)。
- 関税は免除。
- 通関手続きは簡素化。
- 事業税は15年間免除。
- 付加価値税は免除。
- 会社設立・増資、土地取得に関する登記費用は免除。
- 利益や資本の本国送金には規制なし。
- 職業訓練補助など。
- 入居要件
売上げの70~80%を輸出すること(各ゾーンで設定)。
- カサブランカ・ファイナンス・シティ(Casablanca Finance City:CFC)
2010年に創設。産業加速ゾーンの税制優遇制度をサービス業(物販除く)に適用。- 対象企業・機関
- 金融機関
- 多国籍企業の地域統括本部
- 専門サービス・プロバイダー(法律事務所、監査法人、格付機関、人材派遣など)
- 持株会社
- 貿易会社
- 投資会社
- クラウドファンディング会社
- 保険会社
※CFCステータスの取得を申請する企業は、カサブランカ・ファイナンス・シティ・ゾーンである「カサ・アンファ」内の3つの専用ビル(CFC First、CFC Cube、CFC Bridge)のいずれかに入居することを義務付けられる。
- 主な優遇制度
産業加速ゾーン(旧フリーゾーン)の優遇税制に加え、主な優遇措置は次のとおり。- 法人税は最初の5年間は免除、その後は国内・輸出売上高に関わりなく、20%の税率が適用される(税率は2023年から2026年にかけて段階的に20%に引き上げ)。
法人税の免税期間は会社設立から60カ月を限度とする。金融機関および保険会社を除く。 - CFCステータス取得者によって国内外の居住者に支払われた配当金は、源泉税を免除される(標準税率は10%)。
- 個人所得税については、従業員は10年間一律20%の税率、あるいは標準累進課税(0~38%)のいずれかを選択可能(11年目以降は、標準累進課税)。金融機関および保険会社を除く。
- 外国人の雇用については、制限なし。
- 外貨規制はない。
- 行政手続きの簡素化
行政手続きのワンストップ窓口「Taechir CFC」が2017年9月に開設され、ビザ(ビジネス)と認証入り外国人雇用契約書は24時間以内、就労許可証は3日以内、在留許可証は2週間以内に発行されるようになった。在留許可証発行前であっても認証入り外国人雇用契約書があれば銀行に仮口座開設を申請できる。
- 法人税は最初の5年間は免除、その後は国内・輸出売上高に関わりなく、20%の税率が適用される(税率は2023年から2026年にかけて段階的に20%に引き上げ)。
- 対象企業・機関
その他
特になし。